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水蒸気侵入によるデバイス劣化を防ぐ封止フィルム

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味の素ファインテクノ社で開発を進めている新規封止フィルムについて紹介します。

高速ネットワーク通信5GやIoT (Internet of Things)の時代に入り、LCD (Liquid Crystal Display)に代わる次世代ディスプレイの開発が盛んに行われていますが、その中でOLED (Organic Light Emitting Diode)に注目が集まっています。OLEDが搭載されたテレビやスマートフォンは既に上市されていますが、フォルダブル・ローラブルといったユニークな形や機能を持つOLEDディスプレイが今後登場していきます。

OLEDは既存のLCDと比較して、鮮やかな映像の実現と薄型軽量化という特長を有する一方、発光源である有機素子に起因して酸素・水分に対して極めて弱い為、素子自体を高いレベルで水蒸気から封止をする技術が必要です。現在は無機膜やバリアフィルムを用いた封止方法が適用されて、高いレベルの封止性能が得られますが、複雑なOLEDの生産工程や、大面積に適さないといった課題もあります。今度、これらの課題を克服することに加え、フレキシブル性を持ち、量産プロセスに対応した封止材料の開発が急務です。

我々は、味の素ビルドアップフィルム®(ABF)のフィルム化技術、一液熱硬化接着剤の低温短時間硬化技術を融合・発展させ、高い水蒸気封止性を有する粘・接着性フィルムを開発しています。

高い水蒸気バリア性(=水蒸気を通さない性質)に加え、金属箔などの封止基材やOLED素子との高い接着力持ち、更には、水平方向の水蒸気の侵入を完全に遮断する特長を持ちます。

また、セロハンテープのように熱をかけず封止をすることが出来る為、素子を保護すると言う意味で、熱に弱いOLED素子をはじめ、有機太陽電池素子、ペロブスカイト型太陽電池素子などの封止に最適です。また、簡便に封止できるという点で、お客様での製造コストを大きく下げる可能性も秘めています。現在、これら未来デバイスを世界に広めるように、最終の合わせ込みをしています。

我々の材料開発の精神は、持っている技術を融合し、他の技術を取り入れて発展させて、お客様の製品や製造工程にて常識を覆すような大きな価値が生まれる(=イノベーションが起きる)材料を提供することです。お客様の求める真の価値を追求し、当社製品の組成はもとより、使い方、形態など、どのようなことでも変えていき、お客様でのイノベーションを起すことを目指します。この基本的な考え方が、当社自身の成りたい姿、イノベーションプロバイダーです。

2022年11月14日更新

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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