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水蒸気侵入によるデバイス劣化を防ぐ封止フィルム

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情報伝達技術 (Information & Communication Technology, ICT) の発達に伴い、多様なデバイスやアプリケーションが生み出されています。特に有機半導体を用いたデバイスは、ディスプレイ用途でのOLED (Organic Light Emitting Diode)や次世代太陽電池におけるPSC (Perovskite Solar Cell), OPV (Organic Photo Voltaic)など、軽量化やフレキシブル性と性能を併せ持つものとして製品開発が盛んに行われています。但し、有機材料を用いて作製するOLEDやPSC、OPV等は従来のデバイスと比較して酸素・水分に暴露されることで極めて劣化しやすくなる為、素子自体を高いレベルで封止する技術が必要です。現在は、無機膜やバリアフィルムを用いた封止方法が適用されていますが、大面積化やRoll to Rollでの高速生産を見据えると、量産プロセスに適した柔軟性のある封止材料の開発が求められています。

我々は味の素ビルドアップフィルム®(ABF)のフィルム化技術、一液性熱硬化接着剤PLENSETの低温短時間硬化技術を融合・発展させることで、高い水蒸気バリア性(=水蒸気を通さない性質))を有する粘接着性フィルムの開発を行っています。このフィルムは、金属箔やフィルム等封止機材やOLED素子間で高い接着性を示すと共に、水平方向の水蒸気侵入を完全に遮蔽する特徴を有しています。また熱処理やUV照射工程が不要の為、熱に弱いとされているOLEDやPSC, OPVの封止にも最適です。更にセロハンテープのように簡便に封止出来るという点でも、お客様の製造コストを大きく下げる可能性も秘めています。現在、これら未来のデバイスを世界に広める為、製品化に向け邁進しているところです。

我々の材料開発の精神は、私達の会社が培ってきた技術と、新しい技術を取り入れて自社の技術を発展させながら、お客様の製品や製造工程で常識を覆すような価値が生まれる(=イノベーションが起きる)材料を提供することにあります。お客様の求める真の価値を追求し、製品の組成や分子設計とともに使い方や形態なども含めて柔軟に対応しながら、お客様でのイノベーションを起こすことを目指します。この基本的な考え方が、当社自身の成りたい姿として掲げる “イノベーションプロバイダー“です。

2024年10月24日更新

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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