[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

マーヴィン・カルザース Marvin H. Caruthers

[スポンサーリンク]

マーヴィン・カルザース(Marvin H. Caruthers;1940年2月11日-)は、アメリカの生化学者である。コロラド大学教授。DNAの化学合成法(ホスホロアミダイト法)の開発で知られる(画像:University of Colorado Boulder)。

経歴

1962 アイオワ州立大学化学科 卒業
1968 ノースウェスタン大学 博士号取得(生化学、指導教官:Robert Letsinger)
1968 マサチューセッツ工科大学 博士研究員(指導教官:Har Gobind Khorana)
1973 コロラド大学ボルダー校生化学科 助教授
1980 コロラド大学ボルダー校生化学科 教授

受賞歴

1981 グッゲンハイム・フェロー
1994 Elliott Cresson Medal of the Franklin Institute
2994 アメリカ芸術科学アカデミー会員
2994 米国科学アカデミー(NAS)会員
2999 ABRF — Hewlett Packard Award for Outstanding Contributions to Biomolecular Technologies
2004 Prelog Medal
2005 NAS Award for Chemistry in Service to Society
2006 Promega Biotechnology Research Award
2006 The Economist Innovation Award, London, England
2006 National Medal of Science(アメリカ国家科学賞)
2006 Imbach-Townsend Award of the International Society of Nucleic Acid Research
2009 Girindus Leadership in Oligonucleotides Award
2012 The Biotech Meeting 25th Anniversary Hall of Fame Recognition Award
2014 NAS Award in Chemical Sciences
2014 ACS Award for Creative Invention
2014 Frantisek Sorm Medal, Academy of Sciences of the Czech Republic
2019 クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞

研究業績

DNAの化学合成:ホスホロアミダイト法の開発

核酸合成は1950年代から研究が進められていたものの、1980年頃までに用いられていたリン酸ジエステル法やリン酸トリエステル法、亜リン酸トリエステル法においては、収率の低さや中間体の安定性などに問題があった。特に、核酸合成においてはカップリング反応を何度も繰り返す必要があるため、収率をできる限り100%に近づける必要がある。また、1980年頃からDNA合成の自動化が試みられていたという背景もあり、常温・大気中で行えるDNA合成法が求められていた。

図1. ホスホロアミダイトを用いたDNA合成。

そこで、Caruthers教授らは、ホスホロアミダイトを用いたDNAの化学合成法を開発した。ホスホロアミダイトは、リン原子にヌクレオシド(またはデオキシヌクレオシド)の 3′ 位とシアノエトキシ基、ジアルキルアミノ基が結合した化合物である(図1)。固相に担持したヌクレオシドに対し、ホスホロアミダイトを酸性触媒(テトラゾールなど)の存在下で反応させると、置換反応によりカップリングが進行する。その後、ヨウ素などで酸化することで、目的のリン酸トリエステル結合が得られる。ホスホロアミダイトは比較的安定で長期間保存することができ、反応も高収率で進行するため、この反応は核酸合成におけるカップリング反応の決定版として、現在も広く利用されている。

名言集

 

コメント&その他

 

関連動画

 

関連文献

  1. Beaucage, S. L.; Caruthers, M. H. Tetrahedron Lett. 1981, 22, 1859. DOI: 10.1016/S0040-4039(01)90461-7
  2. Beaucage, S. L; Iyer, R. P. Tetrahedron Lett. 1992, 48, 2223. DOI: 10.1016/S0040-4020(01)88752-4

関連リンク

kanako

投稿者の記事一覧

アメリカの製薬企業の研究員。抗体をベースにした薬の開発を行なっている。
就職前は、アメリカの大学院にて化学のPhDを取得。専門はタンパク工学・ケミカルバイオロジー・高分子化学。

関連記事

  1. カール・ジェラッシ Carl Djerassi
  2. スティーブン・リパード Stephen J. Lippard
  3. ジョン・グッドイナフ John B. Goodenough
  4. 森田浩介 Kosuke Morita
  5. マーティン・カープラス Martin Karplus
  6. ジュリアス・レベック Julius Rebek, Jr.
  7. ウォルター・カミンスキー Walter Kaminsky
  8. アレックス・ラドセヴィッチ Alexander Radosevi…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ベンゾイン縮合反応 Benzoin Condensation
  2. 辻・ウィルキンソン 脱カルボニル化反応 Tsuji-Wilkinson Decarbonylation
  3. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole Synthesis
  4. 第128回―「二核錯体を用いる触媒反応の開発」George Stanley教授
  5. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (3)
  6. オーラノフィン (auranofin)
  7. ニュースタッフ
  8. ノーベル化学賞2011候補者一覧まとめ
  9. ホウ素-ジカルボニル錯体
  10. AIを搭載した化学物質毒性評価サービス「Chemical Analyzer」の販売を開始

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年5月号:「分子設計・編集・合成科学のイノベーション」特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年5月号がオンライン公開されています。…

電子のスピンに基づく新しい「異性体」を提唱―スピン状態を色で見分けられる分子を創製―

第614回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(松田研究室)の清水大貴 助教にお願い…

Wei-Yu Lin教授の講演を聴講してみた

bergです。この度は2024年5月13日(月)に東京大学 本郷キャンパス(薬学部)にて開催されたW…

【26卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体験していただく場…

カルベン転移反応 ~フラスコ内での反応を生体内へ~

有機化学を履修したことのある方は、ほとんど全員と言っても過言でもないほどカルベンについて教科書で習っ…

ナノ学会 第22回大会 付設展示会ケムステキャンペーン

ナノ学会の第22回大会が東北大学青葉山新キャンパスにて開催されます。協賛団体であるACS(ア…

【酵素模倣】酸素ガスを用いた MOF 内での高スピン鉄(IV)オキソの発生

Long らは酸素分子を酸化剤に用いて酵素を模倣した反応活性種を金属-有機構造体中に発生させ、C-H…

【書評】奇跡の薬 16 の物語 ペニシリンからリアップ、バイアグラ、新型コロナワクチンまで

ペニシリンはたまたま混入したアオカビから発見された──だけではない.薬の…

MEDCHEM NEWS 33-2 号「2022年度医薬化学部会賞」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける分子生成の基礎と応用

開催日:2024/05/22 申込みはこちら■開催概要「分子生成」という技術は様々な問題…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP