[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

中西香爾 Koji Nakanishi

[スポンサーリンク]

中西香爾(なかにし こうじ、1925年5月11日–2019年3月28日)は、日本の天然物化学者、有機化学者である。

経歴

1947 名古屋大学 学士号取得
1950-1952 ハーバード大学留学(Fieser研)
1954 名古屋大学 博士号取得 (平田義正教授)
1955 名古屋大学 助手・講師・助教授
1958 東京教育大学 教授
1963 東北大学 教授
1969-2019 コロンビア大学 教授
その間
1969-1977 ケニア国際昆虫生体研究所主任研究員
1977-1991 財団法人サントリー生物有機科学研究所所長

受賞歴

1968 朝日文化賞
1979 日本化学会賞
1979 センテナリーメダル(英・王立化学会)
1990 日本学士院賞
1990 アーサー・C・コープ賞
1994 全米科学アカデミー化学賞
1996 ロバート・ウェルチ賞
1999 文化功労者
2002 キングファイサル賞
2005 テトラヘドロン賞
2005 名古屋メダル
2007 文化勲章
2018 有機合成化学協会特別賞

研究

200以上の生物活性を有する天然物の単離・構造決定を行っています。イチョウ葉に含まれる成分であるギンゴライド(gingkolide)[1]や、メキシコ湾で多発する赤潮の原因毒ブレベトキシン(brevetoxin)に関する構造決定研究が代表的な業績です。

ginkgolide.gif  ブレベトキシン

手法はきわめて斬新で、ギンゴライドの構造決定の際に、世界で初めて核オーバーハウザー効果(nuclear Overhauser effect:NOE)を利用し、立体情報を得ています。また自身で励起子カイラリティ法(exciton coupled circular dichroic method)という、CDスペクトルを利用した絶対配置決定法を開発し、構造決定に多くの知見を与えました。これらはいずれも1960年代に行われた研究であり、当時60MHzのNMRしかなかった時代では考えもつかないほど先駆的なものでした。

その後も構造決定にとどまらず、生物有機化学の観点から幅広い研究をしています。

コメント&その他

  1. 論文執筆数は800以上。
  2. マジックを趣味・特技としています。ある講演会では余興として、中西教授自らによるマジックショーが催されたこともあるそうです。
  3. 1996年、同氏の業績を記念して米国化学会と日本化学会の共同の賞としてNakanishi Prizeが設立された。

 関連文献

  1. (a)  Stromgaard, K.; Nakanishi, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1640. DOI: 10.1002/anie.200300601 (b) 有機合成化学協会誌 2000, 58, 462.

関連書籍

[amazonjs asin=”0935702636″ locale=”JP” title=”One-Dimensional and Two-Dimensional Nmr Spectra by Modern Pulse Techniques”][amazonjs asin=”0471330035″ locale=”JP” title=”Circular Dichroism: Principles and Applications”][amazonjs asin=”0080431577″ locale=”JP” title=”Comprehensive Natural Products Chemistry: Enzymes Enzyme Mechanisms Proteins and Aspects of No Chemistry”][amazonjs asin=”B001G8X0GQ” locale=”JP” title=”The Biology – Chemistry Interface: A Tribute To Koji Nakanishi”]

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. サム・ゲルマン Samuel H. Gellman
  2. イリヤ・プリゴジン Ilya Prigogine
  3. マーヴィン・カルザース Marvin H. Caruthers
  4. マイケル・グレッツェル Michael Gratzel
  5. 河崎 悠也 Yuuya Kawasaki
  6. 橘 熊野 Yuya Tachibana
  7. 竹本 佳司 Yoshiji Takemoto
  8. ダン・シェヒトマン Daniel Shechtman

注目情報

ピックアップ記事

  1. アピオース apiose
  2. ナノチューブを引き裂け! ~物理的な意味で~
  3. マイクロリアクターで新時代!先取りセミナー 【終了】
  4. Horner-Emmons 試薬
  5. スマホページをリニューアルしました
  6. ジオトロピー転位 dyotropic rearrangement
  7. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(1)
  8. 【Spiber】新卒・中途採用情報
  9. 脱水素型クロスカップリング重合法の開発
  10. たったひとつのたんぱく質分子のリン酸化を検出する新手法を開発

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年11月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP