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プレプリントサーバー:ジャーナルごとの対応差にご注意を【更新版】

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先日のケムステニュースで、化学系プレプリントサーバーChemRxiv(ケムアーカイブ)が投稿を受け付け始めたことをお伝えしました。

新しもの好きの筆者としては、とにかく試してみたい衝動に駆られています(笑)。とはいえ成果発表には何一つ手が抜けないので、特徴を理解して進めないと、思わぬ落とし穴にハマりかねないのも事実。

今回はその一つ、ジャーナル毎にプレプリントの取扱いが違うノダ!をご紹介したいと思います。

※本記事公開から日数が経ち、プレプリントに寛容なジャーナルも増えてきたことを受け、投稿規定情報をアップデートしました。最終更新日:2018年10月21日

プレプリント投稿の益を最大化したいなら、各ジャーナルの投稿規定は読み込んでおくべきです。なぜならプレプリントを「既出扱い」と見なすジャーナルがあるからです。化学分野におけるフラグシップジャーナルは、それぞれどのようなスタンスなのでしょうか?投稿規定から抜粋して見ましょう。

Nature (2018/10/21版)

The Nature journals support the posting of submitted manuscripts on community preprint servers such as arxiv and biorxiv. We do, however, ask you to respect the following summaries of our policies:
– The original submitted version may be posted at any time.
– The accepted version may be posted 6 months after publication.
– The published version—copyedited and in Nature journal format—may not be posted on a preprint server or other website.

Nature誌への投稿は、プレプリント投稿後でも問題ありません。しかしながら、アクセプト版は出版後6ヶ月はアップロードを待ってくれなど、いくつかAuthor側で留意しておくべき点はあるようです。

Nature Chemistry(2018/10/21版)

In particular, when you submit a manuscript to Nature Chemistry its content must not significantly overlap with any other papers from you or your co-authors’ groups that are under consideration or in press at other journals, with the exception of conference abstracts. We do, however, support the posting of preprints.

Nature Chemistry誌への投稿も、プレプリント投稿後で全く問題ありません。他の化学関連Nature姉妹誌(Nat. Chem. Biol.; Nat. Commun.; Nat. Mater.; Nat. Energy; Nat. Catal.; Nat. Nanotech.; Commun. Chem.)も、全て同じスタンスでした。

Science (2018/10/21版)

We do support posting of research papers on not-for-profit preprint servers such as arXiv.org and bioRxiv.org. While a manuscript is under consideration at a Science Journal no versions revised in response to editorial input and peer review should be posted on a preprint server. Manuscripts posted at a preprint server should not be discussed with the media prior to publication. Please contact the editors with questions regarding allowable postings to other servers.

Science誌への投稿も、プレプリント投稿後でOKです。ただ、査読中のものを改定してアップし直したり、メディア上で議論したり等は推奨されないなど、いくつか踏まえておくべき点はあります。姉妹紙(Science Advancesなど)にも同様のスタンスが適用されます。

RSC系列ジャーナル(2018/10/21版)

Previous publication of an abstract or preprint of the proceedings of meetings does not preclude subsequent submission for publication, but full disclosure should be made at the time of submission…

Chem. Sci., Chem. Commun. などを扱っています。こちらは事前公開そのものに寛容なスタンスです。ただ、投稿時には全て知らせて欲しいとのことです。

J. Am. Chem. Soc.(2018/10/21版)

Journal of the American Chemical Society authors may deposit an initial draft of their manuscript in a preprint service such as ChemRxiv, bioRxiv, arXiv, or the applicable repository for their discipline before the manuscript is accepted for publication in the Journal of the American Chemical Society. Authors may revise the preprint version of their manuscript up until a final acceptance decision has been issued.

Please note any use of a preprint server in the cover letter and include a link to the preprint, and as appropriate, state how the manuscript has been adjusted/updated between deposition and submission. All other prior/redundant publication is forbidden.

以前はプレプリントサーバに投稿したものは何であれ受付けないとするスタンスでしたが、ChemRXivの投稿数増を受けてでしょうか、投稿規定を完全にプレプリントOKに変更しています。プレプリント投稿した事実はCover Letterに明示の必要ありということです。

Angew. Chem. Int. Ed.(2018/5/6版)

from March 2018, Angewandte Chemie together with its owners the German Chemical Society (GDCh) support posting of Communications on community preprint servers such as ChemRxiv, bioRxiv, arXiv. Please disclose details including the DOI of the preprint upon submission. However, we request that the material is not communicated with the media prior to publication of the paper in Angewandte Chemie.

2018年3月よりプレプリントの受け入れを決定しました。

Chem(2018/10/21版)

We will consider papers previously posted on preprint servers such as arXiv, bioRxiv, BioRN, ChemRxiv, or ChemRN…This policy only applies to the original submitted version of the paper; we do not support posting of revisions that respond to editorial input and peer review or posting of the final published version to preprint servers.

プレプリント投稿した原稿は受け付けてくれるようですが、最初のバージョンのみという指定あり。編集部の指摘やリバイズが入ったもの、プレプリント最終版はダメだそうです。

他のACS系列ジャーナル:ACS Catalysisの例 (2018/10/21版)

Posting of the original submitted manuscript to a pre-print server is acceptable. Please note the use of a pre-print server explicitly in the cover letter, and as appropriate, state how the manuscript has been adjusted/updated between the pre-print version and the version submitted to ACS Catalysis. Authors may not revise these preprints.

プレプリント投稿OKですが、Cover Letterなどでバージョン状況も含めてEditorに知らせてねというパタンです。プレプリントはリバイズしてはいけません、という指定もあります。これ以外にも、多くの下部ジャーナルで同様のポリシーが採用されています。その他Supporting Infoとしてプレプリント情報を提供するようにとのジャーナル(Inorg. Chem.など)、そもそも取り扱いが明記されていないジャーナルなどもいくつかあります。

このように、出版社単位ではなく、ジャーナル単位でプレプリントの取扱いが異なっていることがわかります。

プレプリント投稿時のあるある?

世間の流れとして、プレプリントにはかなり寛容になりつつあるようです。しかしながらジャーナルによってプレプリント投稿が許可されていない場合、たとえば以下のケースなんかが「あるある」として想定できるのではないでしょうか。

ジャーナルAに出すと決めた!

早く成果共有したいからプレプリント投稿

ジャーナルAに投稿した・・・が不幸にもリジェクト

じゃあ次はジャーナルBに投稿・・・できないじゃん!!
(ジャーナルBがプレプリント不可の場合)

プレプリントのリバイズを許可してくれないジャーナルや、Cover Letterで必ず知らせる必要あり、というケースも存在します。投稿可能性のあるジャーナルの規定は全てよく読んでおきましょう。

考え無しにプレプリント投稿してしまうと痛い目を見かねない事例も想定して、上手く使って行きたいですね!

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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