[スポンサーリンク]

医薬品

アスピリン あすぴりん aspirin 

[スポンサーリンク]

アスピリン(Aspirin)とは,代表的な消炎鎮痛剤の一つで非ステロイド性抗炎症薬の代名詞とも言うべき薬剤です。

歴史・用途

紀元前よりヤナギの樹皮は歯痛、解熱剤等に用いられており、1827年にこれらから抽出したエキスはサリシン(salicin)と名づけられていました。

サリシン(salicin)

その後、1860年にsalicinが加水分解されたサリチルアルコールを酸化することによってサリチル酸が合成されました。サリチル酸は抗リュウマチ作用がありリュウマチ熱などの治療に用いられていましたが、その強い苦味や、胃障害などより人々に敬遠されてきました。

サリチル酸

 

そこで登場したのが1889年にドイツBayerのホフマン博士により合成された、サリチル酸がアセチル化された構造を有するアスピリン(aspirin)です。アスピリンは爆発的な売り上げをあげ、ある時期南米の一部では経済不況の際、コインの価値より安定しているため通貨として用いられたぐらいです。

さらに、1970年代にイギリスの薬理学者ジョン・R・ヴェインによりプロスタグランジンの鍵生合成酵素であるシクロオキシナーゼ(cyclooxygenase)を阻害することが発見されました。(この研究によりノーベル医学賞を受賞しています。)。さらに近年になってアルツハイマー病や骨粗鬆症、糖尿病、など 様々な病気への効能があることが報告されています。このように、アスピリンは最も古く非常に効果的な医薬品ですが、胃障害などの副作用もあり、飲みすぎには注意です。

  • 関連書籍
ダイヤモンド社
チャールズ・C. マン(著)マーク・L. プラマー(著)Charles C. Mann(原著)Mark L. Plummer(原著)平沢 正夫(翻訳)
発売日:1994-01
ランキング:110636
平凡社
平沢 正夫(著)
発売日:2001-09
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:233295
おすすめ度:
4.0
おすすめ度5
アスピリンの威力と日本の歪んだ医療制度を指摘
おすすめ度3
アスピリン万歳
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無線の歴史編~
  2. チエナマイシン /thienamycin
  3. アスパラプチン Asparaptine
  4. セレノネイン selenoneine
  5. ペリプラノン
  6. ブレオマイシン /Bleomycin
  7. ペルフルオロデカリン (perfluorodecalin)
  8. カフェイン caffeine

注目情報

ピックアップ記事

  1. マイクロ波とイオン性液体で単層グラフェン大量迅速合成
  2. 銀ジャケを狂わせた材料 ~タイヤからの意外な犯人~
  3. 高校生の「化学五輪」、2010年は日本で開催
  4. iPadで計算化学にチャレンジ:iSpartan
  5. アレクセイ・チチバビン ~もうひとりのロシア有機化学の父~
  6. 定量PCR(qPCR ; quantitative PCR)、リアルタイムPCR
  7. ベンゼン環が速く・キレイに描けるルーズリーフ
  8. 第40回「分子エレクトロニクスの新たなプラットフォームを目指して」Paul Low教授
  9. 偽造ウイスキーをボトルに入れたまま判別する手法が開発される
  10. アルツハイマー病患者の脳内から0価の鉄と銅が発見される

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP