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化学者のつぶやき

電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①

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どんどんバーチャル化、電子化が進む中、まだ紙のノートを使っている研究室も多いのではないでしょうか?

そこで、実際いま使える電子ノートってどれくらい使い勝手がいいの?という人たちのためにPerkinElmerさんのSignals Notebookを紹介します!

筆者も最近Signals Notebookを使い始め、実際に実験をバリバリする立場からPerkinElmerさんと色々なやり取りをして様々な使い方を模索している段階ですので、今後有効な活用法ができたら、このシリーズを追記して行こうと考えています。

はじめに

Signals NotebookはChemDrawをリリースしているPerkinElmer社が提供する電子ノートです。主に対象としているユーザーは、有機合成や(ケミカル)バイオロジー研究を行っている研究者で、ChemDrawと等量計算用のテーブルが一体となったソフトウェアです。Signals Notebookは完全にブラウザで動作し、ソフトウェアなどのインストールは不要です(デスクトップ版ChemDrawが入っていると連携可能)。適合(推奨)ブラウザはGoogle ChromeでSafariとは相性が悪いことがたまにあるようですFireFoxとEdgeは試していません。

 

Signals Notebookの長所

✔︎紙ノートが増えず、ラボスペースを専有しない

✔︎構造やキーワードで検索することで過去の実験にすぐにアクセスできる。

✔︎グループ内の他の人のノートも見ることが出来る(他人のノートを見られなくする設定も可能)

✔︎等量などを全て自動で計算してくれる。変更などがあっても、変更部分を直すと、それに応じて他の部分も自動計算できる。

✔︎実験項は、フローチャート式論文用の文章式どちらでも好みの方で書ける。論文式で書いておけばその後楽に論文投稿出来る。

✔︎ChemDrawベースで構造式を書いているので、実験報告書をまとめるときに非常に楽

✔︎サムネイル式に自分の実験スキームを並べて、結果を俯瞰できるため、実験報告書の作成に便利。

✔︎関連するファイル(リファレンスpdf、NMRデータ、検討結果をまとめたexcel、実験項を書き込んだwordなど様々なファイルを1つのexperimentのページ内にアップロードして集約できる。)論文を出すときに非常に整理しやすい。

✔︎Chem Officeを契約している大学、研究機関であれば、Signals Notebook Individual Editionはコストゼロで導入可。

※Chem Officeのサイトライセンスを契約している大学、研究機関であれば、導入コストゼロ。ChemOfficeの永久ライセンスをご利用の場合には、1年目は無料なのですが、2年目以降ご利用の場合にはメンテナンスがかかります。

 

Signals Notebookの使い方入門

※本記事では、Signals Notebook Standard Editionを使って解説しています。Chem Office付属のSignals Notebook Individual Editionでは使用できない機能の紹介も入っています。Individual Editionでは管理者がいないので、System Configuration(管理者用)機能がありません。細かいことは色々ありますが、本記事に関わる点では、管理者画面で設定可能なnotebook/experimentの自動発番機能の設定ができません。

Dashboard

始めに表示されるDashboardでは最近更新された実験お気に入り登録したノートや実験ページが一覧表示され、各所にすぐ飛ぶことができます。特に、自分のノートはお気に入り登録しておくと便利です。右側3つのメニューは管理者(教員や上司)に実験内容の確認を依頼したときに表示されるタブで、研究室レベルでは使わないところの方が多いと思います。企業では実験の管理が厳しい場合があり、管理者レビューを受けてから実験を閉じるようにしている場合もあるようです。

Signals Notebook上部のリボン

どのメニューを開いても常に表示されているメニューになります。 [Quick Find], [Dashboard], [Search], [Notebook], [Experiments], [Materials], [Chemical Reactions], [Chemicals], [Favorites], [User Groups], [Add New]

となっています。初回なので、この中から使用頻度の高い必須機能を紹介していきます。

[Add New]

まっさらな状態からは新しいノートを作る必要があります。右上にある緑色のAdd Newでノートを作成します。ノート名は自由ですが、あまり長くない方が良いです。詳しい説明はDescriptionに書くようにします。これは研究室内で方針をすり合わせておいた方が良いです。

[Notebook]→Experiment

Notebookを開くとグループ内のメンバーのノートが全て表示されます。ここから自分のノートを探します。図中で右上の星マークが黄色くなっているのが筆者のノートですが、これはお気に入りマークです。ほかの星は灰色になっていますが、この星マークをクリックすればすぐにお気に入り登録できます。お気に入り機能は各ノートと実験に対して有効で、どのページにいても2クリック([Dashboard]→お気に入りの選択で望みのノートや実験に飛べて便利です。

自分のNotebookを開くとそのノートに入っているExperimentが表示されます。筆者の研究室では一つのノート内の実験番号は0000~9999まで自動発番されるので、普通のプロジェクトは一つのノート内で完結します(博士課程全てを通しても9999実験する人はほとんどいないが…)。ちなみにこの最大桁数は管理者アカウントのSystem Configurationから変更可能です。(Individual Editionでは不可)

実際にExperimentを開いてみます。このノートは自作のテンプレートに構造を書き込んで重さなどを入力しただけで、テンプレートさえ作ってあればここまで5分もかかりません。

  1. ① 構造を書いた化合物番号は自動的に発番され、テーブルに入る。化合物名はテーブル中のReactant欄にIUPAC名が表示されるが、変更したい部分をクリックして好みの名前に変更可能。
  2. ② 使う試薬はquick addに名前やCAS番号を入力することで検索可能。スキーム内に追加することも出来るが、スキームが構造だらけで見にくくなるので、Add to TableでTableだけに追加するのがおすすめ
  3. ③ 原料の重さと等量を入力すれば、他の試薬の量などは全て自動的に入力される。市販の溶液試薬(n-BuLiなど)は濃度を「Molarity」に入力する必要あり。また、quick addの名前検索で出ないものはCAS番号を入力すればすべての試薬をTableに入れることができます。ほとんどの試薬は密度の情報が入っており、構造式でスキームに入れるよりもCAS番号からTableに入れてしまったほうが便利
  4. ④ Tableに表示する項目の種類は自由に変更可能。試薬の保存場所などを入力する欄を設けておくと便利。
  5. ⑤ 左のタブにpdf、word、excel、power pointなどファイルを添付することが出来る。(写真ではPDFを追加してある。)KB~数MB程度のサイズのファイルであれば、容量制限を気にせずアップロード可能。
    2022/06/16追記:Signals Notebookの容量制限はなくなっているので、いくらでもファイルをアップロード可能。

 

自作テンプレートの作り方

説明動画を作りましたので、参考にしてください!動画の終わりにはCopy機能を使ったノートの複製方法を入れました。これも非常に便利な機能です。
2022/06/16追記:現在はCopy Partialという機能が実装され、引き継ぐ項目を選択できるようになっています。

[Quick Find]  

Signals Notebookのどのページを開いていても常に表示されている検索用のテキストボックスです。テキスト検索のみができます。テキスト検索からその後絞り込み詳細検索に繋げることも可能です。検索機能に関しては別記事で紹介します!

おわりに

いかがでしたでしょうか?ノートの作成だけでも結構楽なことが分かると思います。同じ反応の検討などは、CopyでExperimentを複製する機能が便利ですね。また、一つのNotebook内に結果をきれいにまとめたexcelファイルを添付してしまって、1つのノートの中で複数個の検討結果を整理するなんてこともできます。使用者のクリエイティビティー次第で非常に面白い活用方法が創り出せることも魅力の一つだと思います!

興味を持った方は一度PerkinElmerさんに連絡してみてはどうでしょうか?

将来的にはPerkinElmer社は、過去に合成された化合物のリストを作成する古いデータのデータベース化も視野に入れているそうです。過去のセミナーファイルなどを一箇所にドロップするだけで全ての構造式情報を読み込み、検索で引っかかるように出来るのだとか。これができたら最強ですね。

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・電子ノートSignals Notebookを紹介します!

Macy

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有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

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