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有機合成化学協会誌2022年12月号:有機アジド・sp3変換・ヤヌス型シロキサン・ANT阻害剤・超分子自動機械

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2022年12月号がオンライン公開されました。

2022年も早くも年の瀬です。こんなに2の揃った年号にはもう出会えないだろうなとふと思いました。

今月号も充実の内容です。

キーワードは、「有機アジド・sp3変換・ヤヌス型シロキサン・ANT阻害剤・超分子自動機械です。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言 地方の私学から化学のおもしろさ・役割を伝えられたなら

今月号の巻頭言は、岡山理科大学工学部応用化学科 折田明浩 教授による寄稿記事です。それぞれの大学が、地域を盛り上げる意識をもって研究活動を行い、日本に伝播させていく重要性を語られています。必見です。

1,3-双極子としての性質を崩して展開する有機アジドの合成化学

谷本裕樹*

*富山大学学術研究部薬学・和漢系

単に機械的にくっつけるだけではない、有機アジドの変換に関する独自の化学が明快にまとめられています。アジドの活性化/不活性化のための新しい手法を見つけ、有用な有機合成手法を生み出してきた著者らの軌跡をご覧ください。特に、トリアジドの変換は、見事なマジックショーのような出来映えです。

sp3炭素-水素および炭素-ホウ素結合の触媒的高効率変換反応の開発

大村智通*

2020年度有機合成化学協会企業冠賞 日産化学・有機合成新反応/手法賞

*京都工芸繊維大学分子化学系

常識を覆す立体化学や、一見反応しそうにない結合の効率的変換など、遷移金属触媒で実現した特徴ある化学反応が多数示されています。反応開発のヒント満載、アイデアが湧き出すこと間違いなし!の秀逸論文です。

ヤヌス型シロキサン開発物語

刘 雨佳、海野雅史*

*群馬大学理工学府分子科学部門

これ、めちゃくちゃ面白いです——— 群馬大学海野先生らによる、様々な実験上のブレークスルーや、世界中の研究者とのコミュニケーションを通じ、ヤヌスキューブや関連化合物の開発に至った道のりを、高い臨場感を持って綴った名作。終章での海野先生の後進に向けたメッセージも必見です。

アデニンヌクレオチド輸送担体(ANT)阻害剤: ボンクレキン酸の合成とその構造展開および生物活性

新藤 充1*、岩田隆幸1、狩野有宏1篠原康雄2

1* 九州大学先導物質化学研究所

2 徳島大学先端酵素学研究所

本論文では、ボンクレキン酸の収束的全合成研究が裏話を交えながら分かりやすく紹介されています。また、ATP合成阻害活性やアポトーシス抑制活性に対する構造活性相関研究に加え、抗がん活性など新たな生物活性を見出しています。ボンクレキン酸の作用機序は不明なことが多く、解明に向けたケミカルバイオロジー研究への展開が期待される内容となっています。ぜひ、ご一読ください。

超分子自動機械としての人工細胞の構築

菅原 正1*松尾宗征鈴木健太郎1

1* 神奈川大学理学部化学科

2 広島大学理学部化学科/大学院統合生命科学研究科

皆さんのよく知る有機分子と有機反応を組み合わせることで、自ら増殖する人工細胞は作れるんです-。東京大学名誉教授、神奈川大学教授の菅原正先生らによる、人工細胞に関する体系的研究を、「超分子機械」という観点からまとめていただけました。大作となっておりますので是非ご一読を!

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です!オープンアクセスですのでぜひご覧ください。

不活性なC(sp3)-H結合の直接的トリフルオロメチル化反応 (相模中央化学研究所)水野翔太

感動の瞬間 「感動の瞬間」と「ほっとした瞬間」 

今月号の感動の瞬間は、東京工業大学 岩澤伸治 教授による寄稿記事です。「感動の瞬間」と「ほっとした瞬間」は表裏一体だなと感じさせるストーリーでした。必見です。

 

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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