[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

Essential Reagents for Organic Synthesis

[スポンサーリンク]

内容

From Boron Trifluoride to Zinc, the 52 most widely used reagents in organic synthesis are described in this unique desktop reference for every organic chemist. The list of reagents contains classics such as N-Bromosuccinimide (NBS) and Trifluoromethanesulfonic Acid side by side with recently developed ones like Pinacolborane and Tetra-n-propylammonium Perruthenate (TPAP).

For each reagent, a concise article provides a brief description of all important reactions for which the reagent is being used, including yields and reaction conditions, an overview of the physical properties of the reagent, its storage conditions, safe handling, laboratory synthesis and purification methods. Advantages and disadvantages of the reagent compared to alternative synthesis methods are also discussed.

Reagents have been hand-picked from among the 5000 reagents contained in EROS, the Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis. Every organic chemist should be familiar with these key reagents that can make almost every reaction work.(内容紹介より)

対象

  • 大学院生以上、創薬化学者、有機合成化学者

解説

有機合成用試薬百科事典として著名な「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis(EROS)」には5000近くの試薬が収載され(2016年半ば時点)、1年におよそ200が追加されている。

このEROSのEditorial Boardが編者となって、Handbook of Reagents for Organic Synthesisシリーズとして数々の書籍が刊行されている。ケムステでもいくつかレビューしている。

  • Reagents for Organocatalysis (2016)
  • Reagents for Heteroarene Functionalization (2015)
  • Catalytic Oxidation Reagents (2013)
  • Reagetns for Silicon-Mediated Organic Synthesis (2011)
  • Sulfur-Containing Reagetns (2010)
  • Reagents for Radical and Radical Ion Chemistry (2009)

このEROSの中から52の最も日常的によく使われる試薬を抜粋し、ハンドブックの形にまとめ上げたのが本書である。

内訳は

酸化剤:15
還元剤:10
金属および有機触媒:11
ブレンステッド酸/ルイス酸:8
ブレンステッド塩基/ルイス塩基:6

となっており、アルファベット順に配列されている。例えば”B”の項はPd2(dba)3、9-BBN、BF3-OEt2、NBS、n-BuLiという感じ。見ての通り、ごくごく基本的な汎用試薬が主に掲載されている。”B”の項目だけで60ページもの解説が記載され、それぞれ詳しい記述があることがうかがえる。また各項目毎に複数回のアップデート情報も記載され、最新合成法への応用~発展的活用の歴史も見て取れるようになっている。

本書より抜粋

本書より抜粋

内容自体は十二分にしっかりしているが、懸念があるとすれば本書の「現場でベストフィットする使い道」がイマイチ思い当たらないことだろうか。辞書的に使うのであれば、Wikipediaや身も蓋もない言い方をするならばe-EROS自体を見ればいいわけで・・・(もちろんアクセス権を持たない機関(日本ではそちらのほうが多い?)では、書籍で見るしか無いが)。

基本試薬ばかりが掲載されているので、有機合成のトレーニングを始めた院生にとっては、わりと勉強になる内容は多いと思います。どちらかというとそういう方々向けでしょうか。ただ本書より先に読み込んでおくべき本はいくつもあるかな、という印象です。

熟達した研究者にとっては、試薬の知られざる用途を見つけるためにパラパラ眺めて、目に入ったものを次の一手のヒントにする、ぐらいの用途には良いように思います。

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. Medical Gases: Production, Appli…
  2. 有機化学の理論―学生の質問に答えるノート
  3. ChemSketchで書く簡単化学レポート
  4. 次世代シーケンサー活用術〜トップランナーの最新研究事例に学ぶ〜
  5. クロスカップリング反応関連書籍
  6. The Merck Index: An Encyclopedia…
  7. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー4
  8. 有機合成創造の軌跡―126のマイルストーン

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. みんな大好きBRAINIAC
  2. 第27回 国際複素環化学会議 (27th ISHC)
  3. 高井・内本オレフィン合成 Takai-Utimoto Olefination
  4. ガスマン インドール合成 Gassman Indole Synthesis
  5. 文献管理ソフトを徹底比較!
  6. メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction
  7. Gabriel試薬類縁体
  8. 水素化ホウ素ナトリウム Sodium Borohydride
  9. 有機合成に活躍する器具5選|第1回「有機合成実験テクニック」(リケラボコラボレーション)
  10. JEOL RESONANCE「UltraCOOL プローブ」: 極低温で感度MAX! ②

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2019年11月号:英文版特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2019年11月号がオンライン公開されました。…

製品開発職を検討する上でおさえたい3つのポイント

基礎研究と製品開発は、目的や役割がそれぞれ異なります。しかし、求人情報の応募要件を見てみると「〇〇の…

二刀流のホスフィン触媒によるアトロプ選択的合成法

不斉付加環化反応による新奇アリールナフトキノン合成法が報告された。2つの機能を有する不斉ホスフィン触…

ヒドロゲルの新たな力学強度・温度応答性制御法

第230回のスポットライトリサーチは、東京農工大学大学院工学府(村岡研究室)・石田敦也さんにお願い致…

光誘導アシルラジカルのミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応

可視光照射条件下でのアジン類のミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応が開発された。官能基許容性が高いため…

イオン交換が分子間電荷移動を駆動する協奏的現象の発見

第229回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 新領域創成科学研究科(竹谷・岡本研究室)・山下…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP