[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

ロジャー・コーンバーグ Roger Kornberg

[スポンサーリンク]

 ロジャー・デイヴィッド・コーンバーグ(Roger David Kornberg, 1947年4月24日 – )はアメリカの生化学者である。 スタンフォード大学教授。2006年、「真核生物における転写の研究」によってノーベル化学賞を単独受賞している(写真:Sensor-Kinesis Corp.)。

経歴

1947年4月24日にミズリー州セントルイスにアーサー・コーンバーグ(スタンフォード大教授、1959年ノーベル生理学・医学賞受賞者)の長男として生まれた。18歳の時にすでにポールバーグ教授(1980年ノーベル賞受賞者)と共著でDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼに関する論文を発表。

1967年にハーバード大学で学士号を取得後、スタンフォード大学へ進学しマックコンネル教授とともに生体膜における脂質のダイナミクスに関する研究を行い、1972年に博士号(Ph.D.)を取得。ケンブリッジ大学の医学研究会議 (Medical Research Council) 分子生物学研究室 (Laboratory of Molecular Biology) でポスドク(博士研究員)を行い、27歳の時にDNAとヒストンユニットの繰り返しからなるクロマチン構造(ヌクレオソームモデル)を提案。

1976年にハーバード大学メディカルスクール(Medical School )の助教授となった後に、1978年にスタンフォード大学に戻り、構造生物学科の教授となた。その後1984年から1992年まで学科長を務め、現在もスタンフォード大学教授、またヘブライ大学(イスラエル)の教授も兼任、さらに全米科学アカデミー及びアメリカ芸術科学アカデミー会員である。

1967 ハーバード大学卒業
1972 スタンフォード大学博士課程終了(Ph.D.)
1972 ケンブリッジ大学博士研究員
1976 ハーバード大学メディカルスクール助教授
1978- スタンフォード大学構造生物学科教授
1984-1992 スタンフォード大学構造生物学科長

受賞歴

1997 Harvey Prize
2002 ASBMB-Merck Award
2002 Pasarow Award in Cancer Research
2002 Le Grand Prix Charles-Leopold Mayer
2005 Alfred P. Sloan Jr. Prize
2006 ノーベル化学賞
2006 ルイザ・グロス・ホロヴィッツ賞

研究

1974年に真核細胞の染色質(クロマチン)が凝集していない最小単位であるヌクレオソーム(nucleosome)を提唱した[1]。そのヌクレオソームはDNA二重鎖と円盤状のたんぱく質であるヒストンで構成されている。DNA二重鎖はヒストンの周りを取り囲んでいて、その周囲を1.75周したものが一単位のヌクレオソームである。

また、2001年にはRNAポリメラーゼの結晶を酵母の細胞を使って作りエックス線回析による実験で三次元構造を詳しく解明した[2]

関連論文

[1] Kornberg, R.D. Science 1974, 184, 868. 【Pubmed

[2] a) Cramer, P.; Bushnell D.A.; Kornberg, R.D. Science 2001, 292, 1863. 【Pubmed】;b) Gnatt, A.L.; Cramer, P.; Fu, J.; Bushnell, D.A: Kornberg, R.D. Science 2001, 292, 1876.【Pubmed

コメント&その他

  1. ロジャーは子どもの頃クリスマスプレゼントは何がよいと聞かれ、「研究室での1週間がいい」と言ったらしい。
  2. 父はノーベル生理・医学賞受賞者でロジャーは長男。弟(次男)のトーマス・コーンバーグ(Thomas Bill Kornberg)は生化学者でDNAポリメラーゼII及びIIIの発見者。カリフォルニア大学サンフランシスコ校教授。三男ケネス・コーンバーグ(Kenneth Andrew Kornberg)は研究所専門の建築家である。

関連書籍

[amazonjs asin=”0824308719″ locale=”JP” title=”Annual Review of Biochemistry: 2002″][amazonjs asin=”082430876X” locale=”JP” title=”Annual Review of Biochemistry 2007″][amazonjs asin=”B0095EIO3M” locale=”JP” title=”Nucleosomes, Histones & Chromatin Part A: 512 (Methods in Enzymology)”]

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 竜田 邦明 Kuniaki Tatsuta
  2. 岩澤 伸治 Nobuharu Iwasawa
  3. エリック・メガース Eric Meggers
  4. 千田憲孝 Noritaka Chida
  5. スティーブン・ヴァン・スライク Steven Van Slyke…
  6. リッチー・サーポン Richmond Sarpong
  7. ロルフ・ミュラー Rolf Muller
  8. マーティン・チャルフィー Martin Chalfie

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本で始まる最先端半導体の開発 ~多くの素材メーカーが参画~
  2. 免疫(第6版): からだを護る不思議なしくみ
  3. イボレノリドAの単離から全合成まで
  4. 関大グループ、カプロラクタムの新製法開発
  5. 東京大学理学部 化学教室
  6. π-アリルパラジウム錯体
  7. 環境対策と経済性を両立する電解酸化反応、創造化学が実用化実験
  8. ピーター・ジーバーガー Peter H. Seeberger
  9. 二酸化炭素をはきだして♪
  10. 3Dプリンタとシェールガスとポリ乳酸と

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP