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医薬品

ペラミビル / Peramivir

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ペラミビルは米バイオクライストファーマ社(BioCryst Pharmaceuticals)によって開発された、抗インフルエンザ薬です。

ウィルスのノイラミニダーゼを阻害することで、インフルエンザウィルスの体内増殖・拡散を抑えます。


ペラミビルの作用機序ははタミフル、リレンザと同様ですが、投与法が異なります。タミフルは経口投与、リレンザは吸入投与ですが、ペラミビルは注射(静脈注射、筋肉注射、点滴)で投与されます。

静脈などの注射投与は、薬物が全身へと巡る速度が速く、即効性が期待できます。その一方で、いつでもどこでも気軽に投与できるものではありません。

ペラミビル注射製剤は、現在臨床試験が進められており、韓国ではミドリ十字(Green Cross Pharmaceutical)、日本では塩野義製薬がその任務を請け負っています。

2009年7月、塩野義製薬は、ペラビミルの第三相試験(Phase III)にて、タミフルと同等の効能を確認したと発表しました。順調にいけば2009年内に申請、2010年には発売される見通しです。

近年注目を浴びている新型インフルエンザA/H5N1型や、タミフル耐性ウィルスにも効果があるとされており、副作用もタミフル・リレンザよりも低いことが臨床試験のデータから分かっています。

インフルエンザのパンデミックが危惧されている風潮において、薬の選択肢が増えることは喜ばしいことです。今後とも要注目の薬ですね。

 

合成法[1]

peramivir_2.gif

関連文献

[1] “BCX-1812 (RWJ-270201):  Discovery of a Novel, Highly Potent, Orally Active, and Selective Influenza Neuraminidase Inhibitor through Structure-Based Drug Design”

J. Med. Chem. 2000, 43, 3482. DOI: 10.1021/jm0002679

 

関連書籍

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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