[スポンサーリンク]

一般的な話題

ペロブスカイト太陽電池が直面する現実

[スポンサーリンク]

ペロブスカイトセルは、シリコンセルよりも単純で安価に製造できるため、わずか10 年で太陽光発電の未来を担う期待の新材料になった。複数企業が実用化を目指ししのぎを削っているが、既存のシリコン太陽電池を過去のものにできるだろうか。

2018年3月号の紹介から記事が滞っていました。1年半ぶりの再開です!タイトルおよび説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語で読める科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」2019年9月号から(画像クレジット:Oxford PV)。

最新サイエンスを手軽に日本語で読める本雑誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

ペロブスカイト太陽電池開発

今月号の特集記事。記事は「変なホテル」の話から始まります。ロボット従業員などで話題になった同ホテル。2018年からペロブスカイト太陽電池を看板証明用の電池として採用したのです。

そんな注目される事例のみならず、科学研究の世界では「ペロブスカイト太陽電池」研究が最盛期を迎えています。安価・簡単に作製でき、薄く軽い。もちろんエネルギー源は太陽光。こんな夢の電池が開発されたのは2009年。桐蔭横浜大学の宮坂力教授らによって報告された同電池は10年のうちにエネルギー変換効率が3.8%とから、24.2%とシリコン太陽電池に迫る勢い。多くの研究者が注目し、いまや科学界の最大級規模の研究分野にまで発展しています。ノーベル賞を受賞するのも時間の問題ともささやかれている状況。

さて、本記事ではそのペロブスカイト太陽電池の光の部分に当てた記事でなく、様々な問題・課題について述べた記事です。サイズ拡大問題・耐久性・フィールドテストの少なさ・鉛毒性への不安・本当に安価な太陽エネルギーなのか?などについて実用化の観点から述べています。

課題があってこそ研究する意義があるので、乗り越えてほしいところです。よくまとまっているのでぜひお読みください。

圧力の精密測定方法が更新へ

気体の圧力測定において、最も正確な方法はこれまで、約400年前に原理が開発された水銀圧力計だった。それが、量子物理学に基づく新たな測定方法に取って代わられるかもしれない。

学術界サバイバル術入門 — Training 10:学会発表 ①

昨年から隔週掲載ではじまった人気コーナー。ネイチャー・リサーチの編集開発マネージャーであり、トレーニングワークショップ Nature Research Academiesの筆頭講師であるジェフリー・ローベンズ(Jeffrey Robens)が研究者を対象にした論文の質の向上や、研究のインパクトをあげるノウハウを書き下ろしています。

今回のお題は学会発表。とくに今回は学生も多く体験するポスター発表について述べています。記事から少し抜粋すると

  • 重要なポイントは、ポスターは「読ませるもの」ではなく「見せるためのもの
  • 背景は、150ワード以内の1パラグラフに簡潔にまとめる
  • 情報は横列ではなく縦列でまとめる(図参照)
  • タイトルには、遠くからでも容易に読めるように85ptのフォントを、著者名には50ptを使用する。見出しには36~44pt、本文には24~28ptが適切

ポスター作成例(出典:Natureダイジェスト

 

A0縦のポスター発表枠が多いところ、この形が適切かわかりませんが、以上のポイント以外にも多くの基本的なポスター発表の心得とポスター作成方法について指南しています。

その他の記事

今月号の特別公開記事は4つもあります。1つは、PETスキャナー開発の革新について述べた全身のPETスキャンがわずか数十秒で!。最近入院したので、PETやMRIなどの実力を体感できました(苦笑)。もう1つは、全ての人に安全な水をという記事。先進国、特に日本にいてはあまり馴染みのないかもしれないですが、世界レベルでは我々の命をつなぎ、病気を防ぐためにもっとも重要な問題の1つなのかもしれません。

残り2つは、日本人科学者によるエッセイで、研究者のSNSとのかかわり合いについてのべた、「研究者としてSNSをどう使っていくか」東大の横山広美教授が一般的な注意事項について述べています。もうひとつは、「科学者自身の手で種をまこう」。東北大学の渡辺正夫教授の記事ですが、なんと、小学校や高校への出前講義が1000回を超えたとのこと。教育面に優れているのかと思いきや、研究者としても一流で、NatureNature関連誌、Scienceをはじめ100編以上の論文を発表されている、植物育種学の世界的研究者です。

忙しさを理由にまだ、10回程度しかいっていない私には耳が痛い話です。化学で小学校は結構きびしいなあと(苦笑)。

道を決めるのは大学だけでなく、もっと早いほうがいいんですよね。聴衆への影響のみならず、自身の成長にも役に立っているそうです。

小学校での講演風景(出典:Natureダイジェスト)

購読してみてはいかがでしょう?

実は私は以前は個人購読をしていましたが、大学で機関購読をしているらしく、全部フリーで読めるようになりました。あまりそういう機関は多くないと思いますのでぜひ個人購読や研究室購読などをおすすめします。専門分野に特化した日々を過ごしていると、他の話題がとっても新鮮に思えます。そんなところに意外と研究へのヒントが転がっているかもしれません。

毎号のコンテンツを配信している(毎月)ニュースレターもあるようなので、まずはここから登録してみてはいかがでしょうか。登録はこちら

過去記事はまとめを御覧ください

外部リンク

webmaster

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. “Wakati Project” 低コス…
  2. タミフルの新規合成法・その4
  3. 聖なる牛の尿から金を発見!(?)
  4. ケムステも出ます!サイエンスアゴラ2013
  5. HACCP制度化と食品安全マネジメントシステムーChemical…
  6. sp3炭素のクロスカップリング反応の機構解明研究
  7. ナイトレン
  8. ハニートラップに対抗する薬が発見される?

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 1,3-ジオールの不斉非対称化反応による光学活性オキサゾリン誘導体の合成
  2. 武田、ビタミン原料事業から完全撤退
  3. 製薬産業の最前線バイオベンチャーを訪ねてみよう! ?シリコンバレーバイオ合宿?
  4. Org. Proc. Res. Devのススメ
  5. フィンランド理科教科書 化学編
  6. 日本化学会 平成17年度各賞受賞者決まる
  7. グルタミン酸 / Glutamic Acid
  8. 研究者としてうまくやっていくには ー組織の力を研究に活かすー
  9. 第166回―「2次元量子材料の開発」Loh Kian Ping教授
  10. 温故知新ケミストリー:シクロプロペニルカチオンを活用した有機合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年9月
« 8月   10月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

注目情報

最新記事

新型コロナの飲み薬モルヌピラビルの合成・生体触媒を用いた短工程化

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 感染症に対する飲み薬として、Merck…

秋吉一成 Akiyoshi Kazunari

秋吉 一成(あきよしかずなり)は日本の有機化学者である。京都大学大学院 工学研究科 高分子化学専攻 …

NIMS WEEK2021-材料研究の最新成果発表週間- 事前登録スタート

時代を先取りした新材料を発信し続けるNIMS。その最新成果を一挙ご紹介する、年に一度の大イベント「N…

元素記号に例えるなら何タイプ? 高校生向け「起業家タイプ診断」

今回は化学の本質とは少し離れますが、元素をモチーフにしたあるコンテンツをご紹介します。実験の合間…

多価不飽和脂肪酸による光合成の不活性化メカニズムの解明:脂肪酸を活用した光合成活性の制御技術開発の可能性

第346回のスポットライトリサーチは、東京大学 大学院総合文化研究科(和田・神保研究…

10手で陥落!(+)-pepluanol Aの全合成

高度な縮環構造をもつ複雑天然物ペプラノールAの全合成が、わずか10工程で達成された。Diels–Al…

吉野彰氏が2021年10月度「私の履歴書」を連載。

今年の10月はノーベル化学賞が有機化学分野から出て、物理学賞を真鍋淑郎先生が受賞して、非常に盛り上が…

ガラス工房にお邪魔してみたー匠の技から試験管制作体験までー

実験器具を試して見たシリーズ第10弾! ついにシリーズ10回目を迎えました。今回は特別編です…

ダイセルよりサステナブルな素材に関する開発成果と包括的連携が発表される

株式会社ダイセルは、環境にやさしい酢酸セルロースを当社独自の技術で加工した真球状微粒子を開発し、20…

市販の化合物からナノグラフェンライブラリを構築 〜新反応によりナノグラフェンの多様性指向型合成が可能に〜

第345回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院 理論化学研究室(前田・高橋研究室)…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP