[スポンサーリンク]

A

秋山・寺田触媒 Akiyama-Terada Catalyst

[スポンサーリンク]

 

概要

置換BINOL部位を持つリン酸化合物は、キラルブレンステッド酸有機分子触媒として働き、数々の化学反応を触媒する。

秋山隆彦(学習院大)・寺田眞浩(東北大)の両化学者によって独立に開発された(2004年)ため、秋山・寺田触媒と呼称される。

近年ではリン酸部位をイミドなどに変化させたものや、この共役塩基をキラルカウンターアニオンとして活用するなどの研究例も増大している。

 

基本文献

  • Akiyama, T.; Itoh, J.; Yokota, K.; Fuchibe, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1566. DOI: 10.1002/anie.200353240
  • Uraguchi, D.; Terada, M. J. Am. Chem. Soc.2004, 126, 5365. DOI: 10.1021/ja0491533

<review>

<review for chiral counteranion catalysis>

 

反応機構

 

反応例

イミンを求電子剤とする反応例が多いが、他の反応形式へも適用可能である。以下は不斉Nazarov環化へと応用した例[1]。

terada_akiyama_3.gif

 

πアリルパラジウム種経由の触媒的不斉転位[2] terada_akiyama_2.gif

 

金触媒のキラルカウンターアニオンとしてキラルリン酸アニオンを用いた例[3]。配位子による不斉空間がうまく働かない場合に効果を発揮する考え方の一つ。 terada_akiyama_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] Rueping, M.; Ieawsuwan, W.; Antonchick, A. P.; Nachtsheim, B. J. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46,
2097. DOI: 10.1002/anie.200604809

[2] Mukherjee, S.; List, B. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 11336. DOI: 10.1021/ja074678r

[3] Hamilton, G. L.; Kang, E. J.; Mba, M.; Toste, F. D. Science 2007, 317, 496. DOI:10.1126/science.1145229

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4431542302″ locale=”JP” title=”Development of Novel Hydrogen-Bond Donor Catalysts (Springer Theses)”][amazonjs asin=”3527332367″ locale=”JP” title=”Comprehensive Enantioselective Organocatalysis: Catalysts, Reactions, and Applications, 3 Volume Set”][amazonjs asin=”B00A9YGVLO” locale=”JP” title=”Asymmetric Organocatalysis in Natural Product Syntheses: 96 (Progress in the Chemistry of Organic Natural Products)”][amazonjs asin=”4759807519″ locale=”JP” title=”進化を続ける有機触媒―有機合成を革新する第三の触媒 (化学フロンティア)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent
  2. カテラニ反応 Catellani Reaction
  3. 原子移動ラジカル重合 Atom Transfer Radical…
  4. ガッターマン・コッホ反応 Gattermann-Koch Rea…
  5. p-メトキシベンジル保護基 p-Methoxybenzyl (P…
  6. ベンジルオキシカルボニル保護基 Cbz(Z) Protectin…
  7. O-アシルイソペプチド法 O-acylisopeptide Me…
  8. ゴールドバーグ アミノ化反応 Goldberg Aminatio…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 女子の強い味方、美味しいチョコレート作りを助ける化合物が見出される
  2. 2020年ケムステ人気記事ランキング
  3. 元素周期 萌えて覚える化学の基本
  4. 高純度化学研究所が実物周期標本を発売開始
  5. 化学企業が相次いで学会や顧客から表彰される
  6. 海外留学ってどうなんだろう? ~きっかけ編~
  7. くすりに携わるなら知っておきたい! 医薬品の化学
  8. ジョンソン・クライゼン転位 Johnson-Claisen Rearrangement
  9. ペンタシクロアナモキシ酸 pentacycloanamoxic acid
  10. 【医薬分野のみなさま向けウェブセミナー】マイクロ波を用いた革新的製造プロセスとヘルスケア領域への事業展開

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

第54回ケムステVシンポ「構造から機能へ:ケイ素系元素ブロック材料研究の最前線」を開催します!

今年も暑くなってきましたね! さて、本記事は、第54回ケムステVシンポジウムの開催告知です! 暑さに…

有機合成化学協会誌2025年7月号:窒素ドープカーボン担持金属触媒・キュバン/クネアン・電解合成・オクタフルオロシクロペンテン・Mytilipin C

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年7月号がオンラインで公開されています。…

ルイス酸性を持つアニオン!?遷移金属触媒の新たなカウンターアニオン”BBcat”

第667回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科 野崎研究室 の萬代遼さんにお願いし…

解毒薬のはなし その1 イントロダクション

Tshozoです。最近、配偶者に対し市販されている自動車用化学品を長期に飲ませて半死半生の目に合…

ビル・モランディ Bill Morandi

ビル・モランディ (Bill Morandi、1983年XX月XX日–)はスイスの有機化学者である。…

《マイナビ主催》第2弾!研究者向け研究シーズの事業化を学べるプログラムの応募を受付中 ★交通費・宿泊費補助あり

2025年10月にマイナビ主催で、研究シーズの事業化を学べるプログラムを開催いたします!将来…

化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替素材の市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、化粧品…

分子の形がもたらす”柔軟性”を利用した分子配列制御

第666回のスポットライトリサーチは、東北大学多元物質科学研究所(芥川研究室)笠原遥太郎 助教にお願…

柔粘性結晶相の特異な分子運動が、多段階の電気応答を実現する!

第665回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院工学研究科(芥川研究室)修士2年の小野寺 希望 …

マーク・レビン Mark D. Levin

マーク D. レビン (Mark D. Levin、–年10月14日)は米国の有機化学者である。米国…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP