[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

複雑な試薬のChemDrawテンプレートを作ってみた

[スポンサーリンク]

 

皆さんのラボでは、試薬の分子量はどう計算してますか?・・・CAS番号でネット検索するか、ChemDrawで構造式を描いて出しますよね?

触媒開発研究なんかをやってますと、似てはいるものの、ちょっとだけ違う金属錯体や光触媒を描く機会に頻繁に直面します。そういうのに限って構造がやたら込み入ってたりもするので、毎回構造書くのダルい・・・と思ってました。描くたび間違いも起きたりします。

そこで一念発起して、よく使いそうな合成系試薬類をChemDrawの構造テンプレートにまとめてみました。

使い方

今回自作したのは下記のとおり。

  • Boronic Acids:ボロン酸エステル類の基本骨格各種。
  • Buchwald Ligands:クロスカップリングの時に「この構造、何フォスだったっけ?」とこんがらがることが多かったので。
  • Chiral Ligand (N):よく使われる窒素不斉配位子。
  • Chiral Ligand (P):よく使われるリン不斉配位子。
  • Metal Catalysts:合成的に有用な金属触媒。触媒サイクルテンプレート付。
  • Organocatalysts:合成的に有用な有機触媒。
  • Photoredox Catalysts:よく使われる可視光レドックス触媒。

必要な方は、ZIPファイルとしてまとめてあるので、下記リンクからダウンロード下さい。

Templates.zip

設定法は下記の通りです。

まず取得したテンプレートファイル(*.ctp)をChemDrawで開きます。その後、メニューからFile→Save As…を選びます。[Go To ChemDraw Items]ボタンを押してChemDraw Itemsフォルダに移動し、好きな名前のctp形式にて保存します。

すると、テンプレートアイコンで選べるテンプレートが追加されます。

構造式テンプレートの作り方

自作法も案外知られてなさそうなので、載せておきます。

  1. メニューからFile→Open Templates経由、またはテンプレートアイコンからNew Templatesを選びます。すると、テンプレート作成画面に移動します。
  2. 好きな構造を描いておきます。線の長さなどは気にしなくていいですが、フォントタイプは反映されるので、普段使いのフォーマットに併せておきましょう。
  3. 複数成分や示性式だけの場合は、地のテキストと区別されないことがあります。化学成分の場合は”Formula”アイコンで指定しておきましょう。
  4. 上と同様にSave As…で適当な名前をつけて「ChemDraw Items」フォルダに保存します。

テンプレートに含められるコンテンツは、実は構造式に限りません。好きな画像を自分で書き添えておくこともできますし、写真を貼り込むことも可能です(※著作権にはご注意!)。どうぞ便利に使ってみてください!

関連リンク

関連書籍

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 未来の車は燃料電池車でも電気自動車でもなくアンモニア車に?
  2. DOIって何?
  3. “逆転の発想”で世界最高のプロトン伝導度を示す新物質を発見
  4. 世界最大級のマススペクトルデータベース「Wiley Regist…
  5. 本当の天然物はどれ?
  6. 有機合成化学協会誌2022年10月号:トリフルオロメチル基・気体…
  7. 再転職の成功へ: 30代女性研究者が転職ミスマッチを克服した秘訣…
  8. 世界最高の活性を示すアンモニア合成触媒の開発

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有賀先生に質問しよう!!【第29回ケムステVシンポ特別企画】
  2. 室温で液状のフラーレン
  3. ジムロート転位 (共役 1,3-双極子開環体経由) Dimroth Rearrangement via A Conjugated 1,3-Dipole
  4. ジェフリー·ロング Jeffrey R. Long
  5. スイス医薬大手のロシュ、「タミフル」の生産能力を増強へ
  6. 吉野彰氏が2021年10月度「私の履歴書」を連載。
  7. 研究テーマ変更奮闘記 – PhD留学(前編)
  8. ヘリウム不足再び?
  9. B≡B Triple Bond
  10. ギース ラジカル付加 Giese Radical Addition

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年5月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP