[スポンサーリンク]

一般的な話題

2012年イグノーベル賞発表!

今年もやって参りましたノーベル賞シーズン!

前哨戦としてこの時期には毎年、ジョーク版として名高いイグノーベル賞が発表になります。受賞対象は”first make people LAUGH, and then make them THINK”――すなわち、まず笑わせ、そして考えさせてくれる研究。ユーモアたっぷりであるのはもちろんのこと、一方では実におおっと唸らされる研究でもあるわけです。

日本人が常連受賞していることもあってすっかり有名になった賞ですが、今年も邦人が「音響学賞」を受賞!なんとこれで6年連続受賞だそうです。ある意味とてつもない国ニッポン!と胸を張れる成果(?)を上げ続けているわけですから、ただただ舌を巻くほかありません。この邦人受賞のニュースは既にあちこちで報じられましたので、ここでは横に置いておきましょう。

この「つぶやき」では化学ブログらしく、イグノーベル化学賞に絞って解説してみようと思います(写真:ctpost.com)。

さてさて、その受賞研究やいかに・・・?

【受賞者】

ヨハン・パターソン (Johan Pettersson)
スウェーデン・ルワンダの環境衛生工学者

【受賞理由】

スウェーデンのとある町のとある家に住むと、髪の毛が緑色に変わっていく現象のナゾを解明

・・・

落ち着いてください読者の皆さん。日本では何ら珍しくないヘアスタイルですよ?
その証拠に、まずは我が国を代表するお子様の意見をどうぞ。

・・・冗談はこれぐらいにして、どんないきさつがあったのかご紹介しましょう。

住居者の髪の毛を変色させる”とある家”は、スウェーデンの南方、アンダースレフ(Anderslöv)という街にありました。彼らからの不満を受けて調査を行ったのが、今回の受賞者・パターソン氏

「飲み水に原因があるだろう」との推測に基づき水質調査を行った結果、”とある家”の飲み水には通常の4倍の濃度でが含まれることが分かりました。

銅はご存知の通り、緑色に呈色する金属の代表格。また、人間は体内に取り込んだ重金属を、毛髪から排出する生理機構を備えてもいます。高濃度に含まれる銅を飲み水から摂取する内に、それが髪の毛に蓄積され、住居者を緑髪に変えていった・・・というわけです。

この調査過程で、もう一つ面白い事実が明らかとなりました。”とある家”と同じ水源を使用しているはずの普通の家からは、問題となる濃度での銅が検出されなかったそうなのです。つまり、「水源には問題がない」ということ。

ではどこに原因があったか?というと、実は配管に有りました。

髪を変色させる”とある家”は複数あったのですが、それらは全て新築であり、またいずれの水道管にも銅が使われていました。シャワー時に使用する熱湯が長時間にわたって配管に滞留することで、銅が溶け出していたのだそうです。実際、シャワーを浴びる頻度の高い若者や女性が、被害に遭う程度が大きかったのだとか。

この事実を見事突き止めたパターソン氏は、きわめて科学的な立場から合理的解決法を提案しています。

それは、“引っ越す”もしくは“冷たいシャワーを使う”ということ!(笑)

一連の調査は全くマジメに行われたようですが、調査対象がそもそも怪奇びっくりハウスと形容するほか無く、被害状況もオカルティックそのもの。まったく面白おかしいですね・・・毎度のことながら授賞のセンスが抜群です。

その後、イグノーベル賞を受賞したパターソン氏は、自らのひげを緑色に染めあげ、セレモニーに出席したということです。銅は使わず、ホーレン草をつかってですが・・・。

受賞セレモニーでスピーチするパターソン氏

受賞セレモニーの様子

関連商品

関連リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり ⑦:「はん蔵…
  2. alreadyの使い方
  3. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (3)
  4. アルカリ金属でメトキシアレーンを求核的にアミノ化する
  5. 教科書を書き換えるか!?ヘリウムの化合物
  6. エステルをアルデヒドに変換する新手法
  7. リチウムイオン電池のはなし~1~
  8. 明るい未来へ~有機薄膜太陽電池でエネルギー変換効率7.4%~

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 電気化学と金属触媒をあわせ用いてアルケンのジアジド化を制す
  2. 元素・人気記事ランキング・新刊の化学書籍を追加
  3. リベロマイシンA /Reveromycin A
  4. 可視光照射でトリメチルロックを駆動する
  5. トリメトキシフェニルシラン:Trimethoxyphenylsilane
  6. インタビューリンクー時任・中村教授、野依理事長
  7. エチルマレイミド (N-ethylmaleimide)
  8. 有機レドックスフロー電池 (ORFB)の新展開:オリゴマー活物質の利用
  9. ソウル大教授Nature Materials論文捏造か?
  10. ノーベル街道起点

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

150度以上の高温で使える半導体プラスチック

Perdue大学のMei教授らは、150ºC以上の高温でも安定的に電気を流せる半導体ポリマー材料を開…

化学構造式描画のスタンダードを学ぼう!【応用編】

前回の【基本編】に引き続き、化学構造式描画の標準ガイドラインをご紹介します。“Graphical…

アジドの3つの窒素原子をすべて入れる

ホスフィン触媒を用い、アジド化合物とα,β-エノンからβ-アミノα-ジアゾカルボニル化合物を合成した…

工程フローからみた「どんな会社が?」~タイヤ編 その1

Tshozoです。今回の主役はゴムで出来ている車両用タイヤ。通勤時に道路で毎日目にするわりに…

感染制御ー薬剤耐性(AMR)ーChemical Times特集より

関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。…

有機合成化学協会誌2019年1月号:大環状芳香族分子・多環性芳香族ポリケチド天然物・りん光性デンドリマー・キャビタンド・金属カルベノイド・水素化ジイソブチルアルミニウム

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2019年1月号がオンライン公開されました。今…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP