[スポンサーリンク]

一般的な話題

祝5周年!-Nature Chemistryの5年間-

[スポンサーリンク]

早いものでNature Chemistry誌が創刊されて5年が経ちました。あのNatureの化学を専門に扱う姉妹誌として満を持して登場したNature Chemistry誌ですが、この5年は実際のところどうだったのでしょうか?

Editorialとしてデータをまとめた記事が掲載されておりましたので紹介したいと思います。

Take five

Nature Chem. 6, 255-257 (2014). Doi: 10.1038/nchem.1911

学術雑誌は数あれど、化学分野をリードするのはやはりAngew. Chem. Int. Ed.誌とJ. Am. Chem. Soc.誌ですよね。一流の研究者がこぞって論文を投稿しており、ACIE誌だと論文の採択率は21%程度と狭き門です。恐らくJACS誌も同じくらいだと思います。ではNature Chem.誌の採択率はどれくらいなのでしょうか?

5years_2.jpg投稿論文数の地理的分布 画像は文献より引用

5年間で掲載された論文は574本ですが投稿された原稿数は7290です。このうち1307が審査に回っており、5495がeditorによってrejectされています。数が合わないのはそもそも審査に値しないマズイ原稿があるからです。よってざっと9%の採択率ということになります。その内約40%が米国で採択率は断トツです。続いてオランダ、英国、スイスは約25%と高くなっています。

5years_3.jpg査読者になった人の数 10回もやった人がいるんですね 図は文献より引用

論文ではpeer reviewとよばれる審査が不可欠ですが、5年間で審査員となったのは2500人以上でのべ4072人です。一つの論文には平均して3.1人の審査員が関わった計算です。

採択された論文には3300以上の著者がおり、最も多く論文が掲載された研究者は7回(論文3報、総説4編)掲載されています。最も著者数が多かった論文は28人の共著者で構成されていました。採択された論文は平均すると6人の共著でした。

5years_4.jpg

被引用数の比較 図は文献より引用

そして気になるのはやはりImpact Factorでしょうか。しかし本論説ではあえてIFについては語られていません。被引用数のデータは示されており、最多被引用は127回の論文、平均すると1論文当たり23の引用、中央値は18となっています。この数字はACIE誌、JACS誌と遜色ないものとなっています。

Nature Chem.誌ではいち早くAltmetric Scoreを採用しています。最も高いスコアの論文は一年前のヒトDNAのG-quadruplexesの可視化に関する論文でした。生物に関連した研究はやはりインパクトが強いようですね。ただしこのAltmetric Scoreは少々問題があり、疑惑の論文や取り下げになった論文ではスコアが高くなる傾向があります。今をときめくSTAP細胞論文のAltmetric Scoreは現在3000オーバーという高い値です。

ちなみに論説に登場しないNature Chem.誌のIF (2013年発表)は21.757です。ACIEは13.734、JACSは10.677ですから、被引用数は稼いでいることがわかります。

いずれにしても図からも明らかなように中国の台頭は目覚ましいものがあります。中国発、日本発の論文の採択率に関するデータはありませんでしたが、投稿数では後塵を拝しています。負けてはいられませんね。

今後の5年間でどのように推移して行くのか楽しみです。

追記(2015年7月, webmaster)

2015年6月発表のImpact Factor 2014によるとNature ChemistryのIFは25.325。化学の中では圧倒的なインパクトファクターを誇っています。17.927 (2010), 20.524 (2011), 21.767 (2012), 23.297 (2013)、そして25.325 (2014)ですから、着実に値を伸ばしていることがわかります。

関連書籍

[amazonjs asin=”4521737013″ locale=”JP” title=”査読者が教える 採用される医学論文の書き方”] [amazonjs asin=”4121504801″ locale=”JP” title=”ヒラノ教授の論文必勝法 教科書が教えてくれない裏事情 (中公新書ラクレ)”][amazonjs asin=”4621082248″ locale=”JP” title=”世界に通じる科学英語論文の書き方 執筆・投稿・査読・発表”]
Avatar photo

ペリプラノン

投稿者の記事一覧

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. 工学的応用における小分子キラリティーの付加価値: Nature …
  2. 「MI×データ科学」コース 〜LLM・自動実験・計算・画像とベイ…
  3. 「炭素ナノリング」の大量合成と有機デバイス素子の作製に成功!
  4. ホウ素と窒素固定のおはなし
  5. 3Mとはどんな会社?
  6. 官能基化オレフィンのクロスカップリング
  7. 有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチ…
  8. ノーベル化学賞を担った若き開拓者達

注目情報

ピックアップ記事

  1. ヒンスバーグ チオフェン合成 Hinsberg Thiophene Synthesis
  2. ラマン分光の基礎知識
  3. Rice cooker
  4. 鉄触媒を用いたテトラゾロピリジンのC(sp3)–Hアミノ化反応
  5. 血液型をChemistryしてみよう!
  6. エノールエーテルからα-三級ジアルキルエーテルをつくる
  7. ピーター・ジーバーガー Peter H. Seeberger
  8. 第99回日本化学会年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I
  9. 触媒的C-H酸化反応 Catalytic C-H Oxidation
  10. 完熟バナナはブラックライトで青く光る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

キョウチクトウ科植物に含有される多量体型アルカロイドの完全化学合成に成功―ビスロイコノチンAおよびボウシゴニンBの世界初の全合成―

第714回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(天然物創薬化学研究室)博士課程後期3…

科学捜査! ― 見えない指紋を化学の力で光らせよ ―

近年、分子構造に起因した発光メカニズムの解明が進み、単一分子で複数の機能を有する分子の研究が活発化し…

光で結晶の傷が癒える!?光応答性分子を用いた自己修復への挑戦

第713回のスポットライトリサーチは、立教大学理学部(森本研究室)に所属されていた西村涼 助教にお願…

ウェビナー「化学的リン酸化試薬(モノリン酸化アミダイト)の開発とRNA合成への応用」アーカイブ配信中! 【富士フイルム和光純薬】

高純度RNA合成には、効率的な精製法の確立が不可欠です。そこで、名古屋大学大学院 理学研究科の阿部 …

有機合成化学協会誌2026年6月号:抗体・薬物複合体・機能性有機蛍光色素・速度論的反応機構解析・触媒的脱水型ベンジル化・植物由来モノマー

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年6月号がオンラインで公開されています(記事公…

50代で初めての転職。面接対策から退職交渉までフォローし、マッチングを成功させた「伴走」の重要性

40~50代からの転職に、不安を抱く人は少なくありません。年齢的なハードル、これまで築いてきたキャリ…

PFAS代替素材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、202…

【28卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体…

分子間相互作用で「π–π スタッキング」を考える【芳香環の相互作用を見直す: 後編】

芳香環が平行に近接するときの分子間相互作用は、静電相互作用、分散力、脱溶媒和、誘起作用、交換反発とい…

MI Conf 2026 Materials Informatics Conference

MI Confとは4年目となる、MI実践知が集まる場。マテリアルズ・インフォマテ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP