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化学者のつぶやき

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

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ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFinder® を日常的に利用されている方もたくさんいらっしゃるかと思います。この度、CAS SciFinder® の国内総代理店である一般社団法人 化学情報協会 (JAICI) より提供されている辞書サービス JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro) の機能強化が行われました。本辞書は化学・ライフサイエンスを中心とした科学技術用語の日英・英日辞書で、化合物名を中心とした一部の用語の中国語同義語も参照できます。

CAS SciFinder® の使用経験がある方はご存知かと思いますが、検索は全て英語で行う必要があります。確実かつ信頼性の高い対訳の情報を得るために、JSD Pro の利用を強くお勧めします。研究を開始されたばかりの学部生や院生の方には正確な対訳を確認するための必須ツールとして、また研究職の方にも英語論文執筆のための確固たるソースとして、利用されてみてはいかがでしょうか。
以下、特徴および CAS SciFinder® と一緒に活用した検索例を実際にお示しします。

JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro) の特徴

JSD Pro」は、かねてより提供されていた辞書「JSD」 からさらにパワーアップしたサービスです。JSD Pro も JSD と同様に、化学・ライフサイエンスを中心とした科学技術用語の日英・英日辞書ですが、JSD Pro はそれに加え一部化合物の中国語同義語も表示可能です。

なお、現在 JSD の提供は終了しており、JSD Pro のみを提供しています。JSD Pro は有料サービスですが、CAS SciFinder® などの CAS 関連製品を契約している機関に所属している方は特別に無料利用できます (要登録、有料・無料それぞれに一定の利用回数制限あり)。

JSD Pro の収録語数は約 85 万語となっています。広辞苑 (第 7 版) の収録語数が 約 25 万語とのことで、いかに膨大な収録語数かが分かります。 また、JSD Pro 収録語のうち、約 80 % は化学・ライフサイエンス分野の専門用語となっています。これだけサイエンスに特化した辞書サービスは他に類を見ないものと思われます。

2025年3月19日に公開された機能強化 (JAICI ニュース) では、様々な疾病・症状に関する治療薬や、多岐にわたる用途・特性を有する化合物の対訳が追加されています。その一部を以下の表に示してあります (* 下表のうち JSD Pro に収録されている情報は左側 2 列 (英語・日本語) のみです)。

また、同日のアップデートでは、中国語の同義語も約 3,600 件追加されています。CAS SciFinder® で化合物・反応検索を行うと、中国語の論文や特許文献にたどりつき、「ちょっとよく分からないな…」と感じる場合もあるかと思います。現在は DeepL や ChatGPT でもある程度対訳は可能ですが、辞書という確固たるソースがあると非常にありがたいですね。下表の例のように、アグマチンではいくつかの中国語表記が併記されています。このように表示ゆれがある場合にも JSD Pro による検索が役立ちます。
(* 下表のうち JSD Pro に収録されている情報は左側 3 列 (英語・日本語・中国語) のみです)

実際の検索画面

試しにアスピリンを検索してみました。以下のように、日本語・よみ・英語・日本語同義語・英語同義語・中国語同義語・関連語・シソーラス (この後解説します) などが列挙されています。

シソーラスの充実

シソーラスとは、用語をその意味に応じて体系的に関連付けた用語集です。 JSD Proでは、外部機関が作成した日本語シソーラスを JAICI で再構築し、英語の対訳と紐づけしています。ある注目する語について、同義語・上位語・下位語・関連語を確認でき、検索語の周辺に位置する語彙を調べることができます。​例えば、腎臓病に関するシソーラスは下図のようになります。収録語とシソーラスについての詳しい説明は JAICI のサイトをご覧ください。

JSD Pro を実際に使ってみた

こちらが JSD Pro のトップ画面となります。BOX に目的語を入力して検索を開始します。

まず、検索語として、ライフサイエンス用語である NF-κB を選択しました。これについて JSD Pro で検索してみました。

表記ゆれを含め、3件ヒットしました。このうち、シソーラスが閲覧可能 (検索結果の左端のアイコンに階層マークが表示されているもの)な用語で、ハイフンが真ん中にある2番目の検索結果をクリックして開きます。

日本語対訳として、核内因子カッパBという単語が表示されています。 NF-κB は略語なので、これにより NF が Nuclear Factor = 核内因子の略と分かりました。
シソーラスには、2つの階層にそれぞれ属する上位語が計 3 語 (転写因子・蛋白質・DNA結合蛋白質) が示されています。これで、NF-κB がどのような性質の分子か簡単に把握することができます。 また、下部には PLOS をソースとする英語での用例が出力されています。

検索した単語を用いて、CAS SciFinder® で化合物を探索してみます。
CAS SciFinder® にログインし、検索ウインドウに「”NF-kappaB” OR “nuclear factor kappa B” AND “Antioxidant”」と入れてみます。表記ゆれ対策として”NF-kappaB” OR “nuclear factor kappa B”、対象化合物の作用機序候補として “Antioxidant (抗酸化剤)” と入力しています。これを “References” を対象に検索します。

 

結果が表示されました。あとは興味深い文献を選択 (下図 1 枚目) し、化合物検索を選択しチェックボックスにチェックを入れ絞り込み (下図 2 枚目) → NF-κB に関連する抗酸化剤の候補化合物 として フィセチン Fisetin が表示されました (下図 3 枚目)。

↑文献検索結果、興味深い文献にチェックを入れる

 

↑文献に登場する化合物の一覧を表示させるよう設定

 

↑ 候補化合物として Fisetin がヒット

以上、JSD Pro の活用により、『NF-κB が「日本語で核内因子カッパBの略語」と分かり、さらにその英語表記ゆれを含めて CAS SciFinder® で文献検索することにより、関連する抗酸化剤分子 Fisetin にたどり着く』ことができました。

以上、JSD Pro での検索から CAS SciFinder® との連携について 1 例を示しましたが、動画による詳しい説明も JSD より提供されておりますので、ぜひご覧ください。

他にも参考動画が用意されていますのでぜひご覧ください!
https://www.jaici.or.jp/jsd-dictionary/#video

おわりに

以上、簡単ではありましたが、パワーアップした辞書サービス 「JSD Pro」の活用事例を紹介させていただきました。

辞書というツールに触れる機会は、検索エンジンや翻訳サービス、AI の発展により減少してきているのが現状かとは思います。筆者も研究活動を開始した頃は各種ネット辞書や書籍型の辞書も活用し論文の翻訳に精を出しておりましたが、いつの間にか翻訳サイトに投げてしまうこうが多くなりました。しかしながら、このような時代であるからこそ、論文を執筆し情報を発信する側は信頼性の高いソースを参考とした文章を執筆する必要があり、また情報の検索においてもしっかりバリデートされた辞書を活用して行うことで、自信を持ってデータを利用できるようになると思われます。

今回のリリースを機に、ぜひ一度 JSD Pro に触れていただき、辞書の活用と CAS SciFinder® との連携を試していただければ幸いです。

JSD Pro のトライアル・お申し込みはこちらから

JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)

JAICIでは機械翻訳サービスも提供しています

高精度な機械翻訳により自然科学系の海外論文・特許などを翻訳できます。独自開発技術「化合物表記翻訳」を組み入れており、化学物質の翻訳に強いです。豊富なメニュー・機能を有しており、一例を挙げると、CAS SciFinder® で得られた検索結果 (英語のPDF) をレイアウトそのままに和訳した PDF を入手できるので、理解を深めたり作業スピードを上げることができます。

無料トライアル・無料デモ翻訳はこちらから
JAICI AutoTrans

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*旧版 JSD のサービスは現在終了しています。

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DAICHAN

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創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

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