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熊田 佳菜子 Kanako Nozawa-Kumada

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熊田 佳菜子(くまだ かなこ)は、日本の有機化学者である。産業技術総合研究所 触媒化学研究部門 主任研究員。第53回第56回ケムステVシンポ 講師。

経歴

2010 東北大学薬学部創薬科学科 卒業
2012 東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専攻 博士前期課程 修了(根東 義則 教授)
2012 製薬企業 研究員
2014 東北大学大学院薬学研究科 助手(根東 義則 教授)
2017 東北大学 博士(薬科学)取得(根東 義則 教授)
2017 東北大学大学院薬学研究科 助教(根東 義則 教授)
2023 産業技術総合研究所 触媒化学融合研究センター 主任研究員
2025 産業技術総合研究所 触媒化学研究部門 主任研究員
2025 科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任)

受賞歴

2018 日本薬学会東北支部奨励賞
2018 有機合成化学協会 富士フイルム 研究企画賞
2019 第47回 内藤コンファレンス Poster Award
2021年 第4回 東北大学紫千代萩賞
2021年 日本薬学会女性薬学研究者奨励賞
2022年 宇部興産学術振興財団 第62回奨励賞
2022年 第21回インテリジェント・コスモス奨励賞
2025年 第5期 TRiSTAR フェロー

研究業績

  1. sp3 炭素-水素結合官能基化による複素環骨格構築法の開発[1]

過酸化物や分子状酸素から生成するオキシラジカルを利用したsp³炭素-水素結合官能基化により、多様な複素環骨格の構築プロセスを開発した。本反応は、ハロゲンなどの官能基を事前に導入する必要がなく、アトムエコノミー(原子効率)およびステップエコノミー(短工程)の両面で優れた有用な手法である。さらに、同様の手法を応用することで、ケイ素-水素結合官能基化によるシリルラクトンの合成にも成功した。

  1. 有機超電子供与剤を用いる新規還元プロセスの開発[2]

金属に匹敵する強い還元力を有する有機超電子供与剤(Organic Super Electron Donor; SED)を用いた多様な分子変換反応を開発した。まず、ピリジン骨格を有する SED-1 を用いることで、ニトロベンゼンの還元によるアゾベンゼンおよびフェナジンへの変換反応、ならびにジチアンの脱硫反応が進行することを明らかにした。また、水素化ナトリウムと 1,10-phenanthroline の組み合わせが、系内発生型SEDとして機能し、ハロゲン化物を基質とする炭素-炭素結合形成反応に応用可能であることを見出した。

  1. デジタル技術を用いる自律型有機合成実験システムの開発

人工知能(AI)とロボット技術を組み合わせて、有機化学反応の設計・実行・解析・最適化を自動的に行うシステムの構築を行っている。現在までに、試薬・反応モジュール(リキッドハンドラー)、分析モジュール(オンラインGC)、制御用コンピューターの3つのモジュールからなるシステムを構築し、化学反応条件の探索や最適化を自動で行うことに成功している。

関連文献

  1. (a) Nozawa-Kumada, K.; Saga, S.; Matsuzawa, Y.; Hayashi, M.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Eur. J. 2020, 26, 4496–4499. DOI:10.1002/chem.201905777. (b) Nozawa-Kumada, K.; Ojima, T.; Inagi, M.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Org. Lett. 2020, 22, 9591–9596. DOI: 10.1021/acs.orglett.0c03640. (c) Nozawa-Kumada, K.; Matsuzawa, Y.; Ono, K.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Chem. Commun. 2021, 57, 8604–8607. DOI:10.1039/D1CC02870G. (d) Nozawa-Kumada, K.; Matsuzawa, Y.; Hayashi, M.; Kobayashi, T.; Shigeno, M.; Yada, A.; Kondo, Y. Adv. Synth. Catal. 2024, 366, 2241–2245. DOI: 10.1002/adsc.202400059.
  2. (a) Nozawa-Kumada, K.; Abe, E.; Ito, S.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Biomol. Chem. 2018, 16, 3095–3098. DOI:10.1039/C8OB00271A. (b) Nozawa-Kumada, K.; Ito, S.; Noguchi, K.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Chem. Commun. 2019, 55, 12968–12971. DOI: 10.1039/C9CC06775B. (c) Nozawa-Kumada, K.; Iwakawa, Y.; Onuma, S.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Chem. Commun. 2020, 56, 7773–7776. DOI:10.1039/D0CC00730G. (d) Nozawa-Kumada, K.; Onuma, S.; Ono, K.; Kumagai, T.; Iwakawa, Y.; Sato, K.; Shigeno, M.; Kondo, Y. Chem. Eur. J. 2023, 29, e202203143. DOI:10.1002/chem.202203143.

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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