[スポンサーリンク]

ケムステニュース

化学企業のグローバル・トップ50が発表【2022年版】

[スポンサーリンク]

The world’s chemical industry didn’t just grow in 2021, it positively swelled.

According to C&EN’s latest Global Top 50 survey, the world’s 50 largest chemical companies, in aggregate, posted sales of $1.1 trillion in 2021, the fiscal year that forms the basis of the ranking. That’s a 38% increase over the combined total for the same 50 firms in 2020.

(引用:C&EN 7月24日)

C&ENより今年も化学企業のグローバル・トップ50が発表されましたのでケムステニュースにて紹介させていただきます。統計はC&ENが調査した2021年の化学品の売上に基づいたもので、各社の化学品以外の売り上げは除外されています。

総評

2021年はコロナ突入後2年目の業績ということになり、多くの会社が売り上げを回復する結果となりました。具体的に2020年にグローバル・トップ50にランクインした企業の合計売り上げで比較すると2021年は2020年に対して38%増加したそうです。利益についても売上の傾向を追従しており、利益を公表している41社の合計で2020年比148%の増加となりました。この業績向上の原因ですが、一つは2020年がコロナの影響が大きかったからだとしています。昨年は7%の売上減少であり、2021年はそこから回復したため売上を伸ばしたとC&ENではコメントしています。

とはいえ化学業界のコロナによる売り上げ下落は、自動車や航空産業と比べればそこまで悪かったわけではなく、この大きな伸びは別の因子であるインフレが影響しています。化学産業では、石油に依存しており原油価格が約1.5倍になったのに合わせて化学品の価格も上昇しました。例えば、LyondellBasell Industriesでは、エチレンの価格がUSで35%, EUで60%上昇し、ポリエチレンでは約45%上昇, アンモニアは2倍の価格になりました。このような状況から世界の化学産業は、2021年はただ成長したのではなく、肯定的にみて膨張したと評しています。

トップ50へのランクインとアウト

初めてのランクインしたのは、肥料メーカーであるEuroChem Groupです。肥料メーカーは、価格上昇の影響を大きく受けており、YaraやNutrien, Mosaicなども売り上げを大きく伸ばしたそうです。

PTT Global Chemicalは、昨年ランク外となりましたが、今年は復活を果たしました。PTTをはじめとする石油化学メーカーは原油価格の影響を受けて売り上げを大きく伸ばしており、SabicやFormosa Plastics, PetroChina, LyondellBasell Industries, and ExxonMobil Chemicalは2020年比40%以上となりました。中国からは、ポリエステルを製造するTongKun GroupとHengyi Petrochemicalが新たにランクインしました。

ランク外になったのは、 WestlakeとCorteva Agriscience, 東ソー, DICです。価格上昇は事業分野によって差が大きいため、フェアな比較は難しいですが日本の代表的な化学メーカー2社がランク外になったのは残念です。

ランキングの変動

1,2,3位は変動なくBASF、Sinopec、Dowの順になりました。C&ENの記事では、BASFについてロシアのウクライナ侵攻への影響を取り上げ、Sinopecは中国で続くプラント建設、Dowではカーボンニュートラルへの取り組みについて紹介しています。この三社の売上の差は大きく、順位の変動が数年以内に起こることは考えにくいです。一方、Sabicが僅差でFormosa Plasticsを上回り、4位に浮上しました。C&ENの記事では両者について、アメリカの新規プラントの進捗についてコメントしています。

トップ3の企業ロゴ

大きく順位を上げたのはIneosです。昨年の記事では4位としていましたが、C&ENでは為替レートなどの影響により2020年のランクを改定し16位とし、今年は10ランクアップの6位となりました。中国のWanhua Chemicalも、10ランクアップとなり17位となりました。積極的な設備投資を続けており、中国国内での化学品の製造を強化しています。ブラジルのBraskemは11ランクアップで18位となりました。

日本企業については、残念ながらランクダウンの企業が多く、記事のコメントも事業再編や工業の操業停止などが目立ちました。しかしそんな中、信越化学はランクを一つ上げ20位としました。ポリ塩化ビニルと半導体向け材料の好調が業績をけん引しているようです。

三井化学については、本文にてマイクロ波化学とのコラボレーションについて触れている。(出典:5月9日の三井化学とマイクロ波化学のプレスリリース「マイクロ波を活用した環境負荷の低い革新的な炭素繊維(CF)製造に関する基盤技術確立」)

全体を見れば、昨年の逆パターンとなり石油化学の事業を持つ企業の多くがランクアップする結果となりました。カーボンニュートラルに関するビジネスの展開が始まっていますが、グローバル・トップ50の売り上げを見ると石油との関連がまだ強いことが反映されているようです。それでもC&ENの各社へのコメントは、サスティナビリティへの取り組みに関する内容が多く、各社の業績にいつどのように影響が出てくるのか気になるところです。日本の企業についても今行われている事業再編の先に何があるのか、それを未来の化学企業のグローバル・トップ50で明るいニュースとして評されることを願います。

関連書籍

[amazonjs asin=”B09V275WC5″ locale=”JP” title=”e-化学工業白書 2021年版”] [amazonjs asin=”B09NBRNZVM” locale=”JP” title=”ケミカルビジネス情報MAP 2022″]

グローバル・トップ50のケムステ過去記事

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 名城大教授ら会社設立 新素材販売
  2. 日本で発展する化学向けAIと量子コンピューターテクノロジー
  3. 石油化学大手5社、今期の営業利益が過去最高に
  4. ふるい”で気体分離…京大チーム
  5. ケムステSlackが開設5周年を迎えました!
  6. Googleの面接で話した自分の研究内容が勝手に特許出願された
  7. 化学遺産スロイス『舎密学』とグリフィス『化学筆記』が展示へ
  8. 住友化・大日本住友薬、ファイザーと高血圧症薬で和解

注目情報

ピックアップ記事

  1. ディーン・タンティロ Dean J. Tantillo
  2. 日本酸素記念館
  3. 海洋シアノバクテリアから超強力な細胞増殖阻害物質を発見!
  4. スーパーシリル基/Super Silyl Group
  5. 11年ぶり日本開催、国際化学五輪プレイベントを3月に
  6. “Wisconsin Process”について ~低コスト硝酸合成法の一幕~
  7. 祝!明治日本の産業革命遺産 世界遺産登録
  8. 危険物に関する法令:点検・設備・保安距離
  9. 吉岡里帆さんが出演する企業ブランド広告の特設サイト「DIC岡里帆の研究室」をリニューアル
  10. ジョン・アンソニー・ポープル Sir John Anthony Pople

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年8月
月 火 水 木 金 土 日
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

2026年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!

2026年のノーベル化学賞は、「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発…

第64回ケムステVシンポ「データとともに進化する未来の化学」を開催します!

第64回ケムステVシンポの会告を致します。産業技術総合研究所主催の化学シンポジウムシリーズ(…

品質工学とマテリアルズ・インフォマティクス ― 両技術の概要と連携事例

開催概要材料開発やものづくりの現場では、探索すべき組成やプロセス条件が増えるほど組み合わせが爆発…

大学院留学してよかったこと, 悪かったこと【英語, 経済面, オーバードクターに関するお話】

海外の大学で、その大学に籍を置く大学 (院) 生として留学することは「学位留学」と呼ばれたりします。…

光前駆体法の活用によって、ヘプタセンで初の一重項分裂を観測!

第725回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 理学研究科化学専攻 有機元素化学研究室(山田研…

【スタッフ・寄稿募集】Chem-Stationで、化学を「伝える側」になりませんか?

Chem-Station(ケムステ)は2000年に開設された国内最大の化学ポータルサイトです。大学・…

第17回大津会議―とある参加者の記録―

2026年9月28日~29日に開催された第17回大津会議についての、とある参加者の記録です。この記事…

第17回大津会議 -Otsu Conference- 2026 開催報告 ~新体制で紡ぐ「有機合成の夢」~

第17回大津会議が2026年9月28日(月)〜9月29日(火)びわ湖大津プリンスホテルにて開催されま…

有機合成化学協会誌2026年10月号:医薬品プロセス開発・σ芳香族性・含窒素複素環・メロテルペノイド二量体・高歪み化合物

有機合成化学協会が発行する「有機合成化学協会誌」2026年10月号がオンラインで公開されています。…

時代は水だ! セメントのように水と混ぜるだけで成形・硬化できる「水硬性」高分子

第724回のスポットライトリサーチは、東京科学大学物質理工学院(大塚研究室)博士前期課程2年の徳満玲…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP