[スポンサーリンク]

化学一般

Medical Gases: Production, Applications, and Safety

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”3527333908″ locale=”JP” title=”Medical Gases: Production, Applications, and Safety”]

内容

タイトルの通り、医療で使われるガスとそのボンベについて解説している本で、ガスの基本的性質、製造プロセス、分析方法、取り扱い方について解説しています。また、ガスは通常シリンダーと呼ばれる高圧容器に充填されて販売されていますが、そのシリンダーの種類や製造方法についても紹介しています。

 

筆者紹介

筆者は、Hartwing Mullerで、1977年にドイツで博士号を取得後、Messer Griesheimというドイツのガス会社に入社し、長年医療ガスの仕事に従事してきました。2004年にMesser GriesheimがAir Liquideに買収されてからは、国際的な医療ガスのプロジェクトに参加し2014年に退職しました。

 

解説

病院に置いてあるガスというと酸素ぐらいしか思いつかないかもしれませんが、化学実験でもよく使う窒素や二酸化炭素、一酸化二窒素、クリプトン、キセノンなども医療現場では使われているそうで、それらのガスについてこの本では詳しく解説しています。冷媒として合成実験に不可欠な液体窒素に関してもこの本では大きく取り上げられています。また安全に関する内容に関しても、17ページに渡って危険性などを詳しく紹介していて、不活性なガスである窒素のボンベであっても危険性はたくさんあるのでガス種に限らず慎重な扱いが必要であると提起しています。このように、他の書籍では紹介していない重要な内容が網羅的に含まれている本なので化学者にも読んでいただきたい本です。ちなみに本文中では、EUの規則で紹介しているため、日本の法令や規則とは異なる場合があります。例えば、下記のようにガスの容器の色は日本とEUでは異なります。

cli_color

日鉄住金機工株式会社HPより

20110927_54125_443x333_118410_31062

BOC(英国のガス会社) HPより

 

ガス分析

研究分野で役立つ内容としてはガスの分析が挙げられ、一通りの機器分析が掲載されています。液体や固体の場合とは分析方法が大きく異なり、例えば、ガスクロマトグラフィーの場合では、ガスラインからインジェクションポートを通さずに直接カラムに接続して分析します。このようにガス特有の分析方法について解説してあり、ガスの研究に興味がある方には必見の本です。

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 化学で何がわかるかーあなたの化学、西暦何年レベル?ー
  2. 次世代シーケンサー活用術〜トップランナーの最新研究事例に学ぶ〜
  3. 教養としての化学入門: 未来の課題を解決するために
  4. Hazardous Laboratory Chemicals D…
  5. サイエンスライティング超入門
  6. 化学物質はなぜ嫌われるのか
  7. ワールドクラスの日本人化学者が語る研究物語―『化学者たちの感動の…
  8. できる研究者の論文生産術―どうすれば『たくさん』書けるのか

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【読者特典】第92回日本化学会付設展示会を楽しもう!
  2. 酢酸ウラニル(VI) –意外なところから見つかる放射性物質–
  3. NHC (Bode触媒2) と酸共触媒を用いるα,β-不飽和アルデヒドとカルコンの[4+2]環化反応
  4. 第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!
  5. 2009アジアサイエンスキャンプ・参加者募集中!
  6. 第34回 生物学と合成化学のハイブリッド高分子材料を開発する―Jeroen Cornelissen教授
  7. プリンターで印刷できる、電波を操る人工スーパー材料
  8. 次世代の産学連携拠点「三井リンクラボ柏の葉」を訪問しました!
  9. すべてがFになる
  10. 第120回―「医薬につながる複雑な天然物を全合成する」Richmond Sarpong教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年12月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP