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有機合成化学協会誌2022年11月号:英文特別号

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1有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2022年11月号がオンライン公開されました。

もうすぐ2022年も終わりますね。。。早いものです。有機合成化学協会誌を使って、さらにレベルアップしたいところです。

今月号は英文特別号です!非常に豪華な著者陣による論文の大集合ですので、ぜひご覧ください。全てオープンアクセスです。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:Internationalization

今月号の巻頭言は、理化学研究所の Laurean Ilies チームリーダーによる執筆記事です。

Micro-Flow N-Acylation Using Highly Electrophilic Acyl Ammonium Cations for Peptide and Urethane-Protected N-Carboxyanhydride Syntheses

増井 悠、布施新一郎 (名古屋大学大学院創薬科学研究科)

本総合論文では、マイクロフロー法によるペプチド合成などのN-アシル化反応が報告されている。マイクロフローによって反応時間をごく短くすることで。単に反応効率を高めるだけでなく、アシルアンモニウムカチオン中間体の特異な反応性を明らかにし、その結果に基づいてアミン触媒の役割や意味合いが議論されている点が興味深い。

C–H Borylation of Arenes: Steric-controlled Para-selectivity and Application to Molecular Nanocarbons

瀬川泰知,1,2 長瀬真依,1,2 齋藤雄太朗,3 加藤健太,4 伊丹健一郎5,6 1分子科学研究所、2総合研究大学院大学、3東京大学大学院工学系研究科、4早稲田大学先進理工学部、5名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所、6名古屋大学大学院理学研究科)

芳香環の触媒的C–H官能基化は現代の有機合成化学で必須となりつつある。本論文は、イリジウム触媒を用いたアレーン類のC–Hホウ素化における位置選択性の制御法が紹介されており、合成経路の立案に有用である。また、機能性ナノカーボン材料開発の起点となる多環芳香族化合物の位置選択的C–Hホウ素化も概観されている。

Lewis Acid-mediated Carbon–fluorine Bond Transformation: Substitution of Fluorine and Insertion into a Carbon–fluorine Bond

西本能弘、安田 誠(大阪大学大学院工学研究科)

強固で不活性な炭素-フッ素結合を選択的に切断し、さらに官能基変換を行うことはなかなか困難な業でした。著者らは、特定のルイス酸が持つ炭素-フッ素結合活性化能をうまく利用して、特徴ある炭素-フッ素結合の官能基変換反応をこれまでに研究してきました。筆者らが開発した4種の異なる新規な反応をまとめた総合論文です。

Exploring New Reactions and Syntheses of Trivalent Iodine Compounds

吉戒直彦(東北大学大学院薬学研究科)

三価ヨウ素化合物が引き起こす、摩訶不思議な変換の数々。三価ヨウ素化合物を用いる変換に関する、著者らが切り拓いてきた化学について分かりやすくまとめられています。遷移金属触媒やLewis酸といった、幅広い条件下で三価ヨウ素化合物が活性化され、多彩な生成物に至る、という三価ヨウ素化合物を用いた合成化学の魅力が詰まった総合論文です。

Enantioselective Helicene Synthesis by Rhodium-Catalyzed [2+2+2] Cycloaddition

森田楓人、田中 健 (東京工業大学物質理工学院)

本論文では、らせん構造を有する縮合芳香族化合物であるヘリセンの触媒的不斉合成法について、最新かつ最先端の研究成果が紹介されている。

Visible-light-induced Organocatalytic Perfluoroalkylation of Electron-rich Olefins

矢島知子(お茶の水女子大学基幹研究院)

含フッ素有機化合物は、われわれの日々の生活をより豊かにする上でもはや欠くことのできない化合物群です。本論文では、可視光レドックス有機触媒を用いた電子豊富なオレフィン類のパーフルオロアルキル化反応に関する著者らの一連の研究がわかりやすくまとめられています。是非、ご一読下さい。

Molecular Shape-organized Stimuli-responsive Functional Crystalline Systems

燒山佑美 (大阪大学大学院工学研究科、大阪大学先導的学際研究機構)

3次元的結晶構造秩序を保ったままで、熱や湿気といった外部刺激に対する応答を示す固体物質の科学に関するハイレベルな研究が紹介されています。こういった物質を開発するうえで、有機合成化学は大変重要です。また、新たな刺激応答性固体物質の開発研究についても解説されています。

Development of Specific PET Tracers for Central Nervous System Drug Targets

小池竜樹 (武田薬品工業株式会社)

PET(Positron emission tomography)トレーサーは、医薬品の研究開発に有用なバイオイメージングツールのひとつです。起点化合物の選択およびどのようなパラメーターに着目しながら構造を変換し、PETトレーサーとして適したプロファイルを有する化合物の創出に至ったのか、武田薬品工業株式会社の中枢薬プロジェクトにおける成功例が記載されています。

Function-Integrated Catalytic Systems for Small-Molecule Conversion: Advances and Perspectives

近藤美欧、正岡重行(大阪大学大学院工学研究科)

本総合論文は、大阪大学の近藤先生、正岡先生らが進めている機能統合型金属錯体触媒による水、二酸化炭素などの小分子の変換反応について詳細に解説されています。多電子移動を可能とする五核鉄クラスターによる水の酸化反応、反応活性中心と高い電荷移動度を兼ね備えた水の酸化触媒の開発、二酸化炭素の還元を効率よく促進する光触媒の開発、近傍の活性部位と基質捕捉部位の機能統合による二酸化炭素の還元触媒の開発など、独自の触媒設計のアイデアが詰まった論文です。

Materials Design of Organic Lasers Aimed at Low Lasing Threshold

安達千波矢1,2,3*, Atula S. D. Sandanayaka1,4, Sahar Alasvand Yazdani1, 儘田正史1,2, 松島敏則2,3 1九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター、2九州大学大学院工学研究院、3九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4 Sabaragamuwa University of Sri Lanka)

レーザーを有機分子でつくる!レーザーは科学分野はもちろん、医療や情報分野などで不可欠な装置です。現状、無機半導体を用いたレーザーが主流ですが、有機分子レーザーに関する著者らの研究がまとめられています。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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