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化学者のつぶやき

タンパク質の定量法―ビューレット法 Protein Quantification – Biuret Test

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原理

もっとも古典的な比色定量法である。

アミノ酸が3つ以上繋がったトリペプチド以上のオリゴペプチド・タンパク質を、アルカリ条件下でCu2+を反応させると、Cu+となってペプチド結合を赤紫色の複合体を形成する。ペプチド結合の数が多くなると強く呈色する。この現象を利用して、540 nmにおける吸光度を測定し、検量線を用いて定量する。錯形成がビウレット―銅錯体と類似しているため、この反応名が付けられている。

Lowry法やBCA法はこれを改良したものに相当する。

長所

  • タンパク質組成の違いによる影響を受けにくい
  • 操作が簡便
  • 界面活性剤・脂質の影響を受けにくい

短所

  • 測定範囲は1-10 mg/mL、感度は低い
  • 高濃度のTrisやアンモニウムイオンによって発色が影響される

プロトコル

Biuret試薬の調製法

CuSO4・5H2O(3 g)、酒石酸ナトリウムカリウム(12 g)、MQ水(500 mL)を混ぜて攪拌しながら、10% NaOH(600 mL)、ヨウ化カリウム (4 g)を加え、MQ水で2 Lにメスアップする。調製した試薬は室温で数ヶ月保存可能。

プロトコル
  1. タンパク質溶液サンプル(100 μL)にBiuret試薬を1mL加えてボルテックス攪拌する。
  2. 室温で20-30分以上静置する
  3. 540 nmの吸光度を測定する
  4. BSAを標準試料として希釈系列と検量線を作成し、それをもとに濃度を定量する。

関連動画

参考文献

  1. ”総タンパク質の定量法” 鈴木祥夫、ぶんせき 2018, 1, 2. [PDF]
  2. “[6] Quantification of protein” Stoscheck, C. M. Met. Enzymol. 1990, 182, 50. doi:10.1016/0076-6879(90)82008-P
  3. “A New Colorimetric Assay of Tabletop Sweeteners Using a Modified Biuret Reagent” Fenk, C. J.; Kaufman, N.; Gerbig, D. G. Jr. J. Chem. Educ. 2007, 84, 1676. doi:10.1021/ed084p1676

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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