[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

次世代医薬とバイオ医療

[スポンサーリンク]

次世代医薬とバイオ医療

次世代医薬とバイオ医療

¥5,390(as of 01/13 18:14)
Amazon product information

概要

医薬と医療を照らす近未来創薬研究、多様化するモダリティをまとめて解説。中分子医薬(ペプチド医薬、核酸医薬)、CAR-T細胞療法を始めとする細胞治療、MSCやiPS細胞を用いた再生医療、ゲノム編集などを応用した遺伝子治療、mRNAワクチン、エクソソーム創薬、コンパニオン診断薬、PROTAC、DEL、iChip、AI創薬など、話題の創薬研究・手法をわかりやすく紹介。(内容説明 より)

対象

  • 次世代型医薬モダリティについて網羅的に学びたい人
  • 創薬研究を志す大学院生と研究者
  • 最先端創薬事情や規制についてのとっかかりを知りたい人

内容

本書は、「創薬化学―メディシナルケミストへの道」「バイオ医薬―基礎から開発まで」に続く、創薬科学シリーズ教科書三部作の第3巻です。

現代はモダリティの多様化時代。この2巻だけでは到底記述しつくせる様子がありません。昨今の革命的成果であるmRNAワクチンも、従来の創薬概念に乗らないものであり、モダリティ多様化がもたらした一つの到達点です。このような潮流は医薬の幅を広げ、私たちの生命の安心・健康に日々貢献し続けているわけです。

第1巻の「創薬化学」は古典的王道の低分子創薬、第2巻の「バイオ医薬」はこの20年の製薬業界を牽引してきた抗体をメインとする高分子創薬を主として取り上げてきています。第3巻はそれを補完する位置づけをとりつつ、従来の枠を飛び出した「他のあらゆる創薬モダリティ」と、事例としてのマイルストーン上市薬を網羅的に取り上げています。

章立てを見ても分かるとおり、いわば「モダリティカタログ」として活用するのがよい書物だと思われます。特に抗体医薬の次世代を担うとして最近注目されている中分子医薬品を包括的に取り上げている教科書は大変希少です。また再生医療・細胞治療については、我が国の規制(法令・品質管理など)についても丁寧に触れられています。さらにはCOVID-19の対応に尽くしたmRNAワクチンの最新事情も1章を割いて記されています。第III部以降は記述の少ないところもありますが、これはまだまだ発展途上のものが多い実情を反映してもいます。

核酸医薬の章における1ページ(化学同人の立ち読みサイトより引用)

 

【章立て】
第Ⅰ部 中分子医薬および関連医薬
第1章 次世代医薬としての中分子医薬
第2章 ペプチド医薬およびペプチド様医薬
第3章 核酸医薬
第4章 mRNAワクチン

第Ⅱ部 遺伝子治療,再生医療・細胞治療および関連医薬
第5章 遺伝子治療
第6章 再生医療・細胞治療
第7章 エクソソーム創薬
第8章 個別化医療に向けた診断用医薬品-コンパニオン診断薬

第Ⅲ部 次世代医薬開発において注目すべき創薬手法・技術
第9章 新しい創薬手法-標的タンパク質を分解するPROTAC
第10章 創薬のための新スクリーニング手法-DEL(DNAコード化化合物ライブラリー)
第11章 創薬のための新たなデバイス-iChip未培養微生物
第12章 AI創薬

コラム

筆者が学生のころは、国内でも低分子創薬の勢いが強く、猫も杓子もそればかりだった記憶があるのですが、20年ほど経った今、現代創薬がこれほどまでに多様な広がりを見せていることに、隔世の感を隠しきれません。このような群雄割拠では何が今後台頭するのかさっぱり分からないと一見して思われるのですが、一個人のリソースは有限である以上、どのような技術が求められてくるはずなのかを大きな流れに沿って先読みし、一歩先んじるやり方を選びってべきであろうと常々痛感しています。

本書で記述されるモダリティは個性の強いものばかりです。これらモダリティの勃興・発展史を学び、どのような構想がその裏に流れているのかを学ぶことは、そのような力を育む大きな助けになるでしょう。

次世代医薬とバイオ医療

次世代医薬とバイオ医療

¥5,390(as of 01/13 18:14)
Amazon product information

関連書籍

創薬化学: メディシナルケミストへの道

創薬化学: メディシナルケミストへの道

¥4,290(as of 01/13 07:21)
Amazon product information
バイオ医薬: 基礎から開発まで

バイオ医薬: 基礎から開発まで

¥4,840(as of 01/13 22:55)
Amazon product information
Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 化学装置~化学業界のリーディングマガジン~
  2. 読むだけで身につく化学千夜一夜物語 食品、日用品から最先端技術ま…
  3. フラックス結晶育成法入門
  4. 化学で「透明人間」になれますか? 人類の夢をかなえる最新研究15…
  5. 持続可能な社会を支えるゴム・エラストマー:新素材・自己修復・強靱…
  6. 企業研究者たちの感動の瞬間: モノづくりに賭ける夢と情熱
  7. 炭素文明論「元素の王者」が歴史を動かす
  8. 実践・化学英語リスニング(3)生化学編: 世界トップの化学者と競…

注目情報

ピックアップ記事

  1. varietyの使い方
  2. 有機合成反応で乳がん手術を改革
  3. 2016年9月の注目化学書籍
  4. 第38 回化学反応討論会でケムステをみたキャンペーン
  5. 普通じゃ満足できない元素マニアのあなたに:元素手帳2016
  6. 複雑な試薬のChemDrawテンプレートを作ってみた
  7. 「産総研・触媒化学研究部門」ってどんな研究所?
  8. Noah Z. Burns ノア・バーンズ
  9. ボロン酸の保護基 Protecting Groups for Boronic Acids
  10. 第27回 「有機化学と光化学で人工光合成に挑戦」今堀 博 教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

持てるキャリアを生かせるUターン転職を その難題をクリアしたLHHのマッチング力

両親が暮らす故郷に戻り、家族一緒に暮らしたい――そんなUターンの希望を持つ方にとって大きな懸念となる…

ケムステイブニングミキサー2026に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第106回となる今年は、3月17日(火…

理化学研究所・横浜市立大学の一般公開に参加してみた

bergです。去る2025年11月15日(土)、横浜市鶴見区にある、理化学研究所横浜キャンパスの一般…

【ジーシー】新卒採用情報(2027卒)

弊社の社是「施無畏」は、「相手の身になって行動する」といった意味があります。これを具現化することで存…

求人わずかな専門職へのキャリアチェンジ 30代の女性研究員のキャリアビジョンを実現

専門性が高いため、人材の流動性が低く、転職が難しい職種があります。特に多様な素材を扱うケミカル業界で…

FLPとなる2種類の触媒を用いたアミド・エステルの触媒的α-重水素化反応

第 689回のスポットライトリサーチは、九州大学大学院薬学府 環境調和創薬化学分野 …

第59回ケムステVシンポ「無機ポーラス材料が織りなす未来型機能デザイン」を開催します!

あけましておめでとうございます。2026年ですね。本記事は2026年のはじめのVシンポ、第59回ケム…

【2026年1月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:機金属化合物「オルガチックス」のチタンカップリング剤としての利用 

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を製造・販売し…

PCET×三重項触媒により、不活性なカルボン酸の光誘起脱炭酸反応を促進

第 688 回のスポットライトリサーチは、東京大学 大学院薬学系研究科 有機合成化学…

研究者格付けチェック【Nature 論文のアブストラクトはどっち?】

新年あけましておめでとうございます! お正月の恒例イベントの1つと言えば、テレビ朝日系列のお正月番組…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP