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有機合成化学協会誌2026年3月号:環状オキシムエステル・糖鎖分子プローブ・人工核酸・シラノール・TAFIa阻害剤のプロセス開発

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年3月号がオンラインで公開されています。

5件の総合論文(うち企業から1件)に加え、仙波先生(京大)の「ラウンジ」、永次先生(東北大)の「感動の瞬間」が掲載されています。

会員の方は、それぞれの画像をクリックすると、J-STAGEを通じてすべて閲覧できます。

巻頭言:そのキャリアパスは、誰の「正解」ですか? [オープンアクセス]

今月号の巻頭言は、味の素株式会社執行役常務バイオ・ファイン研究所長 髙柳 大 博士による寄稿記事です。

果たして他人の「キャリアパス」が自分にとっての正解なのかという疑問を提起する寄稿です。他人ではなく自分が「どうありたいか」が大切なのかもしれません。

遷移金属による環状オキシムエステルのN-O結合切断に基づく窒素活性種の発生と含窒素複素環合成の新手法

大江浩一*(京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻

2023年度有機合成化学協会賞(学術的なもの)受賞

窒素活性種、特にニトレンの生成およびそれを鍵中間体とする含窒素複素環化合物の合成について体系的にまとめられている。関連分野の歴史的な発展を俯瞰するとともに、著者らが開発した810族遷移金属錯体を用いる選択的合成反応が紹介されている。本論文は、反応機構の理解と合成戦略の両面から当該研究分野の進展を整理しており、新規反応開発に取り組む研究者にとって有用な内容となっている。

糖質関連酵素の簡便な活性検出を可能とする糖鎖分子プローブの合成

石井希実*、松尾一郎*(群馬大学大学院理工学府物質・環境部門応用化学プログラム)

生体内での酵素は、複数種類の糖単位を順序よく繋げて、あるいはピンポイントで切って、複雑な糖鎖構造を完成させ、選択的に生理活性を発現させています。複雑な糖鎖合成化学の技術を駆使することで、特定の糖鎖構造が切られることを簡便に検出し、そしてその生物学的意義に迫るプローブ分子が開発されました。

ホスト-ゲスト相互作用によって遺伝子発現を可逆制御できる人工核酸の開発

岡村秀紀*永次 史岡山大学学術研究院医歯薬学域)

ホスト-ゲスト相互作用を利用してDNA二本鎖形成を可逆的に制御する、新たな遺伝子調節コンセプトを提示した研究です。外部分子の添加のみで発現をオン・オフできる独自の制御機構は、従来とは異なる原理に基づく遺伝子制御の可能性を拓くものです。合成生物学や新規治療技術への応用展開が期待される内容となっています。

シラノール誘導体を用いたアニオン認識とその応用

近藤慎一*(山形大学理学部)

シラノール誘導体が持つ「アニオン認識能」に焦点を当て、その基礎から応用までを網羅した総合論文です。水素結合による分子認識メカニズムの解明から、蛍光センサー、環状シロキサン合成、有機分子触媒への展開に至るまで、シラノールの新たな可能性を提示しています。

TAFIa阻害剤のプロセス開発:不斉水素化プロセスの開発とプロドラッグに対する異性化晶析プロセスの適用

上田 剛*、阿部祐三、鵜飼和利、林 政樹(第一三共株式会社プロセス技術研究所)

TAFIa阻害剤およびそのプロドラッグの製造プロセス開発に焦点を当て、多様な光学活性体取得技術を駆使して高効率かつ高選択的な合成法を確立しています。特に、フルオラスアルコール溶媒を用いた不斉水素化反応やジアステレオマー混合物の溶解度差を利用した異性化晶析などにより、製造収率と光学純度の大幅な向上を実現しました。医薬品原薬のプロセス開発における戦略的アプローチとして、多くの研究者にとって有益な知見を提供する内容となっております。

Review de Debut [オープンアクセス]

今月号のReview de Debutは1件です。

・遷移金属触媒およびD2Oによる重水素化反応 (北海道科学大学薬学部)神尾慎太郎

ラウンジ:2種類の遷移金属協働触媒によるカップリング反応

仙波一彦(京都大学大学院工学研究科)

2024年度有機合成化学奨励賞受賞

感動の瞬間:振り返ってみれば…… [オープンアクセス]

今月号の感動の瞬間は、東北大学多元物質科学研究科 永次 史 教授による寄稿記事です。

経験のない領域へチャレンジすることこそ、研究の面白さなのかもしれません。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズをご参照ください。

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大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

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