[スポンサーリンク]

ケムステニュース

北大触媒化研、水素製造コスト2―3割安く

[スポンサーリンク]

PROX反応


 北海道大学触媒化学研究センターは、天然ガスから水素を取り出す時に発生する一酸化炭素を簡単に取り除く触媒を開発した。従来に比べ水素製造コストを2―3割下げられるという。化学会社と組み、年内にも触媒販売などを事業化する。自動車会社と連携し、水素ステーションの設備への導入も検討しており、燃料電池車の普及に寄与しそうだ(引用:日本経済新聞)。

 水素は天然ガスの改質により得ることが出来ますが、その際に二酸化炭素とともに約1%の一酸化炭素も発生します。一酸化炭素が入っていると燃料としての水素には不利なります。

 そのため、燃料電池用水素に含まれる微量の一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO2)として酸化除去する反応(これをPROX反応といいます。)を行って一酸化炭素を除去するわけですが、今回の北大触媒化研の福岡淳助教授らが開発した触媒は現在使われているものに比べCO転嫁率が高く効率的であるということです。

 それでは開発した触媒はどのような触媒なのでしょうか?

 福岡淳助教授らはメソポーラスシリカという2-10 ナノメートル(nm)直径の細孔が規則的に配列したものに、白金を埋め込んだ触媒を作りました。

 現在使われている白金触媒がCO転嫁率20%程度であるのに対し、この触媒はほぼ100%と抜群の転化率を誇るということです。

 通常のシリカ担持白金触媒は低活性であることから、メソポーラスシリカの規則的細孔構造が活性向上の原因と考えられ、現在それらの活性向上機構について解明を行っています。


  • 関連リンク

北海道大学触媒化学研究センター触媒設計化学分野

?

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ソウル大教授Nature Materials論文捏造か?
  2. 最も安価なエネルギー源は太陽光発電に
  3. 全薬工業とゼファーマ、外用抗真菌薬「ラノコナゾール」配合の水虫治…
  4. ミドリムシが燃料を作る!? 石油由来の軽油を100%代替可能な次…
  5. 理研、放射性同位体アスタチンの大量製造法を開発
  6. 信越化学1四半期決算…自動車や電気向け好調で増収増益…
  7. メディビック、抗がん剤「グルフォスファミド」の第II相試験を開始…
  8. 総合化学大手5社の前期、4社が経常減益

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ジオトロピー転位 dyotropic rearrangement
  2. 市販の化合物からナノグラフェンライブラリを構築 〜新反応によりナノグラフェンの多様性指向型合成が可能に〜
  3. 三核ホウ素触媒の創製からクリーンなアミド合成を実現
  4. LEGO ゲーム アプローチ
  5. カティヴァ 酢酸合成プロセス Cativa Process for Acetic Acid Synthesis
  6. 風力で作る燃料電池
  7. 出張増の強い味方!「エクスプレス予約」
  8. マッテソン増炭反応 Matteson Homologation
  9. Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations
  10. 発光材料を光で加工する~光と酸の二重刺激で材料加工~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年1月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP