[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

デスソース

[スポンサーリンク]

先日行った飲み屋で登場。用途?まあタバスコみたいなモンです。ただ違うのはその辛さ。試しに一滴なめてみました。

か、からい・・・っていうより痛いいたいいたイ

一滴でこの破壊力・・・なんぞこれー。

ちなみに周りのコメント

「最初は絶対一滴以上なめないでね、死ぬよ
「俺タバスコ全然効かないからこれ買ったし」
「使っても使っても全然減らないからねぇ」
「開けた瞬間、目にキタんだけど」
「落として割ったり絶対しないで、立入禁止区域になるから」
皮膚に付いたら悶絶しますので、絶対付けないでくださいねー」
「一番辛いボトルは、フタを押しこんでからじゃないと開かない特殊構造になってるんだよ」

皆さん完全に毒物扱い。まぁパッケージにもドクロがプリントされてるぐらいなんで・・・。

こんな調味料この世にあるんだ、誰が使い切れるんだ、ネタ以外でどれぐらい売れるんだ・・・などといろいろ考え、大変面白かった経験でした。

さてこれは化学のブログなんで、無理矢理化学構造式を出してみましょう。

唐辛子の辛味主成分であるカプサイシン(capsaicin)は以下のような構造をしています。

capsaicin.gif

一時ダイエットに有効というふれこみで流行ったのでご存じの方も多いでしょう。個人的にはそんな効果なんてたかが知れてると思うのですが、一時期何にでも七味やタバスコをかけて食べる人が増えたとかで、”作られたブーム”が生み出す行動は狂気としか思えませんね。日本人のサイエンスリテラシーの低さを嘆きつつ、そういう人たちを傍目で眺めるのは大変楽しい・・・おっと話がそれてしまいました。

さておき、ホットソースの「辛さ指標」として知られてるのが、スコヴィル辛味単位(Scoville heat unit:SHU)というもの。水で1000倍に薄めて初めて辛さがなくなるソースは1000SHU、と決められています。割と大雑把な決め方っぽいですが、最近ではカプサイシンの含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量して正確に求めているようです。

で、本題のデスソースですが、自分が試したものはネット情報によるとおよそ5万SHU。普通のタバスコ(2000SHU)のおよそ25倍という話ですから、正直ドバドバかけて食べて大丈夫なシロモノではありません。しかしそれでもデスソースシリーズの中では甘口らしい(50万SHUというのがある)・・・なんじゃそりゃ。ちなみに純粋なカプサイシンは1600万SHU・・・あり得ないですね。

関連商品

[amazonjs asin=”B003AKZOE4″ locale=”JP” title=”ブレアーズ アフターデスソース・ジョロキア 150ml”]

関連リンク

カプサイシン(Wikipedia)
スコヴィル値(Wikipedia)
eXtremefood.com(デスソース販売元)

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ⽔を嫌う CH₃-基が⽔をトラップする︖⽣体浸透圧調整物質 TM…
  2. 有機レドックスフロー電池 (ORFB)の新展開:高分子を活物質に…
  3. 第三回ケムステVシンポ「若手化学者、海外経験を語る」開催報告
  4. 化学者のためのエレクトロニクス入門② ~電子回路の製造工程編~
  5. 水素社会実現に向けた連続フロー合成法を新開発
  6. Carl Boschの人生 その5
  7. 微生物細胞に優しいバイオマス溶媒 –カルボン酸系双性イオン液体の…
  8. 貴金属触媒の活性・硫黄耐性の大幅向上に成功

注目情報

ピックアップ記事

  1. 最先端バイオエコノミー社会を実現する合成生物学【対面講座】
  2. 白リンを超分子ケージに閉じ込めて安定化!
  3. 粘土に挟まれた有機化合物は…?
  4. カーボンナノチューブ /carbon nanotube (CNT)
  5. 海藻成長の誘導物質発見 バイオ研
  6. 有機合成化学協会誌2020年5月号:特集号 ニューモダリティ;有機合成化学の新しい可能性
  7. アスピリンから生まれた循環型ビニルポリマー
  8. 超難関天然物 Palau’amine・ついに陥落
  9. 潤滑油、グリースおよび添加剤の実践的分離【終了】
  10. 新人化学者の失敗ランキング

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年6月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

熊谷 直哉 Naoya Kumagai

熊谷 直哉 (くまがいなおや、1978年1月11日–)は日本の有機化学者である。慶應義塾大学教授…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP