[スポンサーリンク]

B

バートン・マクコンビー脱酸素化 Barton-McCombie Deoxygenation

 

概要

アルコールをチオカルボニル化合物へと変換後、ラジカル条件で脱酸素化を行う反応。ヒドロキシル基の除去法として最もポピュラーなものの一つである。

基本文献

 

開発の歴史

本反応は1975年にイギリスの化学者バートンと当時博士研究員であったマクコンビーによって開発された。バートンは有機立体化学の概念を開拓した功績から1969年にノーベル化学賞を受賞していたが、その後も精力的に研究に携わった。マクコンビーは博士研究員の後、シェリング・プラウ(2009年にメルクに吸収合併)にて研究員を29年間勤めた。

 Derek H. R. BartonとStuart W. McCombie

Derek H. R. BartonとStuart W. McCombie

 

反応機構

barton_mccombie_2.gif

反応例

アルキルザンテートが良く用いられるが、フェニルチオカーボネート・チオカルボニルイミダゾレートなども本法には適用可能である。以下はその例[1]。
barton_mccombie_3.gif
ラジカル中間体を捕捉する官能基が存在する場合、連続的に反応が進行しうる。以下は環化反応に用いた例[2]。
barton_mccombie_4.gif
Azadirachtinの合成[3]
barton_mccombie_5.gif

実験手順

実験のコツ・テクニック

ラジカル開始剤としては過酸化ベンゾイル(BzOOBz)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、Et3B/O2などが用いられる。特にEt3B/O2条件は低温でラジカルを生成させることができるため、複雑化合物合成において有用性が高い。VA-061(半減期温度61℃)やVA-044(半減期温度44℃)といった水溶性ラジカル開始剤も最近ではポピュラーになりつつある。

還元剤としてはトリブチルスズヒドリドBu3SnHが汎用される。しかし高い毒性と分離の難しさなどの問題もあって、近年ではトリス(トリメチルシリル)シラン(TMS)3SiHなどがその代替として活用されつつある。通常のトリアルキルシランに比べて結合開裂エネルギーがスズヒドリドに近く、ラジカル還元に適している。

barton_mccombie_6

参考文献

[1] Danishefsky, S. J. et al. J. Am. Chem. Soc. 2000122, 6160. DOI: 10.1021/ja000521m
[2] Tadano, K. et al. J. Org. Chem. 199560, 8179. DOI: 10.1021/jo00130a017
[3] Veitch, G. E.; Beckmann, E.; Burke, B. J.; Boyer, A.; Maslen, S. L.; Ley, S. V. Angew. Chem. Int. Ed. 200746, 7629. DOI:10.1002/anie.200703027

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

Barton-McCombie Reaction (organic-chemistry.org)
Barton-McCombie Reaction (Wikipedia)
Barton-McCombie Deoxygenation
Barton-McCombie Reaction
ラジカル開始剤 – Wikipedia
ラジカル重合開始剤関連試薬(和光純薬、PDF)
「・」ラジカル(有機って面白いよね!)

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. フィッシャー インドール合成 Fischer Indole Sy…
  2. ワイス反応 Weiss Reaction
  3. 森田・ベイリス・ヒルマン反応 Morita-Baylis-Hil…
  4. マクマリーカップリング McMurry Coupling
  5. マンニッヒ反応 Mannich Reaction
  6. ホフマン脱離 Hofmann Elimination
  7. ピーターソンオレフィン化 Peterson Olefinatio…
  8. コッホ・ハーフ Koch-Haaf反応

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. コーラから発がん物質?
  2. ハーバート・ブラウン Herbert C. Brown
  3. フルオキセチン(プロザック) / Fluoxetine (Prozac)
  4. ノンコーディングRNA 〜 RNA分子の全体像を俯瞰する〜
  5. 天然階段状分子の人工合成に成功
  6. 【追悼企画】生命現象の鍵を追い求めてー坂神洋次教授
  7. コケに注目!:薬や香料や食品としても
  8. ナイトレン
  9. ティム・ジャミソン Timothy F. Jamison
  10. クレイグ・ホーカー Craig J. Hawker

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ケムステイブニングミキサー2019ー報告

3月16日から19日の日本化学会第99春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!甲南大学…

モリブデンのチカラでニトロ化合物から二級アミンをつくる

川上原料のニトロアレーンとアリールボロン酸を用いた二級アミン合成法が報告された。空気下で安定なモリブ…

化学的に覚醒剤を隠す薬物を摘発

化学変化を加えると覚醒剤に加工できる指定薬物を密輸しようとしたなどとして、東京税関成田支署と成田空港…

ニコラス-ターナー Nicholas Turner

ニコラス ターナー (Nicholas Turner, 1960年6月2日イギリス、ケント州Orpi…

博士課程に進学したあなたへ

どういった心構えで研究生活を送るべきかについて、昨年ですが面白い記事がNatureに出ていたので、紹…

【書籍】フロンティア軌道論で理解する有機化学

「軌道の見方がわかる!有機反応を一貫して軌道論に基づいて解説。新しい有機化学を切り拓く読者へ…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP