[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

ロバート・メリフィールド Robert B. Merrifield

[スポンサーリンク]

ロバート・ブルース・メリフィールド(Robert Bruce Merrifield,1921年7月15日-2006年5月14日)はアメリカ合衆国テキサス州フォートワース出身の化学者。ペプチドの固相合成法を開発し、1984年のノーベル化学賞を受賞した(写真:nobelprize.org)。

経歴

1921年テキサス州フォートワースで生まれ、1923年に家族とともにカリフォルニア州に移住する。その後、小中学校を9校、高校を2校転校した後、1939年にモンテベロ高校(Montebello High School)を卒業。その時は科学と宇宙学に非常に興味を抱いていた。その後、パサデナジュニアカレッジ(Pasadena Junior College、現在のPasadena CIty College)で2年間学んだ後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に編入。UCLAを卒業した後(学士)、the Philip R. Park Research Foundationで1年間動物の世話や合成アミノ酸療法による成長実験などを行った。

1年後、UCLAに戻り、生化学のDunn教授の下でピリミジンの定量法のための微生物学法について研究を行い、1949年に博士(Ph.D.)を取得。同年結婚。その後、ニューヨークのロックフェラー医療研究所(後のロックフェラー大学)でDr. D.W. Woolleyの助手として勤務した。1959年にペプチド固相合成法を開発[1]し、1984年にその功績が認められ”固相反応によるペプチド化学合成法の開発”によりノーベル化学賞を受賞。1992年までロックフェラー大学の教授を務めた。2006年5月14日ニュージャージー州の自宅で死去(84歳)。

1939 モンテベロ高校 卒業
19xx パサデナジュニアカレッジ
1949 カリフォルニア大学ロサンゼルス校 博士号取得
1959 ロックフェラー医療研究所教授

受賞歴

1969 Lasker Award for Basic Medical Research
1970 Gairdner Award
1970 Intra-Science Award
1972 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
1973 Nichols Medal
1977 Instrument Specialties Company Award of the University of Nebraska
1979 2nd Alan E. Pierce Award of the American Peptide Symposium
1984 ノーベル化学賞

研究

ペプチド固相合成法(メリフィールド法)の開発

ペプチド及びタンパク質を化学合成する際に、一般的に用いられる方法のひとつ。直径0.1mm程度のポリスチレン高分子ゲルのビーズなどを固相として用い、ここにアミノ酸を縮合させ、続けて縮合反応によって1つずつアミノ酸鎖を伸長していく。目的とするペプチドの配列が出来上がったら固相表面から切り出し、目的の物質を得る。

バクテリア中で合成させることの難しいリボソームペプチドの合成や、D-アミノ酸、重原子置換体などの非天然アミノ酸の導入、ペプチド及びタンパク質主鎖の修飾なども可能である。固相法は液相法と比較し、原料と縮合剤を洗い流すだけでよく簡便である。またペプチド鎖が高分子樹脂に固定されて隔てられていることから、水素結合などを介して反応点がもぐりこみ反応性が低下するのを防げる、などの利点がある。

この合成法の開発によって、それまで数十が限界であったペプチド合成を倍以上に伸ばすことに成功した。現在では自動合成装置なども発達し、酵素やホルモンなども合成できるようになっている。これによって生化学・生物学の研究に貢献した。また固相合成法の概念は、医薬品開発のコンビナトリアルケミストリーなどペプチド以外へも発展を遂げている。

この業績によりメリフィールドは1984年のノーベル化学賞を受賞した。

関連論文

  1. Merrifield, R. B. J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 2149. DOI:10.1021/ja00897a025

コメント&その他

  1. 彼の夫人であるElizabeth Merrifieldは「彼がPh.Dを取得したのは日曜日で、月曜日に結婚し、火曜日に仕事のためにNYへ渡った」と述べている。
  2. 彼らには5人の娘と1人の息子、そして16人の孫がいるらしい。
  3. Cathay Award(ペプチド化学の国際賞)の委員長を務めていた。
  4. クロロメチル化ポリスチレン(樹脂)は彼の名前からメリフィールド樹脂と呼ばれ、シーケンスの決まったペプチドの固相合成用担体として使用されている。
  5. Leonidas Zervas, Joseph Fruton, Klaus Hoffmann, Emil Smith, William Stein, Stanford Mooreなど有名な化学者を多数輩出。

関連書籍

[amazonjs asin=”0199257388″ locale=”JP” title=”Amino Acid and Peptide Synthesis (Oxford Chemistry Primers, 7)”][amazonjs asin=”1574444549″ locale=”JP” title=”Chemistry of Peptide Synthesis”][amazonjs asin=”0121821900″ locale=”JP” title=”Solid-Phase Peptide Synthesis, Volume 289 (Methods in Enzymology)”]

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 相良剛光 SAGARA Yoshimitsu
  2. レザ・ガディリ M. Reza Ghadiri
  3. 小坂田 耕太郎 Kohtaro Osakada
  4. ジョージ・オラー George Andrew Olah
  5. ヨアヒム・フランク Joachim Frank
  6. 細谷 昌弘 Masahiro HOSOYA
  7. ロジャー・チェン Roger Y. Tsien
  8. 塩谷光彦 Mitsuhiko Shionoya

注目情報

ピックアップ記事

  1. フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成
  2. アブノーマルNHC
  3. エルマンイミン Ellman’s Imine
  4. 産総研より刺激に応じて自在に剥がせるプライマーが開発される
  5. 骨粗鬆症、骨破壊止める化合物発見 理研など新薬研究へ
  6. SciFinder Future Leaders プログラム体験記 まとめ
  7. 近況報告PartIV
  8. 顕微鏡で有機化合物のカタチを決める!
  9. Nature Reviews Chemistry創刊!
  10. リチウム二次電池における次世代電極材料の開発【終了】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年8月
月 火 水 木 金 土 日
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

大学院留学してよかったこと, 悪かったこと【英語, 経済面, オーバードクターに関するお話】

海外の大学で、その大学に籍を置く大学 (院) 生として留学することは「学位留学」と呼ばれたりします。…

光前駆体法の活用によって、ヘプタセンで初の一重項分裂を観測!

第725回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 理学研究科化学専攻 有機元素化学研究室(山田研…

【スタッフ・寄稿募集】Chem-Stationで、化学を「伝える側」になりませんか?

Chem-Station(ケムステ)は2000年に開設された国内最大の化学ポータルサイトです。大学・…

第17回大津会議―とある参加者の記録―

2026年9月28日~29日に開催された第17回大津会議についての、とある参加者の記録です。この記事…

第17回大津会議 -Otsu Conference- 2026 開催報告 ~新体制で紡ぐ「有機合成の夢」~

第17回大津会議が2026年9月28日(月)〜9月29日(火)びわ湖大津プリンスホテルにて開催されま…

有機合成化学協会誌2026年10月号:医薬品プロセス開発・σ芳香族性・含窒素複素環・メロテルペノイド二量体・高歪み化合物

有機合成化学協会が発行する「有機合成化学協会誌」2026年10月号がオンラインで公開されています。…

時代は水だ! セメントのように水と混ぜるだけで成形・硬化できる「水硬性」高分子

第724回のスポットライトリサーチは、東京科学大学物質理工学院(大塚研究室)博士前期課程2年の徳満玲…

複雑さを設計して、結晶の動きをプログラムする

第723回のスポットライトリサーチは、高知工科大学大学院工学研究科(林研究室) 博士後期課程3年の樋…

ハロゲンの力で強力な結合を切断!天然物クマリンから医薬品・機能性材料原料のクマラノン類へ

第 722 回のスポットライトリサーチは、立命館大学大学院薬学研究科薬学専攻 精密合…

観察を写真で残す!カメラ内蔵リアクタ EasyMax 102i を使ってみた

反応の温度も、攪拌(かくはん)も、滴下も、サンプリングもいまや自動で記録される時代になりました。とこ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP