[スポンサーリンク]

archives

ビタミンB1塩酸塩を触媒とするぎ酸アミド誘導体の合成

[スポンサーリンク]

 

塩酸チアミン水和物(=VB1)はビタミンB1塩酸塩とも呼ばれていますが,シアン化物イオンと同じような働きにより,ベンゾイン縮合に対して触媒作用を示すことが知られています。近年,ぎ酸とアミン類に2mol%のVB1を加え,80℃に加温することで速やかにN-ホルミン化が進行します。基質適応性も高く芳香族アミン,脂肪族アミン,C-保護アミノ酸を相当するぎ酸アミド誘導体に変換します。従来法では高い温度条件あるいは高価な縮合剤や金属塩を用いる必要があることから,本手法は安全かつ簡便なN-ホルミン化法といえます。

“A convenient one-pot synthesis of formamide derivatives using thamine hydrochloride as novel catalyst”
M. Lei, L. Ma, L. Hu, Tetrahedron Lett. 2010, 51, 4186. DOI: 10.1016/j.tetlet.2010.06.005

1-s2.0-S0040403910009871-fx1

Formamide derivatives have been synthesized in excellent yields from amine and formic acid in the presence of a catalytic amount of thiamine hydrochloride (VB1) at 80 °C. The advantages of this method are the use of a cheap, stable, non-toxic, and readily available catalyst, easy work-up, improved yields, and solvent-free conditions.

ビタミンB1塩酸塩を用いる有機合成反応では,ベンゾイン縮合が広く知られています。この方法は,シアン化物イオンを用いない縮合法として有用です。関連コラムも合わせて参照ください。
ビタミンB1を用いる有機合成反応

TCI

TCI

投稿者の記事一覧

有機試薬メーカーです。

関連記事

  1. 【9月開催】第十一回 マツモトファインケミカル技術セミナー   …
  2. 抗酸化能セミナー 主催:同仁化学研究所
  3. (+)-MTPA-Cl
  4. はてブ週間ランキング第一位を獲得
  5. マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎
  6. 【7/28開催】第3回TCIオンラインセミナー 「動物透明化試薬…
  7. トリ(2-フリル)ホスフィン:Tri(2-furyl)phosp…
  8. ケムステ新コンテンツ「化学地球儀」

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 誰も教えてくれなかった 実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)
  2. カーボンナノベルト合成初成功の舞台裏 (2)
  3. 第174回―「特殊な性質を持つフルオロカーボンの化学」David Lemal教授
  4. リチウムイオン電池の課題のはなし-1
  5. 第31回「植物生物活性天然物のケミカルバイオロジー」 上田 実 教授
  6. ESI-MSの開発者、John B. Fenn氏 逝去
  7. 円偏光発光を切り替える色素ー暗号通信への応用に期待ー
  8. 電気化学と金属触媒をあわせ用いてアルケンのジアジド化を制す
  9. 歯のバイオフィルム除去と病原体検出を狙ったマイクロロボットの開発
  10. 【Q&Aシリーズ❶ 技術者・事業担当者向け】 マイクロ波によるガス反応プロセス

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する

第602回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科 塩谷研究室の中島 朋紀(なかじま …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP