[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

根岸 英一 Eiichi Negishi

[スポンサーリンク]

根岸英一 (ねぎし えいいち、1935年7月14日-2021年6月6日)は、アメリカ在住の有機化学者である(写真:成功大学)。米パデュー大学Herbert C. Brown特別教授。2010年に「パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応」の開発によりノーベル化学賞を受賞。

経歴

1958 東京大学 卒業
1958-1960 帝人
1960-1963 ペンシルバニア大学 博士号取得 (A. R. Day教授)
1963-1966 帝人
1966-1968 パデュー大学 博士研究員 (Herbert C. Brown教授)
1968 パデュー大学 助教授
1972 シラキュース大学 助教授
1979 シラキュース大学 教授
1979 パデュー大学 教授
1999 パデュー大学Herbert C. Brown特別教授

 

受賞歴

1960-1961 Fulbright-Smith-Mund Fellowship
1962-1963 Harrison Fellowship at University of Pennsylvania
1996 A. R. Day Award
1997 日本化学会賞
1998 Herbert N. McCoy Award
1998 ACS Award for Organometallic Chemistry
1998-2000 Alexander von Humboldt Senior Researcher Award
2000 Sir Edward Frankland Prize Lectureship
2003 Sigma Xi Award
2007 山田・古賀プライズ
2007 Gold Medal of Charles University
2010 ACS Award for  Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
2010 ノーベル化学賞
2010 文化勲章・文化功労者

 

研究概要

有機亜鉛・有機アルミニウム・有機ジルコニウム化合物を用いるクロスカップリング反応の開発

いずれも根岸クロスカップリングと呼ばれる人名反応として認知されており、現在でも世界中の合成化学者に広く使われる反応となっている。クロスカップリングにかかわる開拓的業績が評価され、根岸教授は2010年のノーベル化学賞を受賞した。

Negish3.gif根岸クロスカップリング  

低原子価有機ジルコニウム試薬を用いる合成法の開発
negishi_reagent_1.gif
ブチルリチウムと塩化ジルコノセンを反応させて得られる二価ジルコニウム試薬は、根岸試薬と呼ばれ、種々の不飽和結合間で炭素-炭素結合を形成させるための良い試薬となる。

ジルコニウム触媒を用いるカルボアルミニウム化(ZACA)反応の開発とその不斉化

 

名言集

  • 「厳しさというのは、何かを成し遂げるときに必要なものです。成し遂げたことで喜びが返ってくればいい。私はその繰り返しです」
  • 「若者には海外に出て行ってほしい。外から日本を見て、私にとっての化学のように、のめりこめるものを見つけてほしい」
  • 「将来の研究を引っ張るような若い人たちに、ある程度、手当てをすることが必要かなと(思う)」
  • 受賞確率は「1000万分の1」であるが「努力で高められるので宝くじと違う」
  • 「底上げよりもトップクラスを引き上げる、出るくいを伸ばしていく方が全体を引っ張る力になる」(日本の教育について)
  • 「一つの目的を考え、時に挫折してもへこたれないこと。プラス思考で最後まで頑張る。あきらめないことが重要」
  • 「孫にはよく”秀でなさい”と言っている。ただし、独りよがりではだめ。今、若い人たちが外国に出るとポジションが無くなると言うが、とことん秀でればいろんなものがついてくる。そのくらいの気持ちを持ってもらいたい。社会は優秀な人を常に望んでいる。私は家内に”おれを取らなければその大学が損をするだけだ”と常に言っていた」
  • 「自分のやりたいことができなければいけない。『できる』というのは資質が半分、とことんのめり込んで努力することが半分だ」

 

コメント&その他

  1. パラジウム触媒化学の発展に重要な貢献を果たした科学者の一人である。
  2. 生まれは旧満州国・新京(現:吉林省長春市)である。
  3.  2010年は根岸夫妻の金婚式の年である。
  4. ノーベル化学賞発表時に電話があり、その際、電話の周りで10回歩き回り、電話をとるのを躊躇(ちゅうちょ)した。
  5. 「仕事と遊びの切り替えがうまいスマートな研究者」(元帝人同僚談)
  6. カラオケのレパートリーは1000曲はあるらしい。
  7. 400以上の論文を執筆している。
  8. 在米歴は50年以上。家族は妻すみれ氏、2女と4孫。
  9. 2018年3月12日にイリノイ州で行方不明となっていたが、2日後の14日、地元警察や地元テレビ局の情報で根岸夫妻の乗る乗用車が溝にはまる交通事故を起こしていたことが明らかになった。夫妻は病院に搬送されたが、この事故で妻が死去した

関連動画

関連文献

[1] Negishi, E.; Wang, G.; Rao, H.;  Z. Xu. J. Org. Chem. 2010, 75, 3151. DOI: 10.1021/jo1003218

関連書籍

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 宮浦憲夫 Norio Miyaura
  2. ブライアン・コビルカ Brian K. Kobilka
  3. ジョージ・クラフォード M. George Craford
  4. 荘司 長三 Osami Shoji
  5. ティム・ジャミソン Timothy F. Jamison
  6. ウェルチ化学賞・受賞者一覧
  7. ジャネット・M・ガルシア Jeannette M. Garcia…
  8. ジョージ・オラー George Andrew Olah

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本国際賞―受賞化学者一覧
  2. 【十全化学】新卒採用情報
  3. “つける“と“はがす“の新技術―分子接合と表面制御
  4. 生涯最高の失敗
  5. 【読者特典】第92回日本化学会付設展示会を楽しもう!PartII
  6. 誤った科学論文は悪か?
  7. トーマス・トーレス Tomas Torres
  8. ケムステ国際版・中国語版始動!
  9. ノーベル化学賞を担った若き開拓者達
  10. 「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい成分」を使ったお菓子を…

2つの結合回転を熱と光によって操る、ベンズアミド構造の新たな性質を発見

 第 608回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院 生命科学院 生命科学専攻 生命医…

スポットライトリサーチ まとめ【初回〜第200回まで】

ケムステの人気企画スポットライトリサーチ、2015 年に始まって以来、2024 年現…

【産総研・触媒化学融合研究センター】新卒・既卒採用情報

触媒センターでは、「個の力」でもある触媒化学を基盤としつつも、異分野に積極的に関…

Zachary Hudson教授の講演を聴講してみた

bergです。この度は2024年3月11日に東京大学本郷キャンパスにて開催されたBritish Co…

ケムステイブニングミキサー 2024 報告

3月18日から21日の日本化学会第104春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!めちゃ…

日本農芸化学会創立100周年記念展に行ってみた

農芸化学という学問分野はご存知でしょうか?農業と化学は分かるけど、芸って何だよって一瞬思いますよ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP