[スポンサーリンク]

ケムステニュース

花王、ワキガ臭の発生メカニズムを解明など研究成果を発表

花王株式会社(社長・尾崎元規)香料開発研究所は、ワキガ臭(ワキの下に特有のニオイ)の解明を目的に研究を進めてきました。ワキガ臭は主に3種類のニオイ(硫黄臭、スパイシー臭、脂肪酸臭)で構成されていますが、今回、以下を明らかにしました。

(1)ワキガ臭を最も特徴付ける硫黄臭(生臭く鼻をつくニオイ)の発生メカニズムについて、硫黄臭も他のニオイと同様、臭気物質はアミノ酸と結合した状態(無臭)で汗腺から分泌され、これが皮膚の細菌によって分解されてニオイが発生することが明らかになりました。これによりワキガ臭の発生メカニズムの全体像が明らかになりました。
(2)ワキガ臭を引き起こす汗腺分泌物を正確に測定する技術を開発し、メンタルストレスによってワキの下の分泌物が増えてワキガ臭が強まることを、定量的に確認しました(引用:日経プレスリリース)。

 

なかなか面白い研究ですね。どうやらこのニュースにも書いてあるように、以下のワキガ臭には3種類のニオイの成分があるようです。

42a74f63-s

1.硫黄臭 3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール

2.スパイシー臭(カレーのスパイスのようなニオイ3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸

3.脂肪酸臭(古い雑巾のようなニオイ)3-メチル-2-ヘキセン酸

 

1は分子内にチオール基を有するアルコールです。いかにもくさそうですね。2はブタノンへの酢酸ユニットのアルドール体、3はその脱水体です。炭素数の多いカルボン酸は非常にくさいので、たしかにという感じですね。2や3は臭気物質とアミノ酸の一種「グルタミン」が結合した汗腺分泌物が、皮膚の細菌によって分解されて発生と報告されていましたが、1に関してはこの化合物が発生するメカニズムがわかっていませんでした。

 

今回、花王は数十人のわきの下から臭気物質を含む分泌物を分析したところ、3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オールにアミノ酸の一種であるシステインが結合した物質を発見しました。そのため、発生のメカニズムは、その物質が皮膚の細菌によって分解されて、システインがはずれ硫黄臭が発生すると判明しました。

 

どうやらこの物質他の2つの物質に比べて1/100程度しか分泌していないようです。この研究成果はデオドラント商品の開発に応用していくそうです。

 

関連書籍

 

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. エーザイ、米国で抗てんかん剤「Banzel」(ルフィナミド)の小…
  2. 「肥満症」薬を国内投入、エーザイや武田
  3. 分子素子の働き せっけんで確認
  4. 「元素戦略プロジェクト」に関する研究開発課題の募集について
  5. 米国ACSジャーナル・冊子体廃止へ
  6. つり革に つかまりアセる ワキ汗の夏
  7. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  8. 化学療法と抗がん剤の併用で進行期非扁平非小細胞肺癌の生存期間延長…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. クラウソン=カース ピロール合成 Clauson-Kaas Pyrrole Synthesis
  2. これならわかる マススペクトロメトリー
  3. レビュー多すぎじゃね??
  4. フランスの著名ブロガー、クリーム泡立器の事故で死亡
  5. ノーベル街道起点
  6. BASFとはどんな会社?-2
  7. タミフルの新規合成法・その3
  8. デヴィッド・ミルステイン David Milstein
  9. 歪んだアルキンへ付加反応の位置選択性を予測する
  10. Nsアミン誘導体

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018

「超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018」CEMS International Sy…

アメリカで Ph. D. を取る –研究室に訪問するの巻–

この連載は、米国の大学院で Ph.D. を取得することを目指す学生が日記感覚で近況を記録するためのも…

光触媒ラジカルカスケードが実現する網羅的天然物合成

四川大学のYong Qinらは、可視光レドックス触媒によって促進される窒素ラジカルカスケード反応によ…

有機反応を俯瞰する ー縮合反応

今回は、高校化学でも登場する有機反応であるエステル合成反応を中心に、その反応が起こるメカニズムを解説…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP