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化学者のつぶやき

ホットキーでクールにChemDrawを使いこなそう!

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化合物、特に有機化合物の構造式をPCにて描く際に最も広く使われているのは言わずとしれたChemDrawでしょう。そろそろ卒論を書く季節が近づいてきましたのでこのChemDrawというアプリと悪戦苦闘する四年生が風物詩の季節です。

ケムステTwitterやFacebookのページでも既にご紹介しましたが、ChemDrawの隠れた(?)機能を駆使すると、あのviagraでさえものの20秒で描けてしまいます。これって上級ユーザーでもなかなか難しいですよね。

今回のポストはそんなChemDrawの便利機能のうちホットキーに焦点を当ててみたいと思います。

まずはChemDrawの基本操作をこちらとこちらのページでマスターしましょう。構造式を描く際に時間がかかるのはまず骨格を描くところですよね。不斉炭素や環構造など一々ツールバーから選択すると手前がかかります。そんな時こそホットキーを活用しましょう。

試しに六員環ツールを選択してシクロヘキサンを描いた後そのままどこかの炭素にカーソルを置き(マウスオーバー)、キーボードのnをタイプしてみましょう。するとシクロヘキサンがピペリジンに早変わりします。そうですこれがホットキーの機能です。試しにその他の適当なアルファベットや数字をタイプしてみると様々な原子や原子団が割り当てられている事がわかります。小文字、大文字でも違いますので試してみましょう。

次に結合にカーソルを合わせて同様にホットキーを試してみましょう。例えば2をタイプすると結合が二重結合になったり、dをタイプすると結合が下向きの結合を表すハッシュになったりします。もう一回dをタイプするとその結合の向きを変えたりもできます。

この機能を使えばとりあえず骨格は全て単結合で組み上げておいて、後で二重結合にしたり、上向き、下向きに変更したりできます。だいぶ早く描画できるようになりましたね。

さて、そこで下の動画で紹介されている機能が私のPCではできないことに気づきました。結合にカーソルを合わせて数字の6をタイプすればその結合に六員環を描くホットキーが割り当てられているはずでデカリン環などが素早く描けるはずなのですが、残念ながらMac版ではその機能がありません。

その昔ChemDrawといえばMacだったのに最近ではChem3Dもなくなるなど何かと冷遇されているMacですが、こちらで紹介したようにそんなことにめげないのがMacユーザーです。という訳で、ここでホットキーをカスタマイズする方法をご紹介しましょう。もちろんWindowsでも同様な操作でできます。

そもそもこのホットキーはアプリに直接組み込まれておらず、別ファイルにその記載があって起動の際に読み込んでいるようです。そこでまずはそのファイルを探しましょう。アプリケーションフォルダのCS ChemDrawフォルダ内のChemDraw Itemsフォルダを開くとhotkeys.xmlというファイルがあるはずです。このxml形式のファイルにホットキーの割り当てが記述されています。このファイルを編集する前にオプションキーを押しながら適当な場所にファイルをドラッグして念のためコピーを保存しておきましょう。

chemdraw_1.png

赤線で示したファイルを探しましょう

コピーができたらxmlに対応した適当なエディタでファイルを開きましょう。プリインストールされているテキストエディットで十分です。

ファイル内のObject typeの欄をみるとホットキーは三つのカテゴリーに別れていることがわかります。まずAtom、次にBond、そしてGenericです。その名の通りAtomは結合の先っぽにマウスオーバーした時に機能するホットキー、Bondは結合にマウスオーバーした時に機能するホットキー、Genericはそれらにカーソルを合わせていない時に機能するホットキーです。これをみれば現在どのようなホットキーが使用可能かわかります。

では早速六員環を描くホットキーを新たに割り当ててみましょう。Bondのリストには数字の1から4までが既に割り当てられてられていますので4のホットキーに関する記述をコピーして、その行の最後にカーソルを移動してからエンターキーを押し、その下に新しい行を挿入しましょう。

次に空欄の行に先ほどコピーした行をペーストします。tabキーを三回押せばカーソルの場所を合わせられますね。次に、二箇所ある数学の4を6に変更し、”BONDORDER“の部分を”FUSERING“に、”Set Bond to Quadriple”を”Fuse 6 membered ring”変更します。これで割り当て終了です。簡単でしょう?

chemdraw_2.png

青で強調してある行が新たに挿入した行です

編集が終了したらxmlファイルを保存してChemDrawを新たに立ち上げて、ホットキーが働くことを確認してみましょう。

すると私の場合ここでホットキーが更新されませんでした。その原因はChemDrawのPreferenceにありました。Preferences>Directoriesにて参照するフォルダの優先順位が決められますが、私の場合は異なるフォルダを優先して読み込む設定になっていたので、望みのフォルダを上位に移動して適用することで新たに設定したホットキーが無事に使用できるようになりました。

当然その他の員数の環を割り当てることもできますし、例えばAなんてatom labelあまり使わないなあと思ったらそこをOAcに変えてしまえばいいです。未使用のアルファベットにOTBSやOBnなどの頻繁に使用する保護基付きの酸素官能基を割り当てるなどお好みにカスタマイズすることができますので自分好みの機能をどんどん組み込みましょう!アルファベットの大文字、小文字が区別されることをお忘れ無く。

でも学生さんは研究室にあるPCを借りて構造式を描くことも多いので研究室のPCを勝手にカスタマイズできないよと思うかもしれません。でもご安心あれ。先ほどのPeeferenceの設定をうまくつかうことで複数ユーザーによるホットキー設定の使い分けが容易にできます。オリジナルhotkeys.xmlファイルを用意したら、どこか適当なディレクトリ(USBメモリでもいいでしょう)に自分用のフォルダを作っておき、そこにxmlファイルを保存しておきましょう。そしてChemDrawを立ち上げた後Preferences>Directoriesで自分のフォルダの優先順位を上げてアプリを再起動すればいいのです。使用後は設定を元どおりにしておくことを忘れずに。

さあホットキーを使いこなして卒論、修論作成を加速させましょう!

参考までにMac版のデフォルトで割り当てられているホットキーを下にあげときますね。

Table 1. Atomに割り当られたホットキー(その1)

chemdraw_table1.png

Table 2. Atomに割り当てられたホットキー(その2)

chemdraw_table2.pngTable 3. Bondに割り当てられたホットキー

chemdraw_tabel3.pngTable 4. Genericに割り当てられたホットキー

chemdraw_table4.png

 

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有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

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