[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

化学研究ライフハック:情報収集の機会損失を減らす「Read It Later」

[スポンサーリンク]

化学の世界もすっかりIT化が進みましたが、iPhoneやXperiaなどに代表されるスマートフォンの普及が、最近の大きな潮流としてあげられると思います。これによって、いつでもどこでも最新情報と論文チェックが手元で出来るという、すばらしい時代が到来したのです。

しかしウェブサイトはともかく、論文はiPhone経由では読めません。購読している研究機関の回線経由でないと、ダウンロードできない仕組みになっているからです。
iPhoneでASAPのアブストをチェックしても、「あとで読もう」とひとまず放置せざるを得ないわけです。しかし時間が経つうち、いつの間にか見るべきものを忘れてしまった・・・などといったことも起こってしまい、効率が良くありません。

「あとで読みたい」論文やサイトを、ワンクリックでまとめておくことができれば、どんなに便利なことでしょう。

今回はそんなシステムのひとつ、Read It Laterをご紹介しましょう。
これはその名のとおり、ウェブサイトを簡単に「あとで読む」化しておける、備忘録のようなもの。特にスマートフォンユーザにとって、この上なく便利なものです。

導入方法

筆者が情報収集に使っている、Firefox+iPhone環境での導入方法を、簡単に説明します。
インターフェースは英語ですが、すべて直観的に扱えますのでそこまで問題ではありません。

公式サイトへ行って、無料アカウントを登録・取得します。次にFirefoxアドオンをインストールします。

アドオンを導入すると、ブラウザ画面に以下のような変化が見られます。

・ “>”型アイコンとして表示される「あとで読む」ブックマークが追加される
・ 右クリックメニューに「Read This Page Later」が追加される
・ アドレスバーに”>”型アイコンが追加される
read_it_later_2.jpg“>”型ブックマークの設定ボタン(歯車アイコン)を押して、先ほど取得したアカウントとパスワードを入力する

これ以降は、アドレスバーの”>”をクリックする、もしくは右クリックから”Read This Page Later”を選ぶだけで、ページの「あとで読む」化が行えます。

「あとで読む」化されたページのブックマークデータは、個人用ウェブスペースに保存されます。ネット回線さえあれば、どのPC・端末でも同じ情報が参照できます。上図のように、”>”型ブックマークから一覧として表示できます。ページはキャッシュとして保存され、オフラインでも読めるようになります。読み終わったら、赤色の読了チェックマークをクリックするだけで、未読リストから既読リストへと移せます。

つまりこれは、ワンクリックで操作できる、簡易ブックマークなイメージですね。Google Readerなら「スター」「お気に入り」マーク、ソーシャルブックマークでも同様なことができますが、少ないクリック数でかつ既読・未読が区別して管理できること、Twitterをはじめとする他のアプリからのデータも一元管理できること、オフラインでも読める状態に出来ることが、Read It Laterを使う最大の利点でしょうか。大量の情報を日常的に処理する必要があれば、ソーシャルブックマークよりは断然使い勝手が良いように感じられます。

Firefox以外のブラウザでも、ブックマークレットをメニューバーに登録しておくことで、「あとで読む」化を行うことが可能です。(参考: 「あとで読む」 Read It Later をSleipnir(IE)から使ってみた

iPhoneアプリも公開されていますので、是非とも導入しておきましょう。Free版とPro版がありますが、とりあえずはFree版で必要十分な印象です。

iPhoneにインストール後、こちらでもアカウント設定を行います。
その次に、必ず忘れずに行ってほしいのが、RSSリーダー・Twitterクライアントと、Read it laterの連携です。アプリによって細かい設定方法は違うので詳しく述べませんが、よくできたアプリであれば設定メニューからRead it laterのアカウントを設定するような項目が必ずあるはずです。チェックしてみてください。

筆者はGoogle Readerと同期可能なReederと、多機能なTweetmeを使っていますが、どちらもRead it laterと連携させて使うことが可能です。

自宅・iPhoneのRSS ReaderでASAPをチェック→論文は職場で「あとで読む」

研究目的で便利に使えるとすれば、やはり論文チェックでしょうか。

先に述べたとおり、自宅や外出時にGoogle ReaderでASAPチェックをしても、論文はダウンロード出来ません。そのためかつて筆者は、職場のPCへわざわざURLをメールしたりしてたのですが・・・一度目を通すだけで事足りる論文も少なくない現実ですし、メール送信も手順が面倒であまりいいことがありませんでした。

Read It Laterアドオンを導入すれば、Google Readerのタイトル横にも「あとで読む」”>”マークが表示されます。なんとこの”>”ボタンをワンクリックするだけで、簡単に「あとで読む」化ができてしまいます。これで「あとで読もう」と思った論文を忘れてしまうこともなくなります。
read_it_later_3.jpgまたiPhoneでGoogle ReaderやTwitterを見ている場合にも、アプリとRead it laterを連携させておけば、同じ要領で簡単に「あとで読む」化してしまえます。

そもそもiPhone自体の回線速度はそこまで速くないため、内蔵Safariでウェブサイトを見る時、ややストレスを感じるものです。それゆえ筆者は、iPhoneでチラ見して気になったサイト・RSSフィード・Twitter上のURLは、何も考えずRead It Laterに飛ばしてしまいます。「あとで読む」化したサイトは、高速回線・大画面の職場/自宅PCにて、時間のあるときにまとめて見るようにしています。

携帯端末で情報収集→PC上で「あとで読む」化を徹底するほうが、ずっとストレスフリーで効率的だと、筆者個人は思えます。そして記事・論文の内容が気に入ったら、Evernoteにクリップ。あまり価値がなかったと感じた場合は、読了チェックマークをつけておしまい。簡単です。

以上、筆者なりの使い方を書いてきました。

Read It Laterを使い始めてから、既読記事・ゴミ記事でブックマークが占有されることが減りました。
また別の用事に忙殺され、チェックすべき記事がどれだったか忘れてしまう、などといった悲劇的な出来事もかなり減りました。

総じて、情報収集における機会損失・見落としが減り、情報収集クオリティがとても高くなったと感じられます。何より「あとで読む」化はスキマ時間の有効活用にもつながるので、PCだけをお使いの方でも、導入しておく価値は十二分にあるものだと思えます。

研究・論文チェックに限らず、普段のネットサーフィンにも使えるので、めちゃくちゃ便利ですよ!ぜひお試しあれ。

 

関連動画


 

関連書籍

 

関連リンク

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. “Wakati Project” 低コス…
  2. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり④:「ブギーボ…
  3. 有機レドックスフロー電池 (ORFB)の新展開:オリゴマー活物質…
  4. 酵素合成と人工合成の両輪で実現するサフラマイシン類の効率的全合成…
  5. 構造式の効果
  6. 不安定な合成中間体がみえる?
  7. 神経細胞の伸長方向を光で操る
  8. シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 「非晶質ニッケルナノ粒子」のユニークな触媒特性
  2. トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン : Tris(pentafluorophenyl)borane
  3. ジョン・スティル John K. Stille
  4. エッセイ「産業ポリマーと藝術ポリマーのあいだ」について
  5. 米ファイザー、感染予防薬のバイキュロンを買収
  6. イオン液体ーChemical Times特集より
  7. 白リンを超分子ケージに閉じ込めて安定化!
  8. トム・マイモニ Thomas J. Maimone
  9. 美術品保存と高分子
  10. レア RARE 希少金属の知っておきたい16話

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

太陽ホールディングスってどんな会社?

私たち太陽ホールディングスグループは、パソコンやスマートフォンなどのIT機器やデジタル家電、車載用電…

厚労省が実施した抗体検査の性能評価に相次ぐ指摘

厚生労働省は、2020年5月15日、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班が日本赤十字社の協力を得…

橘 熊野 Yuya Tachibana

橘 熊野(たちばな ゆや、1975年–)は、日本の化学者である。専門は環境材料、高分子化学、有機化学…

「生物素材で新規構造材料を作り出す」沼田 圭司 教授

第39回となる研究者へのインタビュー。今回インタビューをお願いしたのは、沼田圭司先生。生体高…

トンネル効果が支配する有機化学反応

ケムステ海外研究記の第35回目は、Justus Liebig University Giessen(…

沼田 圭司 Keiji Numata

沼田 圭司 (ぬまた けいじ、1980年-)は、日本の化学者である。専門は高分子の生合成と分解。20…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP