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ピレスロイド系殺虫剤のはなし~追加トピック~

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Tshozoです。先日TL上でちょっと気になる話を見ましたでございますのよ。

以前ピレスロイド系殺虫剤について記事を書いたのですが、その中で虫特有の神経構造に対し効く、的な内容で終始していたものの水性生物への影響には無自覚。実際アース社大日本除虫菊社は注意点として「観賞魚、観賞エビ、小鳥、爬虫類などの居る空間では使用しないこと」を明記しており、これについて先の記事中に記載が無かったことを深くお詫びいたします。

しかしながら、ですよ。上記の3種類は生き物として虫とは異なるはずなのに何故効いてしまうのか。

ピレスロイド系殺虫剤は虫に存在する神経機構のうちナトリウムイオンチャンネル(下図 左上)をターゲットにしたもの、というのは前回の記事でお話しした通りです。筆者のテキトーな認識としては虫には効いても哺乳類「とか」にはだいたい効かないと思っていたのですが、神経構造をいちいち調べていたわけではなかったのが災いしました。

前回記事から再掲 ピレスロイド系殺虫剤は左上の矢印部 ナトリウムイオンチャンネルに
くっついて神経伝達そのものを阻害する

代表的な人工ピレスロイド殺虫剤 前回記事から再掲
左からd,d-T-シフェノトリン、イミプロトリン、フェノトリン、トランスフルトリン

で、どうも調べてみると虫以外の動物の一部にも効いてしまうらしく、神経ガスを食らった形よろしくマヒしてお陀仏となるわけで、それが冒頭の悲劇の原因だったようです。ということで今回家庭内でみかける水生生物や小魚、小鳥、両生類にどの程度効くのかい、もしかしてヒトについても効くんじゃねぇのかよ、というのをそれぞれ詳細に調べた次第です。追加トピックということで短いですがお付き合いくださいですわ。

神経チャネルについての初心者的解釈

そもそも、動物において真核生物(いわゆる多細胞生物)の細胞は基本構造がだいたい一緒()という大原則があります。動物と植物の細胞とすら、かなりの構成で似ている。筆者は無脊椎動物と脊椎動物とはイオンチャネルがかなり違うのだろうと思っていましたがその大前提が間違っていた。お詫びします。

で、ピレスロイド系殺虫剤が対象とする神経機構中のナトリウムチャンネルについても、下図のようにほとんどの生物において非常によく似ているらしい(下図)。人と電気ウナギの細胞構造の一部が一緒なんて誰が予想したでしょうか。筆者の勉強不足です。申し訳ありません。

構造が共通している例示 生物に存在する24回膜貫通型Na+チャンネルの分類(文献1より切り抜いて引用)
数字は類似性を示す ピレスロイドへの感受性はこの分類の差に依存すると推定
同じく(文献1)より24回貫通型Na+チャネルの概略図・・・だが・・・何がなんだか。。。
イオンチャネルの基礎的な知識はこちらのサイトが詳しい

考えてみりゃ、生物の進化が下図のようにずーっと真核生物を最初としてそれを引き継いでいるのですから、これが脊椎動物になろうが無脊椎動物になろうが(細胞がどう運用されるかで多少違いますが)、基本的な細胞構造や動作原理は違わないというのが自然な解釈ではと思います…生物学素人の軽はずみな感想ですが。

(文献2)より引用 そりゃ分家であっても同じ祖先だったら子も似るわな、と
凄まじく雑な言い方をするとこの図のグループはだいたい似た構造の細胞を持っているもよう

ということで多少の差異はあるにせよ細胞膜や神経伝達の仕組みも原則はぼちぼち一緒(もちろん感受性(=チャネル分子構造の違い)はありよく効く/効かない差はあります)。ただ室内でスプレーでひと吹きした程度で人間が死んだという話はあんまり聞かない(注:ぜんそく・アレルギー等への注意は注意書きに必ず記載されています)。つまりは人体に入った、または接触したとしてその総量のどの程度がそのターゲットである神経チャネルに届くか、到達できるか、作用できるかの大小の問題となるわけです。

ためしにピレスロイド系のシフェノトリンにおいて、実験動物の代表例であるマウスのLD50の例を調べてみると(SDS リンク林純薬工業殿)経口摂取で300mg/kg、皮膚接触による急性毒性で4mg/kg程度なのでまぁスプレー1回撒かれたくらいではそう簡単にやられはせん、というレベルなのはわかる(スプレーひと吹きでたかだか数十ug程度、実際には拡散するのでもっと少ない量では、と推定)。ただ体重の少ない小動物はやはり問題になるらしく、キンチョーブランドを抱える大日本除虫菊社も「昆虫類、両生類、爬虫類などを飼育しているお部屋で使用される場合は、飼育ゲージごとお部屋の外に出し、噴射後30分間はお部屋を閉め切り、十分に換気した後でお部屋に戻して下さい」(リンク)、また「熱帯魚や金魚など魚類にも毒性が強いので、エアゾール殺虫剤やくん煙剤を使う時には、水槽にカバーをするか、部屋の外に出すなど、注意してください」(リンク)と書かれています。つまりは昆虫類はもちろんカエルや魚などには数十ugレベルでもやばい可能性があるのが予想出来ることになり、ここらへんが冒頭で述べた案件とつながるのでしょう。その作用、というか効き代がどのくらいなのかというのが今回の記事のポイントです(注:本記事で述べるのは急性毒性が主です)。

エビとかへの作用詳細

ということで冒頭で述べたエビがどのくらいの濃度で死ぬのか、ですが、種類が色々あるのを脇に置いて結論から言うとかなりの低濃度のピレスロイド系殺虫剤でも死んでしまうようです。何を言っているかというとまず(文献3)。

フロリダを中心に存在するmysidsとgrass shrimpのイメージ
サイズは5mm~40mm程度 
写真拝借リンク:(こちら と こちら)

この論文ではエビよりももっと小さいアメリカに分布するアミエビ類mysidsと、今回の例とよく似ているであろうテナガエビの一種grass shrimpが調査の対象。なので日本のエビへの影響度は多少違うと思いますが同じ甲殻類ということである程度相関性はあるとみて以下話をします(乱暴)。その論文の要旨の図を示すと下記のとおり。分子構造の上のところに書いている有害性は各分子のSDSからの記載で、今回のポイントは3番目のシペルメトリンです。

縦軸:死亡率、横軸が水内の各材料暴露濃度 (文献3)より筆者が編集して引用
少し字が小さく見えるのでPCの方は画像を別タブに移し、拡大してご覧ください

このグラフが何を言うてるかというと、まずピレスロイド系殺虫剤は概して水棲エビを死に至らしめる強い毒性を持ち、そしてその中には顕著に高い毒性を示すものがある、ということ。縦軸は死亡率(Mortality)、横軸は暴露させた各材料濃度なのですが単位がng(ナノグラム)/L。感覚的には塩粒一つの1/1000くらいの重さが1Lの水に溶けててバタバタ死ぬ、ということを示しているのですから、その恐ろしさが如実に理解できるでしょう。しかもエビの幼児大人問わず効いてしまう。特にハロゲン系(F, Cl)のものが分子の左端にくっついた上の図の3種は論外レベルの効果を示しています(追記:ピレスロイドにはタイプ1とタイプ2があるらしく、タイプ1には非ハロゲン系、タイプ2には上図のハロゲン系が属するようで、基本的にタイプ2の方が影響、水生毒性がデカそうです(文献4))。ただ、今回の冒頭のケースも蚊取りワンプッシュ、とあり、それらの製品によってはシペルメトリンとよく似た構造のトランスフルトリンが結構なケースで使われていることもあるため、以下シペルメトリンを使った場合を考えてみます。

まず水中の推定濃度。一般にワンプッシュスプレーの製品全液量がざっと20mlで、説明書によるとこれが合計80回プッシュ分とのことですから250ul/回、殺虫剤濃度が1~10wt%なので、中間をとって5wt%程度とし、密度が水と同程度と無理矢理仮定すると12.5ug/回が放たれるわけですね。これが1Lの空間内へスプレー1回で放たれるとして、そこから拡散で1/1000程度に薄まってから水中へ暴露・溶解したと仮定すると12.5ng/L….上記の図をそのまま信用するとシペルメトリンだとギリギリライン(10%程度が死亡)であるということがわかります。というか多分即死を免れても何らかの障害が残りそうな印象。とはいえLD50に至るにはあと3倍、全滅に至るにはあと10倍くらい濃度が濃くなってようやく、という領域なのでいかに効果の高いピレスロイド系でも、全滅はちょっとねぇなあ、という気がします。

上の計算のイメージ スプレーが室内で1000倍に拡散した、という前提だが…

では冒頭の話のようにたった20minで全滅させるほど悪化させる要因は何が推定できるでしょうか。筆者は経験的に3点、①投稿者の嫁さんのプッシュ連射 ②水中へのエアバブリング ③風向き、が事態を悪化させた原因ではないかと考えております。特に①②が重要です。

まず①。うちのカミさんの例を挙げて恐縮ですが、なんでも複数回やりやがる。たとえばファブ●ーズ。たとえば靴の防水スプレー。たとえば芳香剤。「1回でいい」って説明書に書いてあるのに何度も押しやがる。特に殺虫剤のように「量さえ撒けば効果はあるんだろ」的な感じの材料はひどい。ふざけて書いてるわけではなく、本当にこういう人は存在するのです。これがたとえば2回余計にプッシュするだけでもうあっという間にスプレー1回拡散濃度はLD50に到達し得るのはすぐ想像できるでしょう。

そしてもう一つは②。一般にご家庭の金魚などを飼っている水槽は水中へエアバブリングをしています。バブリングは当然ながら空気を吸い込んで水中に噴射しているので、この時に上記の薄まったはずの分が取り込まれて経時で平気で何倍にもなり得る。しかも壁側に空気取込口を置いているような場合、だいたいこういうスプレー類は壁に沿って動きますから、長時間でLD50をはるかに超える値になることは十分想定できます。なお③はさすがにご家庭の事情で左右されるためなんとも言えませんが、冒頭のケースでは部屋の中で撒いたのではないのにひどい結末になっていることを考えると相当運が悪い配置になっていたのでしょう(換気扇が該当の部屋にしかなかったとか)…

ともかく、結局どのスプレーであっても生き物の近くで軽々に使ってはいけない、という気遣いが必要になるのはよく理解できたかと思います。ワンプッシュに限らず、殺虫スプレー全体は本当に気をつけた方がよさそうですね。

なおピレスロイド系材料はエビの細胞のどこにアタックしているのか。これについては色々調べた結果、残念ながらよくわからんでした。すみません。というかこういう小動物に対し極少量の毒がどう効くかってのは相当に見極めにくいのだと思います。言い訳はともかく推定をしてみると(文献4)や一般的な認識としては一番上の図のところに描いたようにナトリウムチャンネルにアタックして神経制御の動きを止め、常に細胞を興奮状態に陥らせ呼吸などをできなくさせるという作用であるのはまぁ間違いなさそうです。特に上に挙げた(文献3)の図を見直すと、幼齢だろうが成齢だろうがほぼ同じ濃度でLD50を突破している。つまり効いているのは体重や表面積ではなく、幼児大人ともに共通する部分で、脱皮などで大きくなっても無関係に効いていると考えられます。そもそも甲殻類は昆虫と同じ節足動物ですから効果が高いのも納得ではありますね。

一方、魚類におけるピレスロイド系殺虫剤、今回の場合のシペルメトリンのLD50値もかなり低い濃度であるのが確認できています。ナンボかというとだいたい小さな甲殻類の9倍程度(文献5)。

(文献5)から引用 ppb=ug/L なので 0.2ppb=200ng/L
桁レベルは(文献3)ともだいたい合っている

ちょっと古いデータに基づいているので上のグラフと若干ずれていますが、甲殻類crustaceanの1000倍くらい体重がありそうなブルーギルで甲殻類のたった約9倍(≒1.78/0.2)でLD50に到達してしまう。となると、体内に拡散するというより水に接しているところから影響を及ぼしている可能性が高い。一番可能性が高いのはエラ。筆者も知らなかったのですが一般的な魚には「塩類細胞」と呼ばれる、体内の浸透圧を調整するためにナトリウムやカリウムの量をコントロールすることの出来る細胞が大量にエラに存在するそうで、こりゃナトリウムチャネルとかなり良く似ている可能性が高い。そもそも酸素を吸い取ることのできるようなデリケートなところにこういう活性が高い材料がきたら、そりゃ有効に作用してしまうでしょう。これらのことから、シペルメトリンは魚のエラ細胞のナトリウムチャネルに作用し細胞の機能を攪乱(実質マヒ)させてしまい、窒息させているのではないかと推定されるわけです。ということで魚もアウトですので殺虫剤使用の折には十分注意しましょう。

あと大前提として水に溶けるのか、何時間も水中で安定なのか、という点も少し気になったのですが、前者はニトリルとかケトンとかが構造中央部に入ってるので数mg/L程度は余裕で溶けそう。問題は後者。それも調べたところ、一般的にピレスロイド系殺虫剤は水のpH次第でその安定性が変わるらしく(文献4)(文献5)、pH<8付近であれば加水分解も起こさず結構安定らしい。あと紫外線にはかなり弱く照射後20分くらいでケトン付近から切断されるらしいのですが(下図)(文献4)、例えば水中で拡散して水草の下とかに入り込んだらもうアウト。ということで時間がたったら分解する、ってのも程度次第と状況次第なので、鵜呑みにしない方がよさそうです。

シハロトリンの光分解の傾向イメージ (文献4)から引用
これから察するにケトン・ニトリルの導入は環境中での

分解性を促進する意味もありそう シクロプロパンが結構硬いのが意外

なお、タイプ1の非ハロゲン系(ペルメトリン・フェノトリン/下図2種)は暴露許容量がまだ比較的多い。これならまだギリセーフではないか・・・と思うのですがそれが素人のあさかかさ。たとえばフェノトリンの630ng/Lあたりの線を見ますと、長時間暴露することで死亡率が一気に75%前後まで跳ね上がっている。

(文献3)より改めて筆者が編集して引用

つまり、たとえばゴキブリ相手になんとかジェットみたいな殺虫剤を閉鎖空間で慌ててシューシュー噴射したら、今回採り上げたワンプッシュどころではない分量のピレスロイド系殺虫剤が部屋内にぶちまけられ、それが水槽に到達しないとも限らない。その結果、上図のグラフのLD50を平気で超えてくる濃度に達してしまうことだってあり得るのです。ということでアクアリウムなどで観賞魚を飼っていたり甲殻類を飼っていたりされる方々はこのことを十分ご認識いただき、またご家族にも十分理解いただき生活を進めて頂くのがよいのではないか、ということが分かった次第でした。

気を付ける動物としては他に何があるか

上で取り上げた以外に、小動物、つまりモルモットや小鳥とか爬虫類はどうか、という点ですがまぁモルモットや小鳥はマウスと同様、ワンプッシュくらいの量では体重比でLD50にはかからなさそうなので問題ないかな(ただしあくまで確率論で、アレルギー等の疾患を持っているような子だとえらいことになりますのでやっぱり警戒しておいてください),,,

あと直感的にヒフ呼吸してる両生類とかもやばいんじゃないかと思ったんですが意外と大丈夫そう((文献6)・下図・あくまで比較論&急性毒性・文献によっては卵や胚にかなりの悪影響が発生し得るとしているものもあり)。あと貝とかも比較的大丈夫で、これらは虫と違って節足動物ではない点、魚と違ってエラに浸透圧を調整する機構がない点が影響していると考えられます。ただこちらもあくまで確率論・比較論ですのでちゃんと防護策を取った方が安心・安全でしょう。

(文献6)から引用 縦軸は「トビムシ死亡率」という特殊な単位に
なっているので、あくまで相対値として考えてください

一方で上図に入ってない爬虫類は感受性が低いようなことが(文献7・LD50で2000mg/kg)に書かれていて一安心、と思いきやLD50の1/1000の量でも細胞内にダメージを及ぼすような記載があり(文献7)、あまり軽々に使ってもいいもんではないのは明白ですね。毒性の種類としては下図のようになるのですが(文献8)、ピレスロイドの中にも変異原性が疑われたり生殖毒性を及ぼすようなタイプも存在(下図・(文献8))するらしく、やはり各法規、各規制を厳格に守って使用する必要がある、ということは改めて意識頂きたい点かと思います。

(文献8)より引用 カナダで登録されたピレスロイド系殺虫剤の毒性一覧
広く神経毒性は高いものの、
遺伝子への影響を及ぼさない点が使い勝手のポイントとなる

ということで、特に注意すべきは魚、エビ、昆虫なのは確実で、ほかの生き物で特に注意すべき種類はどうもいなさそうではあります。ですが悲しい思いをしたくないなら、十分に配慮した形で安全に用法・用量を守って正しくお使いください、というすごく当たり前の結論になってしまいましたね。

最後になりますが、(文献6)ではある男性が食用油と間違えてシペルメトリン10wt%が入った溶剤で揚げた野菜を食した結果、激痛に苦しんで死んだというケースがありました。ということでニンゲンも大量に摂取すると余裕で死にますので、極端な例ではありますが十分に注意しましょう。歴史的にピレスロイド系材料は除虫菊が原料だった、と言えばその通りですが、結局のところピレスロイド系殺虫剤は農薬の一種であるという認識が十分に必要なのではないでしょうか。昭和の中期は誤用したりして亡くなられたケースが新聞で何度か報じられていたのを読んでいたり田んぼで撒いていた知り合いの爺様が撒いた後に体調が悪くなったりとそれなりに危険性が身近だったのですが、最近は色々と安全性も上がり使い方や管理方法も気を付けるようになっていて意外とオモテには出づらくなっているのかもしれません。農作物の大量生産・大量消費を行う以上、害虫類や真菌類等への武器として農薬は必須なのですが、より家庭に近いところでの使用につき毒性と使用方法を今一度大きく注意喚起をした方が色々な面で良い方向に回るのではないか、と思った次第です。その方がムダに噴射しまくるような●●なユーザーも減らせるでしょうし。色々な意味で意思疎通が通じない人が増えてきている昨今ですが、製造元・販売元殿には諦めずに喚起継続頂きたい次第です。

おわりに

書いてみて気づいたのですが、ピレスロイド系殺虫剤は比較的安全とは言われつつ、あくまで人に対してのもの。例えばピレスロイド系殺虫剤を川近くのゴルフ場で大量に撒いたとしたら生態系にメチャクチャ影響を与えるでしょう。要は農薬の一種であって相当に気を遣って適正に適切に使用しなければならない材料、ということは改めて認識し、認識されるべきであると記事を書きつつ思った次第です。

しかし適正に使用されているかどうか、ということの判断は色々と面倒ですね。特に最近、農薬ではないですが化学肥料に頼らない農業、とかいう歴史も技術発展もガン無視したようないわゆるスピリチュアル系の影響があるような恐ろしい施策が国の方で挙がったりしています(リンク)が科学技術立国が聞いて呆れる。別に化学肥料が万能であるとか農薬万歳とかそんな工業偏重なことは申し上げませんが、どれだけの農作物を作るのにこれだけの肥料(窒素・リン・カリ)導入量が必要で、そのために必要な化学肥料の減量分目標は云々、農薬も環境負荷を考慮するとこの程度の減量目標があって、、、という一番大事な科学的指標なしに目標値だけ示すという「花火型」政策=打ち上げだけは派手、あとは知らん政策、はもういい加減にしてほしいのですが。

一般的に日本の政策は欧州とか米国のそれに毎回引きずられることが多いのですが、特に最近欧州も米国もどう考えても非科学的だろう、な政策が散見されるケースが多いような気がします。いい加減その現実に目を覚まして、ヨソはヨソ、ウチはウチ的なスタンスを築いてほしい次第です。補助金目当てに怪しい金が流れ込んだりするケースがあったりしますし、マスバランスを考えずに化学肥料を使わない云々を主張するろくでもない輩はスパッと壊滅させたいところですが、それをやると●国のように言論統制を生む。民主主義は自由を享受する弊害として、それだけ他国がつけ入りやすい隙を生む、ということなのかもしれません。

それでは今回はこんなところで。

参考文献

1. “NaV チャネル全史̶̶細菌からヒトまで̶̶” 西野 敦雄,岡村 康司”, 生化学 第91巻第2号,pp. 210‒223(2019),  リンク

2. “生命の誕生と進化” 成蹊大学理工学部基礎生物学講義資料, リンク

3. “Comparative Toxicity of Pyrethroid Insecticides to Two Estuarine Crustacean Species, Americamysis bahia and Palaemonetes pugio”, Volume29, Issue10, October 2014, Pages 1099-1106, Environmental Toxicology, リンク

4. “Environmental chemistry, ecotoxicity, and fate of lambda-cyhalothrin”, Reviews of Environmental Contamination and Toxicology, pp 71–91, リンク

5. “EXTOXNET Extension Toxicology Network”, A Pesticide Information Project of Cooperative Extension Offices, リンク

6. “Derivation of combined species sensitivity distributions for acute toxicity of pyrethroids to aquatic animals”, Ecotoxicology volume 28, pages 242–250 (2019) リンク

7. “Distribution, Metabolism and Toxic Effects of Beta-Cypermethrin inLizards (Eremias argus) Following Oral Administration”, Journal of Hazardous Materials 306 (2016) 87–94, リンク

8. “Health and environmental impacts of pyrethroid insecticides:What we know, what we don’t know and what we should do about it”, Executive summary and Scientific Literature Review 2016.01.18, リンク

Tshozo

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メーカ開発経験者(電気)。56歳。コンピュータを電算機と呼ぶ程度の老人。クラウジウスの論文から化学の世界に入る。ショーペンハウアーが嫌い。

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