[スポンサーリンク]

一般的な話題

文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり④:「ブギーボード」の巻

[スポンサーリンク]

boogieboard_1.jpg
(画像:shoppingblog.comより)

不定期掲載かつ個人の趣味全開の文具コーナー、今回のフィーチャーアイテムはブギーボードという商品です。アメリカでバカ売れしているこの商品、単機能ガジェット販売で有名なキングジム社が代理店となり、つい先日日本でも入手可能になりました。

見た瞬間、「こりゃ面白そう!研究にも使えるか?」と全く深く考えずに衝動買い。先日手元に届いて、触ってみるに期待通りなかなか楽しいアイテムでしたので、紹介したいと思います。

あ、この度はご期待にお応えせずフツーのテンションで。前回のごときテンションを保ちつづけるのは、なかなかに辛ひのですねぢつは(笑)。まぁ気が向いたらいずれ。

  • ブギーボードって何モノ?

一言で説明すると、書き消しが自在にできる電子メモパッドです。

KindleやiPadと違って、メモ用途に完全特化しています。他のことは何も出来ません。

特徴としては

筆圧感知式で、かなり細かい表現も可能 (爪でひっかくだけでも書ける)
起動要らずですぐ書ける
めちゃくちゃ軽く、持ち運びが超ラク (A5サイズで、厚さ3mm、重さ約100g強)。

消去時以外に一切電力を消費しない設計で、なんと50000回もの書き消しが可能なのだそうです。
電池交換は出来ないようですが、一日20回使っても6年以上かかる計算なので、先に本体の耐久限界のほうが訪れるだろうとのこと。

メモ用途だけに4980円という値段はやや微妙かもですが、ここまで使い倒せると考えれば、コストパフォーマンスはさほど悪くないのでしょう。モノとしては十分良いと思えます。

  • ディスカッションに活用できる・・・かも?

有機化学者という人種は化学構造式を多用します。とにかく絵がかけないと議論になりません。チャットやメールだけではたいてい不十分なので、ホワイトボードや黒板、ミスコピーをまとめたクリップボードなんかが、現場でも大変重宝されています。

ブギーボードは同じく書いたり消したりできるので、ディスカッション目的にある程度活用できそうにも思えました。
boogieboard_3.jpgとはいえ色の付いたペンは使えませんし、一旦いっぱいになってしまうと全消しせざるを得ません。細かいところで融通が利かないかも、とも思えます。

  • GTDに活用できる・・・かも?

ブギーボードは以前紹介したGTD式タスク管理法との相性が、非常に良いと感じられます。

たとえば朝一で「今日やること」を書き出し、机の上においておくだけで、ペーパーレスにタスク管理が行えます。大きさが適当なので、一日分のToDo管理程度には良いと思えます。

boogieboard_2.jpg

  • マグネット+ホルダーを取り付けて固定!

両面テープ付マグネット4片とペンホルダーが、オプションアイテムとして420円で販売されています。

目的と用途を考えれば、マグネットで壁に貼り付けられる威力は大きく、メッセージボードとしても活用できるようになります。

持ち運び自体すごく手軽なアイテムなので、どちらかというとカバンの中に忍ばせておき、適当なときに取り出し使うような使用法が、向いているのかもしれませんが。
この目的で、専用ポーチも販売されています。・・・しかしこちらは1680円と、ちとお高めだぜHAHAHA。どうしても持ち運びたくて仕方ない人以外は、無理して買わずとも良いか?
  • 実は化学ガジェットだった!

ブギーボードの筆記面には、電子ペーパーにも使われているコレステリック液晶が組み込まれています。

これはらせん状の配向状態をとる液晶であり、電力を加えなくても状態を維持できるというバイステイブルな特性を持っています。

成分的な詳細は不明ですが、ブギーボードの場合には、感圧式のコレステリック液晶が使われているようです。つまりペン加圧によって液晶の配向が崩れ、光を散乱して黄緑色に見える(字が書ける)、電圧をかければ分子が再配列を起こし、バックグラウンドの黒色を透過する(字が消える)という仕組みらしい。
chlesteric_LCD.jpg

(画像:http://auo.com/より)

消すときだけ電力が必要な特性ゆえに、超低消費電力・50000回もの繰り返し使用が実現されているというわけなのです。また、こういう仕組みだからこそ、マグネットを貼っても干渉せず、問題なく使えます。

  • 欲を言えば・・・

・PCにデータが転送できて、直接Evernoteと連携できるといいな~、
・一部だけ消せる消しゴム機能があるといいな~

と思うのですが、もし次期バージョンが出るとすれば、そういうものになってくる可能性は大に思えます。ただ上記の原理である限り、実装には無理があり、何かしら工夫が必要かもしれません。

化学研究目的にヘヴィに使えるアイテムかといわれれば、spot onな使い道が見いだしづらいのが正直なとこです(苦笑)。

しかしホントに手軽ですし、触ってとても楽しいアイテムであること間違いありません。少なくともガジェット好き、新しもの好き、文具好きな自分はとても気に入りましたぜ、うむ。

 

  • 関連動画
  • 関連商品

ハローパッド
こちらはカラフルでブギーボードと同じことができ、なおかつ安いです。ブギーボードを買った後に知りました。なんともね。

  • 関連リンク

電子ペーパー黒板 Boogie Board 実機レビュー (MobileHackerz)

小さな黒板 Boogie Board

Boogie Board キングジム社の日本公式サイト

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 芳香族化合物のC–Hシリル化反応:第三の手法
  2. 分子びっくり箱
  3. 2020年ノーベル化学賞は「CRISPR/Cas9ゲノム編集法の…
  4. 超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2016
  5. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑯:骨伝導ヘッ…
  6. クマリンを用いたプロペラ状π共役系発光色素の開発
  7. 1と2の中間のハナシ
  8. ADC薬 応用編:捨てられたきた天然物は宝の山?・タンパクも有機…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 薬の副作用2477症例、HP公開始まる
  2. シンクロトロン放射光を用いたカップリング反応機構の解明
  3. 「話すのが得意」でも面接が通らない人の特徴
  4. 日本プロセス化学会2019 ウインターシンポジウム
  5. ダイヤモンドは砕けない
  6. 生きたカタツムリで発電
  7. 超高速X線分光が拓く原子レベルの分子動画観測
  8. 化学者のためのエレクトロニクス入門⑤ ~ディスプレイ分野などで活躍する化学メーカー編~~
  9. 九大発、化学アウトリーチのクラウドファンディング「光化学の面白さを中高生と共有したい!化学の未来をピカリと照らす!」
  10. 電気化学ことはじめ(2) 電位と電流密度

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年11月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP