[スポンサーリンク]

一般的な話題

ノーコードでM5Stack室内環境モニターを作ろう

[スポンサーリンク]

COVID-19の影響で居室や実験室の換気状況を見直された方は多いと思います。化学系の実験室は定期的な作業環境測定が行なわれますが、それでも有機溶媒の蒸気等が充満しがちです。健康のために日常から室内環境を把握しておくことは大切でしょう。そこで昨今IoT用途などでよく使われているM5Stackを使った簡易室内モニター作りを紹介したいと思います。

M5Stackとは?

M5Stackは中国・深圳のベンチャーが作っているシングルボードコンピューター製品です。使い勝手がいい本体や対応ユニットをものすごい勢いで開発しています。日本では大学生協とよく提携しているスイッチサイエンスが主な代理店です。代表的な機種M5Stack Coreには多数の接続端子・ピンや液晶画面などが付いており、さまざまなモジュールやセンサーを繋ぐことができるため、自由度がかなり高くなっています。直感的なビジュアルプロラミングによって設定できるため、少しいじるだけでも慣れることができるでしょう。基本的にはUSB接続で設定を行ないますが、Wi-FiやBluetoothを活用した遠隔接続もデフォルトで可能です。日本未発売の共働ロボットアームmyCobot(国産有名メーカーのものがx百万円する場合でもこちらなら10万円以下)などもM5Stackで操作可能なので今後期待しています。

ハードの準備・パソコンのセッティング

環境センサー作製にあたって以下のパーツを購入しました。まずこれらを全部接続します。

続いてパソコンのセッティングです。

  1. 公式ダウンロードサイトからUSBドライバー(CP2104 Driver)をダウンロード・インストール
  2. M5StackをパソコンにUSB接続
  3. 公式ダウンロードサイトからM5Burnerをダウンロード・起動してファームウェアをダウンロード・書き込み
  4. 公式ダウンロードサイトからUIFlow-Desktop-IDEをダウンロード

M5Burnerはネット接続が必要ですが、大学・会社のイントラネット環境によってはポートが閉じていて使えないことがあるので注意しましょう。ネット接続はうまくいくのにファームウェアの書き込みがうまく行かない、という場合はネット検索すれば解決策が落ちています。

ビジュアルプログラミングで環境センサーに


上の準備ができればあとはプログラミングするだけです。プログラミングといってもBlocklyが使えるためほとんど知識は不要で、基本的にドラッグアンドドロップだけで完成します(ArduinoやMicroPythonも使えます)。先ほどダウンロードしたUIFlowを起動してM5Stackと接続後、

  1. 使うユニットを選択
  2. 液晶画面のレイアウト設定
  3. ブロックを動かして動作を設定
  4. M5Stackへの書き込み

という手順で環境モニターができあがります。上の画像は温度・湿度・TVOC(揮発性有機化合物)・バッテリー残量を測定・表示するために設定したUIFlowのスクリーンショットで、記事最上部のアイキャッチ画像は実際にM5Stackを動かしている写真です。にゃんこの口臭が測定できました。これを実験室等で使うことで、室内の有機物濃度が高くなった際には換気を促すことができるわけです。他にも、M5StackをWi-Fiでネットワークに接続してIFTTTと連携させて異常時にLINE等に通知を飛ばすことなど可能です。
なおガスセンサユニット(に限らず同様のセンサー)から出てくるTVOCは絶対値として厳密なものではないため、相対的なものとして考えておくべきでしょう。二酸化炭素濃度(eCO2)も取得可能ですが、こちらは通常条件でTVOCから単純換算したものなので、有機物が多く飛んでいる実験室においてはまったくあてになりません。測定自体の再現性は高いため、TVOCがある数値を上回ったらダメなど基準を設けて活用していくのが正しい使い方でしょう。

シングルボードコンピュータやIoT機器といえばラズパイのイメージが強いですが、M5Stackの方がより簡単に使える印象です。過去にケムステではArduinoを使ったエバポ用真空制御装置を紹介していますが、Arduino互換性+αをもつM5Stackでは同等以上のことも可能でしょう。

なおPython等のプログラミングができる方にはオムロンの環境センサもオススメです。私はこちらを測定機器の近くに設置して置いて管理しています。

GEN

GEN

投稿者の記事一覧

大学JKから国研研究者になりました。エアロゲルなど多孔質材料作ったり卓上CNC切削したり共働ロボットで遊んだりしています。ピース写真付インタビューが化学の高校教科書に載りました。

関連記事

  1. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑥:実験室でも…
  2. アノードカップリングにより完遂したテバインの不斉全合成
  3. ハイフン(-)の使い方
  4. 今年の光学活性化合物シンポジウム
  5. 研究費総額100万円!2050年のミライをつくる若手研究者を募集…
  6. 計算化学:DFT計算って何?Part II
  7. tRNAの新たな役割:大豆と微生物のコミュニケーション
  8. 自己修復性高分子研究を異種架橋高分子の革新的接着に展開

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 海外の教授にメールを送る-使える英語表現と文例
  2. これで日本も産油国!?
  3. 添加剤でスイッチするアニリンの位置選択的C-Hアルキル化
  4. 三菱化学:子会社と持ち株会社設立 敵対的買収を防ぐ狙い
  5. SciFinder Future Leaders 2017: プログラム参加のススメ
  6. 第12回化学遺産認定~新たに3件を認定しました~
  7. 付設展示会に行こう!ーシグマアルドリッチ編ー
  8. スナップ試薬 SnAP Reagent
  9. 中高生・高専生でも研究が学べる!サイエンスメンタープログラム
  10. Merck 新しい不眠症治療薬承認申請へ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年5月
« 4月   6月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

注目情報

最新記事

NIMS WEEK2021-材料研究の最新成果発表週間- 事前登録スタート

時代を先取りした新材料を発信し続けるNIMS。その最新成果を一挙ご紹介する、年に一度の大イベント「N…

元素記号に例えるなら何タイプ? 高校生向け「起業家タイプ診断」

今回は化学の本質とは少し離れますが、元素をモチーフにしたあるコンテンツをご紹介します。実験の合間…

多価不飽和脂肪酸による光合成の不活性化メカニズムの解明:脂肪酸を活用した光合成活性の制御技術開発の可能性

第346回のスポットライトリサーチは、東京大学 大学院総合文化研究科(和田・神保研究…

10手で陥落!(+)-pepluanol Aの全合成

高度な縮環構造をもつ複雑天然物ペプラノールAの全合成が、わずか10工程で達成された。Diels–Al…

吉野彰氏が2021年10月度「私の履歴書」を連載。

今年の10月はノーベル化学賞が有機化学分野から出て、物理学賞を真鍋淑郎先生が受賞して、非常に盛り上が…

ガラス工房にお邪魔してみたー匠の技から試験管制作体験までー

実験器具を試して見たシリーズ第10弾! ついにシリーズ10回目を迎えました。今回は特別編です…

ダイセルよりサステナブルな素材に関する開発成果と包括的連携が発表される

株式会社ダイセルは、環境にやさしい酢酸セルロースを当社独自の技術で加工した真球状微粒子を開発し、20…

市販の化合物からナノグラフェンライブラリを構築 〜新反応によりナノグラフェンの多様性指向型合成が可能に〜

第345回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院 理論化学研究室(前田・高橋研究室)…

PCに眠る未採択申請書を活用して、外部資金を狙う新たな手法

みなさんは毎年何本の研究申請書を書きますか?そして、残念ながら日の目を見ずに、アイデアのままパソコン…

フラーレン〜ケージを拡張、時々、内包〜

トリアジン誘導体とN-フェニルマレイミドを用いた、フラーレンのケージを拡張する新規手法が開発された。…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP