[スポンサーリンク]

一般的な話題

磁性流体アートの世界

[スポンサーリンク]

今回は化学、というよりは芸術寄りの話題をば。

磁性流体(Ferrofluid)とは、流体でありながら磁石に吸い寄せられる性質を持つ物質です。ものすごく大雑把にいうならばは、「鉄粉+界面活性剤+水(or 有機溶媒)」の混合物液体です。鉄粉がコロイド状に分散している液体なので、磁石に引き寄せられます。

この磁性流体を使って芸術活動をしている人がいます。電通大の児玉幸子准教授です。言葉を尽くすよりも、実際に作品を見ていただくのが一番でしょう。(冒頭画像:katchsupo.com

 動画「突き出す、流れる(Protrude, Flow)」は、Siggraph (米国で開催される世界最高峰のコンピュータグラフィックス分科会)で発表され、文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞するなど、大変高い評価を受けている作品でもあります。

 とても動きがユニークで見ていて飽きません。特に角のように液体が尖るさま(スパイク現象という)は、この材料を用いるがゆえの表現になっていると思います。磁性流体アートプロジェクトのページから他の作品も見ることが出来ます。

化学・デジタル・芸術の融合―というべき一品でしょうか?このように変わった材料を使ったインパクトある作品が他にも公開され、一般の方の目に触れるようになれば、化学に興味を持つ人も増える・・・かも知れないですね。

余談ですが、、磁性流体に似たような物質はお手軽に作れるようです。小学校の科学実験でやった「スライム」の応用ですね。(→磁性スライムの作り方)

 

関連リンク

Sachiko Kodama’s Homepage メディアアーティスト・児玉幸子のホームページ

児玉幸子 電気通信大学の紹介ページ

磁性流体 – Wikipedia

磁性流体 技術情報・NOK株式会社のページ

アートとしての「磁性流体」

児玉幸子の磁性流体アートプロジェクト

磁性流体アートプロジェクト

脈動する磁性流体アート 「日経サイエンス」の紹介記事

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第24回ACSグリーンケミストリー&エンジニアリング会…
  2. アメリカ化学留学 ”立志編 ーアメリカに行く前に用意…
  3. 高分子鎖を簡単に垂直に立てる -表面偏析と自己組織化による高分子…
  4. 2つのアシロイン縮合
  5. アルカロイドなど求核性化合物の結晶スポンジ法による解析を可能とす…
  6. 化学連合シンポ&化学コミュニケーション賞授賞式に行ってきました
  7. 「一置換カルベン種の単離」—カリフォルニア大学サンディエゴ校・G…
  8. 不正の告発??

注目情報

ピックアップ記事

  1. 硫黄の化学状態を高分解能で捉える計測技術を確立-リチウム硫黄電池の反応・劣化メカニズムの解明に期待-
  2. 化学に関する様々なサブスクリプション
  3. パール・クノール チオフェン合成 Paal-Knorr Thiophene Synthesis
  4. 電子ノートか紙のノートか
  5. リチャード・スモーリー Richard E. Smalley
  6. 偏光依存赤外分光でMOF薄膜の配向を明らかに! ~X線を使わない結晶配向解析
  7. 【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)
  8. ボリレン
  9. 研究室でDIY!~割れないマニホールドをつくろう~
  10. 学振申請書を磨き上げる11のポイント [文章編・前編]

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP