[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

新規化合物データチェックリストとWord整形プログラムver2

[スポンサーリンク]

こんにちは、Macyです。
以前こちらの記事で、NMRやMS、旋光度のデータを一つのExcelにまとめて管理し、NMR帰属の確認と補助が可能なExcelファイルを公開しました。
これをベースに、より高精度に書式変換が行えるプログラムにアップデートしたのでご紹介します。
新プログラムは以前公開したwebサーバーと同様のURLにver13として公開しました(こちらをクリック)。
軽微な点ですが、誤植を修正したのでver14としてアップロードし直しています(2025/12/08)。

–内包ファイル–
|– ExceltoWord_v1.txt:初期版VBAコード
|– ExceltoWord_v2.txt:Python版とほぼ同様のVBAコード、帰属チェックExcelファイルを指定して実行
|– ExceltoWord.py:python版、上記よりも少し高機能
|– 帰属チェックリストVer14.xlsx
|– マクロ有効化マニュアル20231004.pdf

自動で読みやすい形式にデータを整形

これまでのデータ出力欄は、セルの統合をしていたり、特徴量が規則的に並んでいなかったりと、プログラムで自動的にセルを見つけ出すのが極めて困難な状況でした。
そこで、プログラムに読ませるための新しい「Python」という名前のシートを作成し、データの種類(タイトル)とデータの内容の2列に全てのコンテンツを格納しました。

A列:データタイトル、B列:データ内容

 

ChatGPTでプログラム作成

過去に作成したVBAプログラムをベースに、ChatGPTに色々指示を出して、以下のようなプログラムを作成しました。
① 帰属チェックリスト.xlsxを指定して開く
② Pythonという名前のシートを参照し、A1:B5の内容を抽出
③ 化学式の数値下付きや核種の上付き、タイトルの太字、フォントサイズ、行間などのフォーマットを整えて、Wordに出力
④ 出力されたデータを再度チェックし、1H数の合計と13C数の合計を算出し、HRMS用の分子式のH数・C数と比較して整合性が取れているかチェック
⑤ 判定結果を末尾に記載
⑥ Excelファイル名_SI.docxという名前のWordファイルを保存

過去に公開したバージョンでは、文字列を検索し、カーソルを移動して範囲選択をして書式変更をかけるといったプログラムだったので、例外的なデータがあると対応できなくなっていました。
今回のバージョンでは、規則に則って書式を変換するプログラムになっているので、あらゆるケースに対応可能です。

 

Python実行環境の整備

このPythonプログラムは、再現性、安全性、柔軟性の観点からvenv(virtual environment)にて実行するのが良いです。
terminalやwindows powershellでvenvを構築する方法はChatGPTに次のように聞いて方法を教えてもらってください。

venvを<mac/windows>で構築する方法を教えて下さい。

venv環境ができたら、terminal上でvenvを有効化し、以下のコマンドで実行します。

以下最初のみ実行
pip install python-docx pandas openpyxl

以下のコマンドでpythonを実行:

cdコマンドでExceltoWord.pyを保存したディレクトリに移動

(mac)
python3 ExceltoWord.py ~/pass/to/帰属チェックリストVer13.xlsx
<python3で動かない場合はpythonコマンドを試してみてください。>

(windows)
python .\ExceltoWord.py .\帰属チェックリストVer13.xlsx
<ファイルが見つかりませんといわれる場合は、ExceltoWord.pyが存在するディレクトリにいないか、帰属チェックリストのpass指定が間違っています。>

 

おまけ: 実験項のミス発見AI

もうやっている人も多いかと思いますが、ChatGPTなどのオープンAIで機械的にSIの単純なミスを探すと大幅な時短になる上に、探しても見つからないミスまで見つかります。
全データを同時に読ませると判定精度が下がるので、読ませるデータは以下のように分類します。

  • 化合物タイトル+合成プロトコルの文章のみ
  • 化合物タイトル+NMR/MS/IR/mp/旋光度などのデータのみ
  • 化合物タイトル+合成プロトコルの文章+NMR/MS/IR/mp/旋光度などのデータ

テキストエディタなどにSI wordファイルの内容を添付し、上のようにデータを整形します。化合物タイトルはCompound Xという形式を推奨します。ブロックの判定がうまく行きやすくデータ抽出精度が上がります。
このテキストを.txtファイルとして保存し、ChatGPTにアップロードし、色々とチェックしてもらいましょう。論文の査読にもかなり使えます。

質問例1: 添付.txtファイル中のCompound Xから始まるブロック内のデータを読み、帰属のH/C数がMSのH/C数と整合性が取れているか判定してください。
質問例2: 添付.txtファイル中のCompound Xから始まるブロック内のデータを読み、MS記載の分子式からイオンを除き、分子量を算出してください。to give の後ろに続く(収量 (g or mg), 収率%)の値を取得し、分子量と収量(g or mg)から収量 (mol)および収率を計算してください。同一ブロック内の原料と思われる化合物の使用量(g, mol, 1 equiv.)のモル数を取得し、収率計算が正しいか判定して下さい。

表記ブレがあるとミス判定をすることがあるのですが、数値はあっているのにミス判定がでている場合は逆に表記ブレの疑いがあるので、間接的なミス発見も可能です。

おわりに

記事だけでは伝わりづらい部分もあると思いますので、ケムステSlack内のMacyにDMでご相談ください。
直接の連絡先を知っている人はご連絡いただければと思います。

 

関連記事

化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ②
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ③
IASO R7の試薬データベースを構造式検索できるようにしてみた
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ④

Macy

投稿者の記事一覧

有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

関連記事

  1. フッフッフッフッフッ(F5)、これからはCF3からSF5にスルフ…
  2. 電子実験ノートもクラウドの時代? Accelrys Notebo…
  3. 構造式を美しく書くために【準備編】
  4. 2009年人気記事ランキング
  5. “アルデヒドを移し替える”新しいオレフィ…
  6. 日本国際賞受賞者 デビッド・アリス博士とのグループミーティング
  7. 太陽光変換効率10%での人工光合成を達成
  8. 2018年3月2日:ケムステ主催「化学系学生対象 企業合同説明会…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 三原色発光するシリコン量子ドットフィルム―太陽光、高温、高湿への高い耐久性は表面構造が鍵―
  2. 佐藤しのぶ ShinobuSato
  3. マテリアルズ・インフォマティクスにおける分子生成の基礎
  4. 新しい太陽電池ーペロブスカイト太陽電池とは
  5. 科学部をもっと増やそうよ
  6. 【温泉を化学する】下呂温泉博物館に行ってきた
  7. 合格体験記:知的財産管理技能検定~berg編~
  8. フロリゲンが花咲かせる新局面
  9. 有機化学を俯瞰する –古代ギリシャ哲学から分子説の誕生まで–【前編】
  10. マティアス・クリストマン Mathias Christmann

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

光の強さで分子集合を巧みに制御!様々な形を持つ非平衡超分子集合体の作り分けを実現

第691回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 分子集合体化学研究室(矢貝研究室…

化学系研究職の転職は難しいのか?求人動向と転職を成功させる考え方

化学系研究職の転職の難点は「専門性のニッチさ」と考えられることが多いですが、企業が求めるのは研究プロ…

\課題に対してマイクロ波を試してみたい方へ/オンライン個別相談会

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波”について、今回は、適用を検討してみ…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP