[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

タンパク質の定量法―ローリー法 Protein Quantification – Lowry Method

[スポンサーリンク]

原理

ローリー法(Lowry Method)はBiuret法をさらに発展させた比色法であり、タンパク質濃度定量に用いられる。

アルカリ性条件でCu2+をタンパク質に加えることで還元体のCu+が生成するが、これがFolin-Ciocalteu試薬中のタリンモリブデン酸-タングステン錯体を還元し、青く発色する。これを770 nmの吸光度を測定することによって定量する。

長所

  • 測定範囲は0.2-2 mg/mL、Biuret法より改善している
  • 操作が簡便

短所

  • 反応に時間がかかる。
  • 界面活性剤、キレート剤、チオール還元剤などで妨害をうける

プロトコル

Lowry試薬の調製法

A液
Na2CO3(20 g)、NaOH(4 g)をMQ水に溶解し全量1 Lとする。室温~冷蔵下にで、数ヶ月保存可能

B液
Cu2SO4-5H2O(1 g)、酒石酸ナトリウムカリウム(2 g)をMQ水に溶解し、全量200 mLとする。室温~冷蔵下にで、数ヶ月保存可能

Folin-Ciocalteu フェノール試薬

市販品を購入。

プロトコル
  1. 50容量のA液と、1容量のB液を混合する(用時調製)
  2. サンプル(100 μL)に対し、1.の混合液を1mL加え、ボルテックス攪拌する
  3. 30℃で10分静置する
  4. Folin試薬を100μL加え、ボルテックス攪拌する
  5. 30℃で30分静置する
  6. 770 nmの吸光度を測定する。
  7. BSAを標準試料として希釈系列と検量線を作成し、それをもとに濃度を定量する。

関連動画

参考文献

  1. ”総タンパク質の定量法” 鈴木祥夫、ぶんせき 2018, 1, 2. [PDF]
  2. “[6] Quantification of protein” Stoscheck, C. M. Met. Enzymol. 1990, 182, 50. doi:10.1016/0076-6879(90)82008-P
  3. “Protein Measurement with the Folin Phenol Reagent” Lowry, O. H.; Rosebrough, N. J.; Farr, A. l.; Randall, R. J.  J. Biol. Chem. 1951, 193, 265-275. doi:10.1016/S0021-9258(19)52451-6

関連書籍

Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition (3-Volume Set)

Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition (3-Volume Set)

Green, Michael R., Sambrook, Joseph
¥39,500(as of 12/08 11:08)
Amazon product information

外部リンク

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 「赤チン」~ある水銀化合物の歴史~
  2. Reaxys Prize 2012受賞者決定!
  3. ヒト胚研究、ついに未知領域へ
  4. 日本薬学会  第143年会 付設展示会ケムステキャンペーン Pa…
  5. ハメット則
  6. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑳ドッキングス…
  7. 海外でのアカデミックポジションの公開インタビュー
  8. フェネストレンの新規合成法

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ブロック共重合体で無機ナノ構造を組み立てる
  2. 産官学の深耕ー社会への発信+若い力への後押しー第1回CSJ化学フェスタ
  3. スクショの友 Snagit
  4. 求電子的フッ素化剤 Electrophilic Fluorination Reagent
  5. 改正特許法が国会で成立
  6. 石テレ賞、山下さんら3人
  7. KISTECおもちゃレスキュー こども救急隊・こども鑑識隊
  8. 第10回慶應有機化学若手シンポジウム
  9. バイアグラ /viagra
  10. 米国もアトピー薬で警告 発がんで藤沢製品などに

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年11月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

【12月開催】第十四回 マツモトファインケミカル技術セミナー   有機金属化合物 オルガチックスの性状、反応性とその用途

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

保護基の使用を最小限に抑えたペプチド伸長反応の開発

第584回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

【ナード研究所】新卒採用情報(2025年卒)

NARDでの業務は、「研究すること」。入社から、30代・40代・50代……

書類選考は3分で決まる!面接に進める人、進めない人

人事担当者は面接に進む人、進まない人をどう判断しているのか?転職活動中の方から、…

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP