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エネルギー化学

宮坂 力 Tsutomu Miyasaka

宮坂 力 (みやさか つとむ、1954年-)は、日本のエネルギー化学・物理化学者である。国際的な通称はTom。2017年9月現在、桐蔭横浜大学 特任教授。

経歴

1976 早稲田大学理工学部応用化学科 卒業
1978 東京大学大学院工学系研究科 工業化学修士課程修了
1980-1981 カナダ・ケベック大学大学院 生物物理学科 客員研究員
1981 東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程修了
1981 富士写真フィルム入社
2001-2017 桐蔭横浜大学大学院工学研究科教授
2017-現在 桐蔭横浜大学医用工学部臨床工学科 特任教授

受賞歴

2002 (財)化学技術戦略推進機構「アカデミアショーケース」
2004 横浜市ベンチャービジネスプランコンテスト「アカデミー賞」
2011 Scientific American 50 selection
2016 グリーンサステナブルネットワーク文部科学大臣賞
2017 クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞 化学分野 受賞

研究概要

鉛ハライドペロブスカイト化合物の色素増感太陽電池への応用

2009年に有機無機ハイブリッド鉛ハライドペロブスカイトCH3NH3PbX3(X=I or Br)を色素増感太陽電池の増感剤として用い、変換効率3.8%を報告した[1]。この論文は鉛ハライドペロブスカイトを太陽電池材料として着目した世界で初めての研究で、光電変換材料としての潜在能力に気付くきっかけとなった研究だった。当初はそれほど注目されなかったものの、2012年に全固体化した薄膜太陽電池の作製に成功して安定性と効率が大きく向上し[2]、世界的に研究に火が付いた。ペロブスカイト太陽電池とも呼ばれるこの物質群は光電変換材料の開発の歴史の中でもかつてない速度で急成長を遂げており、本格的に研究され始めて5年のうちにシリコン太陽電池に迫る20%以上の効率を達成している。

宮坂力はこの成果について、ノーベル賞受賞者候補とも呼ばれるクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を2017年に受賞している。

図1:(左)増感剤としてペロブスカイト物質を用いたTiO2粒子の模式図。 (右)CH3NH3PbX3(X=Br, I)を用いた色素増感太陽電池の量子効率曲線。CH3NH3PbI3を用いたデバイスは可視光領域でバランスよく発電ができ、3.8%の光電変換効率を達成した。文献[1]のTOC画像より引用。

なお、ペロブスカイト太陽電池の成果以外にも、バクテリオロドプシンを用いた生体を模倣した光応答デバイスの研究[3,4]や非晶質SnO2を用いたリチウム貯蔵物質の開発[5]といった優れた業績を残している。

関連文献

  1. ”Organometal halide perovskites as visible-light sensitizers for photovoltaic cells” Kojima, A.; Teshima, K.; Shirai, Y.; Miyasaka, T. J. Ame. Chem. Soc. 2009, 131, 6059. DOI: 10.1021/ja809598r
  2. ”Efficient hybrid solar cells based on meso-superstructured organometal halide perovskites” Lee, M. M.; Teuscher, J.; Miyasaka, T.; Murakami, T. N.; Snaith, H. J. Science 2012, 338, 643. DOI: 10.1126/science.1228604
  3. ”Quantum Conversion and Image Detection by a Bacteriorhodopsin-Based Artificial Photoreceptor” Miyasaka, T.; Koyama, K.; Itoh, I. Science 1992, 255, 342. DOI: 10.1126/science.255.5042.342
  4. ”Antibody-Mediated Bacteriorhodopsin Orientation for Molecular Device Architectures” Koyama, K.; Yamaguchi, N.; Miyasaka T. Science 1994, 265, 762. DOI: 10.1126/science.265.5173.762
  5. ”Tin-Based Amorphous Oxide: A High-Capacity Lithium-Ion–Storage Material” Idota, Y.; Kubota, T.; Matsufuji, A.; Maekawa, Y.; Miyasaka, T. Science 1997, 276, 1395. DOI: 10.1126/science.276.5317.1395

関連リンク

関連書籍

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ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JK。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

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