[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

alreadyの使い方

[スポンサーリンク]

副詞「already」は日本人が最もよく誤用する語の一つです。私が読んできた日本人学者による論文では、「already」が使用される過半数の場合その用法が誤っています。多くの場合は、「already」が表す意味は単に不要であり、それを削除するだけで問題が解決されます。

「already」は、日本語の「もう」や「すでに」に相当するケースが多いですが、「もう」や「すでに」と比べて使用頻度が低いので、和文ではそのいずれかが適切な場合でも、対応する英文では「already」が適切であるとは限りません。

「already」は、ある動作がすでに終了したか、あるいはある状態がすでに成り立っているという意味を表しますが、多くの場合は「already」がなくてもそのような意味は文の内容から明らかです。そうした場合には、「もう終了した」といった意味を特に強調する必要がない限り、「already」を使ってはいけません。

以下は「already」の典型的な誤用を示します。

(1) [誤] This model was already investigated in Ref. [4].
(1) [正] This model was investigated in Ref. [4].

(2) [誤] There have already been several long-term studies on the side effects of Ritalin on adults.
(2) [正] There have been several long-term studies on the side effects of Ritalin on adults.
(2) [正] There are several existing long-term studies on the side effects of Ritalin on adults.

(3) [誤] We already showed that Eq.(1) has a unique solution in the previous section.
(3) [正] We showed that Eq.(1) has a unique solution in the previous section.

(4) [誤] As already mentioned above, the competitive equilibrium of this economy is inefficient.
(4) [正] As mentioned above, the competitive equilibrium of this economy is inefficient.

上記の各例文では、「already」を削除しても当該動作がすでに完了したことは明らかです。

詳しくはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現』(京都大学学術出版会,2004)の第5章をご参照下さい。

出典元:エナゴ学術英語アカデミー

化学論文での「already」の利用例

Such carbamoyl transfers have already been described by Hoppe for the transformation of thioenol carbamates, Snieckus and Percy as a route to acyl anion equivalents, and more recently by Clayden for N C aryl migration.  DOI: 10.1002/anie.201601883

However in the first publication it was already demonstrated that this method with a boronic acid as the aryl donor was applicable to a wide range of nucleophilic reaction partners, including phenols (C(aryl)–O bonds) and amines, anilines, amides, imides, ureas, carbamates, and sulfonamides (C(aryl)–N bonds). DOI: 10.1002/anie.200300594

This reaction has already been successfully employed in short syntheses of 3 and 6. DOI: 10.1038/nature05569

It has already been shown that these reactions can be considered as complementary to some of the classic reactions of organic synthesis and this will be further emphasized as additional ingenious applications of this chemistry to total synthesis are described. DOI: 10.1038/nature06485

 

%e8%8b%b1%e6%96%87%e6%a0%a1%e6%ad%a3%e3%82%a8%e3%83%8a%e3%82%b4

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 非天然アミノ酸触媒による立体選択的環形成反応
  2. メソポーラスシリカ(2)
  3. プロペンを用いたpiericidin Aの収束的短工程合成
  4. みんなーフィラデルフィアに行きたいかー!
  5. t-ブチルリチウムの発火事故で学生が死亡
  6. ワークアップの悪夢
  7. 水素結合水H4O
  8. 合成手法に焦点を当てて全合成研究を見る「テトロドトキシン~その1…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2009年ノーベル化学賞は誰の手に?
  2. テストには書けない? カルボキシル化反応の話
  3. 地球外生命体を化学する
  4. 演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで
  5. 可視光レドックス触媒を用いた芳香環へのC-Hアミノ化反応
  6. ケック マクロラクトン化 Keck Macrolactonization
  7. 一流科学者たちの経済的出自とその考察
  8. ICMSE International Conference on Molecular Systems Engineering
  9. タンパクの骨格を改変する、新たなスプライシング機構の発見
  10. sp2-カルボカチオンを用いた炭化水素アリール化

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

免疫の生化学 (1) 2018年ノーベル医学賞解説

私事ですが4月より大学院生になり、最近は生物学を勉強しています。学部1、…

構造化学の研究を先導する100万件のビッグデータ

Cambridge Structural Databaseに収録された結晶構造が100万件に到達し,…

高校教科書に研究が載ったはなし

高校高学年向け化学の教科書が2019年度から新しくなりました。その作成の一部に関わる貴重な体験ができ…

発見が困難なガンを放射性医薬品で可視化することに成功

A novel class of radiopharmaceuticals has proven…

化学探偵Mr.キュリー8

化学小説家喜多喜久さん。すでに多くの化学(科学)小説を執筆されている人気作家です。特に化学探偵シリー…

旭化成の吉野彰氏 リチウムイオン電池技術の発明・改良で 2019 年欧州発明家賞を受賞

日本から4 年ぶり、史上2 度目の「非ヨーロッパ諸国部門」獲得【ウィーン/ミュンヘン(ドイツ) …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP