[スポンサーリンク]

ケムステニュース

GoogleがVRラボを提供 / VRで化学の得点を競うシミュレーションゲーム

[スポンサーリンク]

Google(グーグル)が、学校教育向けのVRシステムを作っているLabster(ラボスター)と提携し、Daydreamのプラットホームで30以上の仮想ラボを利用できるようになった。(引用:GIZMODO9月3日)

VRで化学の知識を用いてお題を解き、得点を競うシミュレーションゲーム「HoloLAB Champions」が話題となっている。 (引用:ASCII9月3日)

様々な応用が期待されているVRですが、化学の分野にもじわじわと進出してきています。

一つ目のニュースとしてGoogleは、Labsterと連携し仮想ラボのコンテンツを作ったそうです。実際に、アリゾナ州立大学のオンライン生物科学コースの学生はこのVRを受講することができ、ほかの州やヨーロッパの学生もすぐに使うことができるようになるそうです。VRでは、ラボでしかできない顕微鏡での観察やDNAのシークエンスなどを体験することができるだけでなく、分子レベルでのDNA操作や分子構造の確認など実際には行うことができない実験もシミュレートできるようになっています。学生は、もちろん何回も操作することができ、どの操作を復習すべきかアプリがフィードバックを返してくれます。

実験の様子

分子構造の確認

このVRツールで実験するということはどんな操作をしてもケガをしないため、実験が好きな学生の好奇心による失敗や、嫌いな学生の実験に参加したがらないどちらをも克服することができると思います。そのため日本でも導入されることが強く期待されます。

二つ目のニュースとしてHoloLAB ChampionsというVRゲームが話題となっています。これは、手順書に基づいて実験を行うゲームで、例えばビーカーの中の液体を所定の量に調整したりバーナーに火をつけて炎色反応を確認したりします。間違えると会場からブーイングを浴びせられたうえ、やり直しになってしまうようです。そのため正確にタスクをこなしつつ、早い時間で解決し合格点を得ることが必要です。またカメラロボットが常駐しPCモニタにカメラ視点の映像を流すことができるため他の人の操作を観戦することができ、化学実験版やってTRYとなるのではないでしょうか。

ラボの様子

手順書

ビーカー操作

このゲーム、アメリカの教育省・教育化学部門などの支援を受けて制作されており、VR award 2018のVR Education of the Year部門で入賞しているため、実際の教育でも十分に使用できる内容となっています。価格は1010円と手ごろですが、残念ながら日本語には対応していません。また、HTC Vive バーチャルリアリティヘッドセットというコントローラー付きのデバイスでのみ動作するようです。

今後このようなVR活用が増えれば、学校にもVR室などという特別教室ができるかもしれません。

関連書籍

[amazonjs asin=”4759816763″ locale=”JP” title=”100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)”] [amazonjs asin=”B07FC68CMD” locale=”JP” title=”子供の科学2018年8月号【特集】未来をつくるテクノロジーを体験せよ! VR★落合陽一の未来予想図”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 万有製薬、つくば研究所を閉鎖
  2. 改正特許法が国会で成立
  3. 三菱化学:子会社と持ち株会社設立 敵対的買収を防ぐ狙い
  4. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  5. 誰かに話したくなる化学論文2連発
  6. コーラから発がん物質?
  7. 配糖体合成に用いる有機溶媒・試薬を大幅に削減できる技術開発に成功…
  8. ファイザー新社長にソーレン・セリンダー氏が就任

注目情報

ピックアップ記事

  1. ノーベル週間にスウェーデンへ!若手セミナー「SIYSS」に行こう!
  2. シグマアルドリッチ器具・消耗品大特価キャンペーン【2018年3月30日まで】
  3. 【第14回Vシンポ特別企画】講師紹介:宮島 大吾 先生
  4. オペレーションはイノベーションの夢を見るか? その3+まとめ
  5. 有機化学者の仕事:製薬会社
  6. 八木 政行 Masayuki Yagi
  7. フルオキセチン(プロザック) / Fluoxetine (Prozac)
  8. 風力で作る燃料電池
  9. H・ブラウン氏死去/米のノーベル化学賞受賞者
  10. 藤田 誠 Makoto Fujita

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

熊谷 直哉 Naoya Kumagai

熊谷 直哉 (くまがいなおや、1978年1月11日–)は日本の有機化学者である。慶應義塾大学教授…

マシンラーニングを用いて光スイッチング分子をデザイン!

第657 回のスポットライトリサーチは、北海道大学 化学反応創成研究拠点 (IC…

分子分光学の基礎

こんにちは、Spectol21です!分子分光学研究室出身の筆者としては今回の本を見逃…

ファンデルワールス力で分子を接着して三次元の構造体を組み上げる

第 656 回のスポットライトリサーチは、京都大学 物質-細胞統合システム拠点 (iCeMS) 古川…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP