[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

【python版】新規化合物データチェックリストとWord整形プログラムver2

[スポンサーリンク]

こんにちは、Macyです。
以前こちらの記事で、NMRやMS、旋光度のデータを一つのExcelにまとめて管理し、NMR帰属の確認と補助が可能なExcelファイルを公開しました。
これをベースに、より高精度に書式変換が行えるプログラムにアップデートしたのでご紹介します。
新プログラムは以前公開したwebサーバーと同様のURLにver13として公開しました(こちらをクリック)。
軽微な点ですが、誤植を修正したのでver14としてアップロードし直しています(2025/12/08)。

最新版をGitHubに公開しました。リリースノートや実装方法を詳細に解説しています。
また、Windows、Macユーザーともに、pythonを動かさずに済むように、簡便な実行方法も構築しました(2026/04/29更新)。

 

自動で読みやすい形式にデータを整形

これまでのデータ出力欄は、セルの統合をしていたり、特徴量が規則的に並んでいなかったりと、プログラムで自動的にセルを見つけ出すのが極めて困難な状況でした。
そこで、プログラムに読ませるための新しい「Python」という名前のシートを作成し、データの種類(タイトル)とデータの内容の2列に全てのコンテンツを格納しました。

A列:データタイトル、B列:データ内容

 

ChatGPTでプログラム作成

過去に作成したVBAプログラムをベースに、ChatGPTに色々指示を出して、以下のようなプログラムを作成しました。
① 帰属チェックリスト.xlsxを指定して開く
② Pythonという名前のシートを参照し、A1:B5の内容を抽出
③ 化学式の数値下付きや核種の上付き、タイトルの太字、フォントサイズ、行間などのフォーマットを整えて、Wordに出力
④ 出力されたデータを再度チェックし、1H数の合計と13C数の合計を算出し、HRMS用の分子式のH数・C数と比較して整合性が取れているかチェック
⑤ 判定結果を末尾に記載
⑥ Excelファイル名_SI.docxという名前のWordファイルを保存

過去に公開したバージョンでは、文字列を検索し、カーソルを移動して範囲選択をして書式変更をかけるといったプログラムだったので、例外的なデータがあると対応できなくなっていました。
今回のバージョンでは、規則に則って書式を変換するプログラムになっているので、あらゆるケースに対応可能です。

 

Python実行環境の整備

(pythonに馴染みのない人向けに、簡単に実行できる環境を整えました。詳細はGitHubを参照してください。以下は一般的なpythonの使用方法にもなるので、元記事のまま残しておきます。)
このPythonプログラムは、再現性、安全性、柔軟性の観点からvenv(virtual environment)にて実行するのが良いです。
terminalやwindows powershellでvenvを構築する方法はChatGPTに次のように聞いて方法を教えてもらってください。

venvを<mac/windows>で構築する方法を教えて下さい。

venv環境ができたら、terminal上でvenvを有効化し、以下のコマンドで実行します。

以下最初のみ実行
pip install python-docx pandas openpyxl

以下のコマンドでpythonを実行:

cdコマンドでExceltoWord.pyを保存したディレクトリに移動

(mac)
python3 ExceltoWord.py ~/pass/to/帰属チェックリストVer13.xlsx
<python3で動かない場合はpythonコマンドを試してみてください。>

(windows)
python .\ExceltoWord.py .\帰属チェックリストVer13.xlsx
<ファイルが見つかりませんといわれる場合は、ExceltoWord.pyが存在するディレクトリにいないか、帰属チェックリストのpass指定が間違っています。>

 

おまけ: 実験項のミス発見AI

もうやっている人も多いかと思いますが、ChatGPTなどのオープンAIで機械的にSIの単純なミスを探すと大幅な時短になる上に、探しても見つからないミスまで見つかります。
全データを同時に読ませると判定精度が下がるので、読ませるデータは以下のように分類します。

  • 化合物タイトル+合成プロトコルの文章のみ
  • 化合物タイトル+NMR/MS/IR/mp/旋光度などのデータのみ
  • 化合物タイトル+合成プロトコルの文章+NMR/MS/IR/mp/旋光度などのデータ

テキストエディタなどにSI wordファイルの内容を添付し、上のようにデータを整形します。化合物タイトルはCompound Xという形式を推奨します。ブロックの判定がうまく行きやすくデータ抽出精度が上がります。
このテキストを.txtファイルとして保存し、ChatGPTにアップロードし、色々とチェックしてもらいましょう。論文の査読にもかなり使えます。

質問例1: 添付.txtファイル中のCompound Xから始まるブロック内のデータを読み、帰属のH/C数がMSのH/C数と整合性が取れているか判定してください。
質問例2: 添付.txtファイル中のCompound Xから始まるブロック内のデータを読み、MS記載の分子式からイオンを除き、分子量を算出してください。to give の後ろに続く(収量 (g or mg), 収率%)の値を取得し、分子量と収量(g or mg)から収量 (mol)および収率を計算してください。同一ブロック内の原料と思われる化合物の使用量(g, mol, 1 equiv.)のモル数を取得し、収率計算が正しいか判定して下さい。

表記ブレがあるとミス判定をすることがあるのですが、数値はあっているのにミス判定がでている場合は逆に表記ブレの疑いがあるので、間接的なミス発見も可能です。

おわりに

記事だけでは伝わりづらい部分もあると思いますので、ケムステSlack内のMacyにDMでご相談ください。
直接の連絡先を知っている人はご連絡いただければと思います。

 

関連記事

化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ②
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ③
IASO R7の試薬データベースを構造式検索できるようにしてみた
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ④

Macy

投稿者の記事一覧

有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

関連記事

  1. アノマー効果を説明できますか?
  2. J-STAGE新デザイン評価版公開 ― フィードバックを送ろう
  3. ラジカルを活用した新しいケージド化法: アセチルコリン濃度の時空…
  4. 「天然物ケミカルバイオロジー分子標的と活性制御シンポジウム」に参…
  5. 日本化学会 第103春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン P…
  6. 今年の光学活性化合物シンポジウム
  7. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(2)
  8. 親子で楽しめる化学映像集 その1

注目情報

ピックアップ記事

  1. 世界が終わる日までビスマス
  2. エーザイ、アルツハイマー治療薬でスウェーデン企業と提携
  3. 芳香族フッ素化合物の新規汎用合成法
  4. アメリカで Ph.D. を取る –エッセイを書くの巻– (前編)
  5. 工学的応用における小分子キラリティーの付加価値: Nature Rev. Chem. 2017-6/7月号
  6. デーリング・ラフラム アレン合成 Doering-LaFlamme Allene Synthesis
  7. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」②
  8. サイエンスアゴラの魅力-食用昆虫科学研究会・「蟲ソムリエ」中の人に聞く
  9. コロナウイルス関連記事 まとめ
  10. 第30回 弱い相互作用を活用した高分子材料創製―Marcus Weck教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

“とび跳ねる水滴”に潜む物理 〜接触時間とエネルギー源で読む撥水・防氷のテク〜

熱したフライパンに落ちた水滴が、玉になってコロコロと走り回り、冷えた面では、結露水が合体した瞬間に跳…

AI時代に研究者がすでに持っている力・これから伸ばしたい力

論文要約や文献検索など、研究現場でもAI活用が日常化する一方、「自分の仕事の先行き」に漠然とした不安…

miHub®を活用した探索的データ解析の実践

開催概要研究開発においてデータ活用が進む中、機械学習モデルの構築や予測解析に…

“ある特効薬”のはなし ~本田宗一郎氏の回想から

Tshozoです。最近実家に戻っては色々と廃棄するなどの店じまいを少しずつ進めているのですが、中…

高分子鎖を束ねた新しい共重合体「束状共重合体」が誕生

第715回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 工学系研究科(植村研究室)に所属されていた亀谷…

2026年「有機溶媒危機」へのアンサー。北大発・メカノクロスが挑む、溶媒に依存しない新たな合成法 = “メカノケミカル有機合成”の社会実装

株式会社メカノクロスは、メカノケミカル有機合成技術の社会実装に挑む北海道大学発の…

“壊れないよう” に作ってきた半導体ポリマーを、あえて “壊れるよう” に作る化学

半導体ポリマーは長いあいだ、「いかに壊れにくく、長持ちさせるか」といったような安定性を競って進歩して…

有機合成化学協会誌2026年7月号:固体高分子電解質・電子ドナー・アクセプター錯体・機械学習法・trichodermamide類・エナンチオ選択的スキップジエン合成法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年7月号がオンラインで公開されています。…

第62回Vシンポ「見えない空気を科学する~センサによる室内環境・臭気の見える化と快適空間デザインの最前線~」を開催します!

こんにちは、Macyです。第62回Vシンポのご案内をさせていただきます。今回は、前回同様…

【協和ファーマケミカル】新卒採用情報(2028年卒)

協和ファーマケミカルが求めているのは、有機合成の知識や実験経験を身につけ、活かし…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP