[スポンサーリンク]

ケムステしごと

【十全化学】核酸医薬のGMP製造への挑戦

[スポンサーリンク]

 

「核酸医薬」と聞いて、真っ先に思い起こすのは、COVID-19に対するmRNAワクチンではないかと思います。このmRNAワクチンに含まれるmRNAは酵素を用いたin vitro合成、いわゆるバイオ技術で製造されます。一方で、近年承認されている核酸医薬の原薬成分の多くは有機化学の手法によって製造されています。

1998年に世界初の核酸医薬「Vitravene®(fomivirsen)」が承認されてから、2023年末までに19種類の核酸医薬がされています。特に、2016年以降で16種類が承認されており、ここ数年で最も注目されている中分子医薬品であると言えます。

これらの核酸原薬の多くは、ホスホロアミダイト法と呼ばれる固相合成法で合成されています。仕組みとしては、カラムに詰めた担体に反応液を順番に流すことで、連続的に核酸オリゴマーを伸長させ、望みの核酸オリゴマーが合成できたところで、担体から切り離す。その後、精製などの後処理をすることで、目的の核酸原薬が出来上がります。

当社は、これまで低分子医薬原薬を製造する中で、有機化学の「スケールアップ」のノウハウを培ってきました。そして、それを活かすことのできる核酸医薬原薬の製造に挑戦しています。「スケールアップ」の際に重要になるのは、ラボの状況を工場で再現できるかどうかということです。核酸も低分子と同様にラボと工場で相似の機器を導入しています(工場の機器は2024年夏までに導入予定)。

一方で、固相合成法に関して、これまでの知見が活かせない部分があります。低分子の有機反応では、適宜サンプリングし、分析することで目的物の生成を確認できましたが、固相合成は担体から核酸オリゴマーを切り離すまで目的物が生成しているかどうか判断できない状況でした。そこで我々は、固相合成機に「React-IR」を取り付け、オンラインで間接的に目的物の生成を確認しています。将来的には発展技術として、各反応の収率も算出できるようになるべく、研究を進めています。

関連リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. タンパク質機能をチロシン選択的な修飾で可逆的に制御する
  2. 化学反応のクックパッド!? MethodsNow
  3. SFTSのはなし ~マダニとその最新情報 前編~
  4. ヒドラジン合成のはなし ~最新の研究動向~
  5. だれが原子を見たか【夏休み企画: 理系学生の読書感想文】
  6. ヒスチジン近傍選択的なタンパク質主鎖修飾法
  7. ペプシとヒドラゾンが作る枝分かれフッ素化合物
  8. 魅惑の薫り、漂う香り、つんざく臭い

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」④(解答編)
  2. パット・ブラウン Patrick O. Brown
  3. 第10回 野依フォーラム若手育成塾
  4. プメラー転位 Pummerer Rearrangement
  5. クリストファー・ウエダ Christopher Uyeda
  6. O-脱メチル化・脱アルキル化剤 基礎編
  7. 『Ph.D.』の起源をちょっと調べてみました② 化学(科学)編
  8. 計算化学:DFTって何? PartIII
  9. 化学療法と抗がん剤の併用で進行期非扁平非小細胞肺癌の生存期間延長
  10. E値 Environmental(E)-factor

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

そうだ、アルミニウムを丸裸にしてみようじゃないか

N-ヘテロ環ボリロキシ配位子を用いることで、アニオン性かつ非環式、さらには“裸“という極めて不安定な…

カルベンがアシストする芳香環の開環反応

カルベンがアシストする芳香環の開環反応が報告された。カルベンとアジドによる環形成でナイトレンインダゾ…

有機合成化学協会誌2024年7月号:イミン類縁体・縮環アズレン・C–O結合ホモリシス・ハロカルビン・触媒的バイオマス分解

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年7月号がオンライン公開されています。…

分子研「第139回分子科学フォーラム」に参加してみた

bergです。この度は2024年7月3日(水)にオンラインにて開催された、自然科学研究機構 分子科学…

光の色で反応性が変わる”波長選択的”な有機光触媒

照射する可視光の波長によって異なる反応性を示す、新規可視光レドックス触媒反応が開発された。赤色光照射…

ロタキサンを用いた機械的刺激に応答する効率的な分子放出

軸状分子に複数の積み荷分子をもつロタキサンを用いることで効率的に分子を放出するシステムが報告された。…

鉄触媒反応へのお誘い ~クロスカップリング反応を中心に~

はじめにパラジウムなどのレアメタルを触媒としたカップリング反応は、有機EL材料、医農薬、半導体材…

Sim2Realマテリアルズインフォマティクス:データの乏しさを分子シミュレーションにより克服する

開催日:2024/07/10 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

ある動脈硬化の現象とマイクロ・ナノプラスチックのはなし

Tshozoです。マイクロプラスチックについては以前から関連記事(1,2)を書いたり定期的に…

半導体・リチウムイオン電池にも!マイクロ波がもたらすプロセス改善

<内容>電子レンジでおなじみの”マイクロ波”は、昨今、プロセスの脱炭素化及び効率…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP