[スポンサーリンク]

その他

学振申請書の書き方とコツ

[スポンサーリンク]

 

内容

学振申請書の正しい書式、知っておきたい知識とコツを一挙解説! 見やすく、わかりやすい申請書が書ければ審査も通りやすくなる。採用者のサンプルと知恵を参考に、もう一歩申請書をブラッシュアップしよう!

1章 「学振」の基礎知識
2章 審査のしくみ
3章 申請書の書き方
4章 申請書を書く、磨く
5章 申請後にできること
6章 本当に「学振」が良いのか?
付録 実際の申請書サンプル
コラム 「学振」採択者に聞いてみた

対象

  • 学振を申請する大学院生

 

解説

なんと学振取得のHow toものが出版された!献本いただいたためせっかくなので読んでみた。著者は現在東京工業大学で助教をしている大上雅史氏。分野は計算工学なのであまりわからないが、育志賞なども受賞しており今後が期待できる若手のようだ。おそらく、「学振特別研究員になるために~知っておくべき10のTips」というスライドをSlideShareで公開されているので出版社から依頼がいったのであろう(ちなみに筆者も過去に学振と科研費の書き方の依頼を数度受けたことがある)。

さて、本書はほとんどの博士課程進学者・在籍者および博士研究員希望者が申請を経験する学振。その制度や書き方を丁寧に解説している。科研費に対するものはこれまでも何冊かあるが、学振に関しては調べてみると本書が2冊目である

内容は上記のとおりとなるが、最新の学振の基礎知識や制度の概要などもよくまとめられている。著者が「申請者」であるので「審査員」の意見ではないが、「審査員」の気持ちもよく察している。

特に参考にしたいのは第三章と第四章。これは申請書を書き上げる点で、科研費獲得にも結びつく内容だ。これまで、多くの先輩が学振を取得し、実例がたくさんある研究室はよいが、ほとんどないところになると、ここに書かれている点で躓く学生がほとんどであるから。ただし、個人的な意見として、現在への研究状況の研究背景の前に、研究の全体構想としてポンチ絵(図をみれば大体申請書でなにをいいたいかわかる絵)を入れたほうが良いと思う。多量の学進申請書を”処理”している忙しい先生方のことを考えることが重要である。

また、付録として著者以外の実際の申請書(かなり最近のもの)が掲載されているのもよい。科研費だと大学のイントラネットで手に入れることができるが、学振のものはないので、やはり、研究室で取得者がいなければ通常見ることはできない申請書だ。

そもそも、学振を取るために研究するといったことは的はずれな考えであるが、近い目標として適していると思う。研究プロポーザルの練習にもなるため、もらえるもらえないに関わらず、博士課程進学希望の学生にはぜひ真剣に書いて欲しいと思う。目指そうと思っている学部4年、修士学生は一読をオススメしたい。

余談となるが、申請書も自分のなかで日進月歩で変化している。自分の昔の申請書をみるとよくこれで通ったなと思わせるようなみための申請書がほとんどだ(中身は悪く無いとしても)。とても人にみせることのできる内容ではないが当時は完璧だと思って提出している(はず)である。そういう意味では自分の成長を感じる。一方で、推敲を行うと、びっくりするぐらい(特に図が)よい内容を書いてくる学生が時々いるので、うれしくなる。大抵はだめだが。それでも、自身の昔の「初版」と比べると良い申請書を書けている学生が多くそれを認めつつ、現在の感覚でもっと良いモノがかけると突き返し、大幅修正をするのが先生である(苦笑)。

ところで、ケムステでもcosine氏が「学振申請書を磨き上げる11のポイント」(前編後編)という記事を書いている。彼も学振(DC1)、海外学振(海外PD)経験者であり、文章力はケムステ随一と思うので読んでみるとよい。

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. クロスカップリング反応関連書籍
  2. 宮沢賢治の元素図鑑
  3. 日本にノーベル賞が来る理由
  4. 人名反応に学ぶ有機合成戦略
  5. Greene’s Protective Groups…
  6. 学問と創造―ノーベル賞化学者・野依良治博士
  7. 元素周期 萌えて覚える化学の基本
  8. Handbook of Reagents for Organic…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【クリックは完了. よし壊せ!】イミノカルベノイドによる渡環および 1,3-挿入 Iminocarbenoids Derived from Triazoles for Transannulations/1,3-Insertions
  2. 緑膿菌の代謝産物をヒトの薬剤に
  3. TBSの「未来の起源」が熱い!
  4. 1回の実験で高活性な金属ナノ粒子触媒
  5. 「超分子重合によるp-nヘテロ接合の構築」― インド国立学際科学技術研究所・Ajayaghosh研より
  6. 特許の基礎知識(3) 方法特許に注意! カリクレイン事件の紹介
  7. 堀場氏、分析化学の”殿堂”入り
  8. マテリアルズ・インフォマティクスを実践するためのベイズ最適化入門 -デモンストレーションで解説-
  9. Arcutine類の全合成
  10. メビウス芳香族性 Mobius aromacity

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP