[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

吉野彰氏が2021年10月度「私の履歴書」を連載。

[スポンサーリンク]

今年の10月はノーベル化学賞が有機化学分野から出て、物理学賞を真鍋淑郎先生が受賞して、非常に盛り上がりを見せましたね。そんなタイミングに合わせてか、日経新聞でもノーベル賞に縁のある方の10月度連載が始まりました。

著名人の半生を辿る日経新聞記事、「私の履歴書」。今月は2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローである吉野彰氏の連載となっています。

私の履歴書とは??

日経新聞裏面に月毎に連載される1300文字程度の記事です。著名人の半生を1ヶ月かけて紐解いていきます。著名人は企業人、芸能人、アスリート、研究者など非常にバリエーション豊かです。

出生から現在まで詳細に描くため、普段知れない意外な一面も見受けることができます。中には戦争や学生運動など壮絶な体験をした方もおり、近代史を知る上でも興味深い連載です。

研究者の連載は少ないですが、化学企業出身の方の連載は年1~2回あります。かつて根岸英一教授2012年10月(!)に連載しました本連載はwebでも見れますが有料になります。

吉野彰氏の「私の履歴書」

吉野彰氏は2019年に「リチウムイオン電池の発明」でノーベル化学賞を受賞しております。リチウムイオン電池はパワフルかつ小型の蓄電池であり、今日の生活を支えている発明です。スマホのバッテリーはリチウムイオン電池なので、この発明がなければスマホで手軽にケムステも見れなかったということですね。

本連載にはこの発明をするに至った経緯は勿論のこと、学生時代や就職先の決め方も書かれていました。もう半分程度連載は進み、いよいよリチウムイオン電池の研究に着手へ…という場面になっています。

全体的に興味深い内容ですが、特にポリアセチレンとの出会い、コバルト酸リチウムの論文を発見した場面がお勧めです。その時の衝撃が読んでいて伝わってきました。リチウムイオン電池の完成、グッドイナフ博士との交流など話のスケールが大きく、小説を読んでいるようです。一方で気分転換には同僚とカラオケなど、我々と変わらない一面もあり親近感が湧きます。詳細は是非連載記事をご覧ください。半生を書くというテーマの連載のため、現在の仕事も書かれていくと思います。

まとめ

人の半生を読むことは偉人の伝記以外にあまりないと思います。しかし研究者の半生を知ることは今後のキャリアプランの参考にもなります。日経新聞をとっていない方も図書館などでバックナンバーを見てみてはいかがでしょうか。

研究室の教授に半生を聞いてみるのも面白いですよ。

関連リンク

関連書籍

joe

投稿者の記事一覧

ごく普通の企業研究者です。育児奮闘中。カメも育ててます。

関連記事

  1. d8 Cu(III) の謎 –配位子場逆転–
  2. 種子島沖海底泥火山における表層堆積物中の希ガスを用いた流体の起源…
  3. 神秘的な海の魅力的アルカロイド
  4. 創薬開発で使用される偏った有機反応
  5. Slow down, baby, now you’r…
  6. 投票!2018年ノーベル化学賞は誰の手に!?
  7. 「自分の意見を言える人」がしている3つのこと
  8. 科学は夢!ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞2015

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 東レ先端材料シンポジウム2011に行ってきました
  2. 安定な環状ケトンのC–C結合を組み替える
  3. オーヴァーマン転位 Overman Rearrangement
  4. 研究者のためのCG作成術②(VESTA編)
  5. ウーロン茶の中でも医薬品の化学合成が可能に
  6. アルキンメタセシスで誕生!HPB to γ-グラフィン!
  7. 米ファイザー、今期業績予想を上方修正・1株利益1.68ドルに
  8. リッター反応 Ritter Reaction
  9. 糖鎖クラスター修飾で分子の生体内挙動を制御する
  10. ポール・ロゼムンド Paul W. K. Rothemund

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

\脱炭素・サーキュラーエコノミーの実現/  マイクロ波を用いたケミカルリサイクル・金属製錬プロセスのご紹介

※本セミナーは、技術者および事業担当者向けです。脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つと…

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP