[スポンサーリンク]

ケムステニュース

59年前製造の『ヒロポン』陳列

[スポンサーリンク]

客寄せ目的で「ヒロポン」を雑貨店に陳列したとして、横浜水上署は十日、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで、川崎市幸区の雑貨店経営男性(56)を書類送検した。
調べでは、男性は横浜市中区の自分の店で、陳列ケース内に瓶詰めのヒロポン(四十七錠入り)を陳列した疑い。
男性は約十年前に東京都内の神社ののみの市で手に入れたという。外箱には「21・12・1」と記載されており、一九四六年に製造されたとみられる。男性は「ヒロポンは劣化していると思っていた」と供述したが、県警科学捜査研究所の調べで、現在の”効能”が確認された。
ヒロポンは覚せい剤の一種で、終戦直後の混乱期に乱用者が続出したが、取り締まりなどで一九五五年ごろまでには沈静化。県警によると、ヒロポン所持者の摘発は「最近では聞いたことがない」という。(引用:東京新聞)

 

 ・・・変なニュースですね。ニュースの内容はともかく、覚醒剤関連について化学の観点からちょっと説明したいと思います。

 ヒロポンは塩酸メタンフェタミン(methanphetamine)のことで、疲労がポンと飛ぶところからそう名付けられたとも言われています(ホントか?)。 シャブとかS(スピード)と呼ばれる薬物もこれです。このような構造をもつ化合物は、何十年たっても壊れません。

 アミノ基にメチル基が置換していないものは、アンフェタミン(amphetamine)という名前です。これも覚醒剤です。最近知られているメタンフェタミンの誘導体・メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)は、合成麻薬エクスタシーとして乱用されています。

MDMA

歴史的には、薬学者長井長義がエフェドリンから合成したメタンフェタミンですが、覚醒剤として広まって世の中に悪影響を与えるなんて、考えてもいなかったことでしょう。こんな簡単な構造ですから、誰でも作れてしまうのです。そういったものを悪用する人達には本当に腹が立ちます。覚醒剤は絶対にいけません。カッコ悪いです。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4537252332″ locale=”JP” title=”面白いほどよくわかる毒と薬―天然毒、化学合成毒、細菌毒から創薬の歴史まで、毒と薬のすべてがわかる! (学校で教えない教科書)”]

関連リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 世界初!うつ病が客観的に診断可能に!?
  2. 抗がん剤大量生産に期待 山大農学部豊増助教授 有機化合物生成の遺…
  3. 「石油化学」の新ネーミング募集!
  4. 決算短信~日本触媒と三洋化成の合併に関連して~
  5. 硫黄化合物で新めっき 岩手大工学部
  6. ダイキン、特許を無償開放 代替フロンのエアコン冷媒
  7. 室内照明で部屋をきれいに 汚れ防ぐ物質「光触媒」を高度化
  8. 画期的な糖尿病治療剤を開発

注目情報

ピックアップ記事

  1. カルボン酸に気をつけろ! グルクロン酸抱合の驚異
  2. サミュエル・ダニシェフスキー Samuel J. Danishefsky
  3. 肥満防止の「ワクチン」を開発 米研究チーム
  4. セントラル硝子、工程ノウハウも発明報奨制度対象に
  5. 武田薬の糖尿病治療薬、心臓発作を予防する効果も
  6. 世界初!ラジカル1,2-リン転位
  7. キニーネ きにーね quinine
  8. あなたの天秤、正確ですか?
  9. 道修町ミュージアムストリート
  10. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年3月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その1

Tshozoです。今回はかなり限定した疾患とそれに対するお薬の開発の中身をまとめておこうと思いま…

第42回メディシナルケミストリーシンポジウム

テーマAI×創薬 無限能可能性!? ノーベル賞研究が拓く創薬の未来を探る…

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP