Hartwigらは,基質分子内の水酸基を配向基として利用した,位置選択的な不活性第一級C–H結合の触媒的官能基化反応を報告しています。
まず,[Ir(cod)OMe]2触媒の存在下,アルコールまたはケトンをジエチルシランと反応させることにより,ヒドリドシリルエーテルが生成します。
次いで,触媒として[Ir(cod)OMe]2,配位子として3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン,水素受容体として2-ノルボルネンを加えて反応させることにより,Si–H結合とγ位の第一級C–H結合とで脱水素環化が進行し,オキサシロランを与えます。これを玉尾–フレミング酸化することによって,1,3-ジオールが得られます。本反応は種々のアルコールやケトンに適用可能なため,天然物合成への応用が期待されます。
E. M. Simmons, J. F. Hartwig, Nature 2012, 483, 70.


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