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学振申請書を磨き上げるポイント ~自己評価欄 編(前編)~

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GWを前に控え、学振申請書作成にいそしむ学生さんの姿が今年も増えていることと思います。

平成18年度からDC1/2の申請書には自己評価欄が付きました。端的には、就活で言うところのエントリーシート(ES)のようなものと言えるでしょうか。学振取得=「月給20万円の職業に就職すること」と考えれば、そういうものがあってよいのかもしれません。

この欄はそれなりの分量を占めていることもあって、やはり上手く書けるに越したことはありません。しかし一方で、『何を書けば良いか全く分からないよ!!』という声も各方面から聞かれるように思います。

今回は文章編(前編・後編)に引き続き、「自己評価欄の書き方」がテーマです。

筆者個人が行ってきた、学生達の申請書添削プロセスで感じたことが主な内容です。あくまで個人的見解の一つではありますが、皆さんの参考になれば幸いです。

自己評価欄とは何か?

学振申請書が就活ESと大きく違うのは、学術界で過ごす方々へのアピールという点です。

学振DC1/2制度が求めていることを(少し乱暴ながら)一言で括るとすれば、以下に尽きると思います。

「将来どれだけ有望な研究者になれるかを見せて欲しい!」

おそらく自己評価欄は、申請する学生本人が書いたかどうか知りようのないプロポーザルだけから資質を判断することに限界を感じた審査員が多くなったため、申請する学生が研究者としての資質を備えているか否かを多角的に測りたい、との要望から設置されたのではないかと推測します。

自己評価欄は以下の項目を要求していますが、要するにそのことが伝わるように書いてくれ、という意図だと読むべきでしょう。

①研究職を志望する動機・目指す研究者像・自己の長所等
②自己評価する上で,特に重要と思われる事項

ただ、その他に何かとっかかりがあるか?と問われると、汎用性のあるこれ以上の合理的考察は正直難しいと結論せざるを得ません。まだまだ閉鎖度が高く情報もそう出てこない界隈ですし、そもそも審査員のほとんどはプロ研究者です。千差万別の強い個性を持っているので評価基準もまちまちです。

そんなところにどうやって自己アピールをすれば良いのか?相手のことを知るにも限界があるなら、少し視点を変えてみましょう。申請者にとって、この欄を書く目的とは一体何なのか?と一旦立ち止まって考えてみるのです。

この答えは明白で、

「学振ゲットという結果・アウトプットに結びつける」

ことが目的の全てです。勘違いしてはいけないのですが、自分がどれだけ意識高い系でリア充で魅力的で素晴らしい人間かをJSPSにアピールすることは、手段であって目的ではありません。通らなければどんな申請書も意味が無い。身も蓋もない言い方かも知れませんが、そういうものです。

では具体的にどういう指針で書けば、目的指向型の文面に仕上がるのでしょうか?

「他でもない自分が学振に選ばれなくては成らない」との結論を導く

①の「研究職を志望する動機」「目指す研究者像」については、特に自由度が高く見えてしまう項目です。その反面、上手く書けている人は驚くほど少ないです。

例えば

「将来私は研究者として~~がやりたいです。だから学振に応募しました」

という”単なる進路希望文”を持ってきているケースがあります。本当に沢山お目にかかりました。

これこそが自由度の高さを戦略的に使えておらず、実効性の薄くなっている典型です。なぜなら「自分が選ばれるための理由づけとして弱い」からです。

そもそも、優秀な応募者であれば、誰しも「やりたいこと・なりたいもの」ぐらいあって当然です。やりたいことすらない人間は、出資対象として論外です。そんな人に気まぐれで税金を出すほど、日本国に経済的余裕はありません。

すなわち、

「他の誰でもない、自分こそが学振特別研究員に選ばれなければならない」との暗黙的結論に繋がる説得的文面を作る

という指針で取り組むのが良いと思われます。学振は競争的資金の一つなので、「他の人を選ばせない理由」を暗に示さなくてはなりません。厳しいようですが、まずはそこを押さえる必要があります。

誰もが認めることをしたいのは分かりますが・・・

もう一つ例を挙げましょう。とりわけ頭が回って、対策熱心で、綺麗な話を好む人が書く文面にありがちなのが、

「世界的に重要と考えられている問題について、流行ワードを使いながら解説を書き、そこに自らを沿わせていく」

というパタン。「否定しづらいこと」や「耳障りのいい言葉」を、掘り下げなしに盛り込んで書けばよいと考えている結果です。おそらくは減点評価に慣れきっていることが根底にあると思われます。

しかし意図に反する結果として、

「どこかで読んだような玉虫色の文章だなぁ」
「ふんふん全くそうだよね。で、君は何ができて何がしたいの?」

と読まれてしまう文章が量産されます。当の本人は戦略的にやってるつもりなのでしょうが、アピールとしては良くありません。差別化要素が小さいことに加え、申請者の人間像が浮かんでこないことが問題です。

自己評価については、ほとんどの人が同じようなことを書いているとする見解もあり、筆者もこれには同感です。「コミュニケーションスキル推しのパラドックス?」という記事でも書きましたが、上手く綺麗に対策しようとあがいた結果、周りとほとんど同じ内容の文面に陥ってしまうケースが後を絶ちません。

繰り返しますが、「他人ではなく、自分こそが学振に選ばれなくては成らない」との暗黙的結論を示し、審査員を説得しなくては成りません。

思ったより長くなりましたので、続きは後編で!

関連書籍

[amazonjs asin=”4061531603″ locale=”JP” title=”学振申請書の書き方とコツ DC/PD獲得を目指す若者へ (KS科学一般書)”]

ケムステのレビューはこちら。

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学振特別研究員になるために~知っておくべき10のTips~[平成28年度申請版] from Masahito Ohue

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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