[スポンサーリンク]

N

ナザロフ環化 Nazarov Cyclization

[スポンサーリンク]

 

概要

ジビニルケトン誘導体に比較的強いルイス酸やブレンステッド酸を作用させてシクロペンテノン誘導体を合成する反応。

反応はDonor側(D)に電子供与基、Aceptor側(A)に電子吸引基を入れるとうまく進めることができる。ただし、環化後のプロトン脱離の位置制御は難しい。

 

基本文献

  • Nazarov, I. N.; Zaretskaya, I. I. Zh. Obshch. Chim. 195727, 693.
  • Nazarov, I. N.; Zaretskaya, I. I. Zh. Obshch. Chim. 196030, 746.
  • Santelli-Rouvier, C.; Santelli, M. Synthesis 1983, 429. DOI: 10.1055/s-1983-30367
  • Denmark, S. E. Comprehensive Organic Synthesis 19915, 751.
  • Habermas, K. L.; Denmark, S. E.; Jones, T. K. Org. React. 1994, 45, 1. doi: 10.1002/0471264180.or045.01
  • Pellissier, H. Tetrahedron 2005, 61, 6479. doi:10.1016/j.tet.2005.04.014

 

反応機構

強酸によって生じるペンタジエニルカチオン種は4π電子系であり、同旋的ペリ環状反応を経由して進むとされている。
nazarov_5.gif

反応例

Scabronine Gの合成[1] nazarov_2.gif
Silicon-directed Nazarov Cyclizaton[2]: シリル基のβカチオン安定化能を利用し、Nazarov環化を進行させやすくしている。以下はそれを天然物合成に応用した例である。[3] nazarov_3.gif
Merrilactone Aの合成[4]:Ir触媒を用いたNazarov環化により、合成困難なvic-4級炭素を一挙に構築している。
nazarov_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Waters, S. P.; Tian, Y.; Li, Y.-M.; Danishefsky, S. J. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 13514. DOI: 10.1021/ja055220x

[2] Denmark, S. E.; Jones, T. K. J. Am. Chem. Soc. 1982104, 2642. DOI: 10.1021/ja00373a055

[3] Miesch, M.; Miesch-Gross, L.; Franck-Newmann, M. Tetrahedron 1997, 53, 2103. doi:10.1016/S0040-4020(96)01159-3

[4] (a) He, W.; Huang, J.; Sun, X.; Frontier, A. J. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129. 498. DOI: 10.1021/ja068150i (b) He, W.; Huang, J.; Sun, X.; Frontier, A. J. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130. 300. DOI: 10.1021/ja0761986

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527314393″ locale=”JP” title=”Pericyclic Reactions – A Textbook: Reactions, Applications and Theory”][amazonjs asin=”4759808752″ locale=”JP” title=”ペリ環状反応―第三の有機反応機構”]

 

外部リンク

関連記事

  1. シュミット転位 Schmidt Rearrangement
  2. フィッシャー インドール合成 Fischer Indole Sy…
  3. ストライカー試薬 Stryker’s Reagent…
  4. シュワルツ試薬 Schwartz’s Reagent…
  5. ツヴァイフェル オレフィン化 Zweifel Olefinati…
  6. ウィリアムソンエーテル合成 Williamson ether s…
  7. シモンズ・スミス反応 Simmons-Smith Reactio…
  8. ヒンスバーグ チオフェン合成 Hinsberg Thiophen…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 芳香族求核置換反応 Nucleophilic Aromatic Substitution
  2. 二酸化炭素 (carbon dioxide)
  3. 酵素発現領域を染め分ける高感度ラマンプローブの開発
  4. 2,5-ジ-(N-(­­­­–)-プロイル)-パラ-ベンゾキノン DPBQ
  5. 佐藤 伸一 Shinichi Sato
  6. 可視光で芳香環を立体選択的に壊す
  7. ビシュラー・ナピエラルスキー イソキノリン合成 Bischler-Napieralski Isoquinoline Synthesis
  8. 学会ムラの真実!?
  9. エッシェンモーザーメチレン化 Eschenmoser Methylenation
  10. 製薬大手のロシュ、「タミフル」効果で05年売上高20%増

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

Pdナノ粒子触媒による1,3-ジエン化合物の酸化的アミノ化反応の開発

第629回のスポットライトリサーチは、関西大学大学院 理工学研究科(触媒有機化学研究室)博士課程後期…

第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学,情報科学,実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

光と励起子が混ざった準粒子 ”励起子ポラリトン”

励起子とは半導体を励起すると、電子が価電子帯から伝導帯に移動する。価電子帯には電子が抜けた後の欠…

三員環内外に三連続不斉中心を構築 –NHCによる亜鉛エノール化ホモエノラートの精密制御–

第 628 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専…

丸岡 啓二 Keiji Maruoka

丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有…

電子一つで結合!炭素の新たな結合を実現

第627回のスポットライトリサーチは、北海道大有機化学第一研究室(鈴木孝紀教授、石垣侑祐准教授)で行…

柔軟な姿勢が成功を引き寄せた50代技術者の初転職。現職と同等の待遇を維持した確かなサポート

50代での転職に不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、長年にわたり築き上げてきた専門性は大きな…

SNS予想で盛り上がれ!2024年ノーベル化学賞は誰の手に?

さてことしもいよいよ、ノーベル賞シーズンが到来します!化学賞は日本時間 2024…

「理研シンポジウム 第三回冷却分子・精密分光シンポジウム」を聴講してみた

bergです。この度は2024年8月30日(金)~31日(土)に電気通信大学とオンラインにて開催され…

【書籍】Pythonで動かして始める量子化学計算

概要PythonとPsi4を用いて量子化学計算の基本を学べる,初学者向けの入門書。(引用:コ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP