[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

【書籍】化学探偵Mr.キュリー2

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4122059909″ locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)”]

理学部化学科の准教授・沖野晴彦(通称Mr.キュリー)が活躍する小説「化学探偵Mr.キュリー」。 その続編である「化学探偵Mr.キュリー2 (中公文庫)」が明日、7月25日に発売となります。文庫版で640円と安価なので化学関係の方はぜひ前回のものとも合わせて読んでみてはいかがでしょうか?今回も作者である喜多喜久氏自身に新書のPRをしていただきました。

「化学者のつぶやき」をご覧の皆様。ご無沙汰しております。喜多喜久です。

察しの通り、今回も新作発売のお知らせのために紹介記事を投稿させていただきました。

新刊のタイトルは、「化学探偵Mr.キュリー2 」です。(中央公論新社・7/25刊行)

ご覧になって分かる通り、2013年に刊行された「化学探偵Mr.キュリー」の続編で、今作も書き下ろし文庫の短編集という体裁になっています。

本シリーズの設定を簡単に紹介しますと、主人公・七瀬舞衣(ななせ まい)は、地方都市にある四宮(しのみや)大学の新人事務員で、庶務課で働く彼女の元に、キャンパス内外で起こるトラブルが次から次へと持ち込まれます。彼女は専門的な立場からのアドバイスを求め、キャンパス穴掘り事件(一巻、第一話参照)で知り合った、理学部化学科の准教授、沖野春彦(おきの はるひこ)に相談に行くようになります。

ちなみに沖野の祖父はフランス人で、その苗字が「キュリー」だったことから、「Mr.キュリー」というアダ名で呼ばれています。

 

では、前作の紹介記事と同じように、本稿でも、各話のあらすじを紹介したいと思います。

 

第一話)化学探偵と炎の魔術師

研究室見学に訪れた少年から、「炎の魔法を使う老人」の話を聞かされた舞衣と沖野。「自分も魔法を使えるようになりたい」と少年は言う。荒唐無稽な依頼だと感じていたが、少年が魔法を目撃した現場を調べた結果、鉄骨を溶かすほどの炎が発生していたことが判明し……。

 

(第二話)化学探偵と盗まれた試薬の使途

沖野の研究室から、50%過酸化水素水が盗まれる。時を同じくして、大学で開催予定のアイドル発掘オーディションに、開催の延期を迫る脅迫状が届く。脅迫状には「爆発物を仕掛ける」と書かれており、盗まれた過酸化水素水が爆弾製造に使われる恐れがあることから、舞衣と沖野は協力して犯人捜しを始める。

 

(第三話)化学探偵と疑惑の記憶

舞衣は知人の紹介で知り合った若手女優から、過去の記憶に悩まされていると相談される。「祖母がクッキーを食べた直後に苦しみだすシーン」を何度も夢に見るという。もしかすると青酸カリによる毒殺だったのでは、と懸念を示す彼女の悩みを晴らすため、舞衣は沖野に相談に行くが……。

 

(第四話)化学探偵と幻を見た者たち

学生から、「恋人に嫌われた!」という相談を受けた舞衣。「相手を怒らせたのは意識が朦朧としていたせいで、直前に飲んだ、大学オリジナル健康飲料『超脳力水』に幻覚剤が入っていたのだ!」と依頼者は訴えるが、舞衣は半信半疑。時を同じくして、学内でのコンプライアンス違反を告発する電話を舞衣は受ける。

 

(第五話)化学探偵と人魂の正体

「自分が目撃した人魂を、もう一度見たい」またしても奇妙な依頼が、舞衣の元に持ち込まれる。いつものように沖野に相談に行くが、折悪く主張中なのだという。舞衣は沖野の研究室の学生と共に、人魂の正体を探ることになるが、人魂が目撃された部屋のドアには鍵が掛かっていて……。

 

――と、いずれの話でも一筋縄ではいきそうにない、不可解な事件が起こります。そして、それらの事件の謎を解くカギは、「化学」にあります。今作でも、沖野は化学の専門家として、事件をズバズバと解決していきます。

 

先に述べた通り、前作刊行時にも「化学者のつぶやき」に紹介記事を投稿させていただきました。その中で、僕はこのように書いています。

 

『かる~く読める一冊ではありますが、今後の作家人生で、このシリーズだけを書くことになったとしても、何ら後悔しない―それくらいの意気込みで書きました。気持ちを込めたから売れるというわけではないですが、自分なりのベストは尽くせたかと思います』

 

ベストを尽くした結果、幸いなことに、こうして続編が書けるくらい、読者の方に広く受け入れてもらえました。前作同様、今作でも自分なりに「やべー!超面白れー!」と思える話を揃えたつもりです。

また、最後まで読んでいただくと分かりますが、「2」で打ち切るような終わり方にはなっていません。化学ネタを捻り出すのは簡単ではありませんが、今後もこのシリーズが続いてほしい、と強く願っています。

 

各話独立形式を取っていますので、「1」を読んでいただいた方はもちろん、まだ読んでいない方でも、無理なく小説の世界に入っていけると思います。「1」でも「2」でも構いません。書店でお見かけの際は、ぜひ「化学探偵Mr.キュリー」をお手に取っていただければと思います。

 

どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4122058198″ locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)”][amazonjs asin=”4796688579″ locale=”JP” title=”ラブ・ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)”][amazonjs asin=”4120044564″ locale=”JP” title=”美少女教授・桐島統子の事件研究録”]

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 株式会社ナード研究所ってどんな会社?
  2. 電子実験ノートもクラウドの時代? Accelrys Notebo…
  3. ドラマチック有機合成化学: 感動の瞬間100
  4. 第27回ケムステVシンポ『有機光反応の化学』を開催します!
  5. 2010年ノーベル化学賞予想ーケムステ版
  6. ホウ素でがんをやっつける!
  7. 環拡大で八員環をバッチリ攻略! pleuromutilinの全合…
  8. MEDCHEM NEWS 31-1号「低分子創薬」

注目情報

ピックアップ記事

  1. クロう(苦労)の産物!Clionastatinsの合成
  2. 有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体
  3. 化学探偵Mr.キュリー7
  4. 第33回 新たな手法をもとに複雑化合物の合成に切り込む―Steve Marsden教授
  5. 超原子結晶!TCNE!インターカレーション!!!
  6. 【東日本大震災より10年】有機合成系研究室における地震対策
  7. 世界で初めて有機半導体の”伝導帯バンド構造”の測定に成功!
  8. 富士写、化学材料を事業化
  9. 【追悼企画】世のためになる有機合成化学ー松井正直教授
  10. 第133回―「遺伝暗号リプログラミングと翻訳後修飾の研究」Jason Chin教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その1

Tshozoです。今回はかなり限定した疾患とそれに対するお薬の開発の中身をまとめておこうと思いま…

第42回メディシナルケミストリーシンポジウム

テーマAI×創薬 無限能可能性!? ノーベル賞研究が拓く創薬の未来を探る…

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP