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GRCにいってきました:ボストン周辺滞在記2025 Part II

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はい、前回に続いて、ボストン周辺訪問記のPart IIです。
GRCへ出発の朝から続けてお話いたします。Part Iをご覧になりたい方はこちらへ。

GRCへ出発の朝、そして再会の数々

GRC出発当日の朝、ホテルで朝食をとっていると、北海道大学・長友研の島川助教にばったり。以前一度だけご挨拶したことがあったものの、ほぼ初対面だったので、この機会に色々とお話しました。今回は全合成セッションのDiscussion Leaderとしての参加とのこと。研究室の話やキャリアの積み方について、ざっくばらんに意見交換。

部屋に戻ってチェックアウトし、11時頃からGRC行きのバスを待機。Embassy Suites Logan AirportはGRC参加者の集合場所になっていることが多く、ロビーは研究者でいっぱい。受付で「Natural Products」と言っても通じず、**目的地の「Proctor Academy」**と伝えないと分からないあたりは毎度のことながら注意が必要です(受付の方は基本的に学生アルバイトです)。

出発直前、久々にTanja Gulder教授(Tanja, Saarland大学)と再会。彼女は、かつてスクリプス研究所でBaran研のポスドクとして僕と同時期に在籍していた仲間。今回でGRCは5回目とのこと。

さらにバス乗り場で、Chem誌のEditor in ChiefであるVjekoslav Dekaris(通称VJ)も発見。軽く挨拶を交わして、バスに乗車。座席は相席で、隣はRSC(英国王立化学会)のエネルギー系専門の方。話が噛み合わず、ほどなくして睡眠モードに(笑)。あとで聞いたところ、彼は隣のGRC(エネルギー関連)に参加予定だったようで、納得。

 

 Proctor Academy到着と、懐かしい顔ぶれとの再会

今回のGRC開催地は、Proctor Academyという寄宿制高校。前回のSalve Regina University(ボストン南)とは異なり、今回は北方向。周囲には何もない、まさに自然に囲まれた“引きこもり型”会場です。ちなみに学費は相当高いそうで、アメリカの富裕層の子女が通う名門校だとか。

到着後、講演会場の前でコーヒーを飲んでいると、なんとRyan Shenvi教授(Scripps Research)に遭遇!彼は僕がポスドクをしていたときに、ちょうどPhDの最終年だった同門。何度も日本にも来ており、最近一緒にMukaiyama Awardを受賞した親友でもあります。今回はGRS(学生版GRC)で講演していたとのことでしたが、次の予定があったらしく、記念写真だけ撮ってすぐにお別れ。

その後、会場でチェックイン。今回割り当てられた宿舎は、会場に最も近く便利な立地。ただし、エアコンがなくファンのみという仕様で、日中の暑さにはなかなか手こずりました(まだこの時点では気づいていない…)。

Ryanと遭遇

 

豪華すぎる顔ぶれと自然な交流

外に出てぼーっとしていたら、主催者のDavid Sarlah教授(Dave, Rice大学)が登場。スクリプス時代に僕がVisiting Graduate Student、彼がVisiting Studentとして在籍していた頃からの長い付き合い。今回声をかけてくれたのもDaveのおかげで、本当に感謝しています。天然物を専門にしない日本人がGRCに招待されるのはなかなか難しいのですが、こうしたつながりがあってこそ。

そこに現れたのが、Erick Carreira教授(ETH Zurich)。「どこかで会ったよね?」と声をかけられたので、「Zoomでは一方的にお会いしてます」と返答(笑)。続いて現れたのはRick Danheiser教授(MIT)。思ったより小柄な方で最初は誰かわかりませんでしたが、まさかの「Jun、お久しぶりです!」と日本語で挨拶されてびっくり(会ったことないです)。

 

食事と講演:GRCならではの濃密な時間

食事は高校のカフェテリアで、ビュッフェスタイル。味は「まあまあ食べられる」といった感じですが、気楽に済ませられるのが良いところ。

夕食後、いよいよ講演セッションがスタート。トップバッターはLaura L. Kiessling教授(MIT)。プログラム自体は公開されていますが、発表内容には未公開データも多いため詳細は控えますが、さすがの内容でした。

続いてはAlanna Schepartz教授(UCLA)。ややバイオ寄りで僕には少し難解でした。

GRCのご飯。毎回ワンプレートビュッフェスタイル

 

ナイトセッションと深夜の交流

講演後は懇親会へ。ハーバード訪問時にEric Jacobsen教授から「Natural Products GRCはお酒が強い」と聞いていた通り、飲み会も活発。ただし、今回はGRCの方針変更によりドリンクはチケット制。1人10杯まで無料チケットがもらえ、それ以降は1杯5ドルで購入。供給は23:30までという健全な(?)スタイルに。

初日にインド人女性の方から「使わないからどうぞ」とチケットを1枚いただき、合計2枚に。しかし、それでも足りず、8杯分は自腹でした(笑)。

この夜は、Noah Burns准教授(スタンフォード大)とThomas Maimone教授(UCバークレー)とも合流。Baran研時代の仲間たちと、講演旅行以来の久々の再会を楽しみました。

さらに、Mayuko Isomura助教授(UIUC)とも初対面。東大中村研 → ETH Carreira研 → ハーバードJacobsen研 → UIUCで独立という超エリートキャリア。とても感じの良い方で、ぜひ帰国時には早稲田で講演してもらいたいとお願いしました。やっぱり対面は大事。GRCはその意味でも最高の場です。

また、Darren Dixon教授(オックスフォード大)とも、オックスフォード訪問以来の再会。今回のセッションで僕のDiscussion Leaderを務めてくださいます。

他にも、
• Susannah Coote教授(バース大):「早稲田に来た同僚がとても楽しかったと言っていた」と嬉しいお言葉。
• Danny(Rob Nowles研の学生)
• Lucas、Vincent(Carreira研の学生)

と、いろいろな方々と話すことができました。Dannyくんは特にフレンドリーで、好印象でした。

Dannyくんと

朝食の静けさと、La Clairさんの参加に驚く朝

2日目の朝、前夜とは打って変わって静かな朝食時間。前日はお酒の勢いで自然に会話が弾んだものの、この日は皆しらふ。ネイティブ同士のローカルな会話に割って入るのは、英語がわかっていてもやっぱり難しい。語学力だけでなく、文化理解の大切さを痛感した朝でした。

ところで、参加者の中に、僕らの世代の天然物化学者なら知らない人はいないであろうJames La Clairさんがいました。懐かしい名前に驚いた方も多いのでは?(※詳しい紹介は別記事にて)

朝ご飯

若手セッション:次世代を担う研究者たち

朝からのセッションは若手PIセッション。フレッシュな顔ぶれが並び、今後の分野を担う期待の研究者が一堂に会しました。
• Alex Schuppe助教授(ヴァンダービルト大学)
Tim Newhouse研の第一期生で、最近は立体編集(stereochemical editing)に関する論文でも注目されている若手。来年、学術変革領域の招待で来日予定と聞き、領域代表にお願いして早稲田での講演依頼も決定。話しぶりも落ち着いていて好印象でした。
• Yuzhong Liu助教授(スクリプス研究所)
バイオ合成を専門とし、Natureに掲載された研究成果を中心に紹介。スケール感のある仕事で、存在感のある講演。
• Filippo Romiti助教授(テキサス大学ダラス校)
イタリア出身の全合成化学者。複雑なアルカロイドの合成を巧みに解説。構築力のある研究内容でした。

コーヒーブレイクを挟んで、後半へ。
• Chi Ting助教授(ブランダイス大学)
Maimone研の第一号学生。大学院時代に4つの化合物を合成したという逸話付きの努力家。今回の講演は、ユニークなペプチドの合成に関する内容。後日、彼がブランダイス訪問時に車で送ってくれたのですが、声は小さいけれど誠実さがにじみ出る好青年でした。
• Daria Kim助教授(ヴァンダービルト大学)
Alexと同じくTim Newhouse研出身で、同大学にて独立。講演は光触媒に関する内容で、技術的にも先端的。ランチの時間に少し話をしましたが、とても感じの良い方で、ぜひ今後活躍してほしい研究者。
• Pengfei Hu教授(西湖大学)
Baran研の後輩で、非常に高度な全合成研究を紹介。構造・戦略ともに秀逸な内容で、技術力の高さが際立っていました。

これで午前の若手セッションは終了。分野は異なれど、それぞれの研究に情熱を感じる、非常に刺激的な時間でした。

 

ポスターセッションと国際交流の輪

GRC名物のポスターセッションは、毎日16:00〜18:00に開催。もちろんこの時間もお酒あり(ビール・ワインなど)。投票用のQRコードが用意されており、印象に残った2名に投票する形式です。

印象的だったのは:
• Mingji Dai教授(エモリー大学)の学生
丁寧な説明と明快なポスターで好印象。
• Neil Garg教授(UCLA)の学生たち
なぜかみんな僕のことをよく知っていて(笑)、楽しく会話ができました。

また、休憩中にはMartin Tomanik助教授(NYU)に声をかけられました。チェコ出身で、Harzon研 → Yu研という経歴。英語も明瞭でコミュニケーションも積極的、とても好印象の若手PIです。

とりあえず、スクリプスファミリーは全然足りなかったですが、とりあえず保険としてNoah, Tom, Daveと写真をとりました。

ちなみにアイキャッチ画像に使っているのは、最終日の夜にスクリプスファミリー全員(Tanja, Tom, Dave, Tim, Noah, Corinna)で撮った写真です。とてもよいメモリアル写真がとれてよかった。

夜の懇親、そしてBaran研ネットワークの広がり

ポスターセッションで飲んだこともあり、夕食とその後のメディシナルケミストリーの講演はスキップ。ただし、夜の懇親会にはしっかり参加しました。

ここでは、
• Tim Newhouse教授(イェール大学)
• Daniele Leonori教授(RWTHアーヘン大学)

と再会。Baran研出身で、Timは僕の在籍時の大学院生、Danieleはかつてマンチェスター大学で僕を受け入れてくれた恩人です。以前早稲田にも招待したのですが、僕が中国出張中で会えなかったため、そのお詫びも兼ねて再会できたのは本当に良かった。

Danieleはちょうど到着したばかりで、体調が優れずその日は早めに退席。次の機会にゆっくり話せると良いなと思いました。

 

3日目:生合成と全合成セッション、そして失態…

3日目は生合成と全合成セッション。朝食はスキップして仕事をしていたら、なんと集合写真のタイミングを逃すという痛恨のミス…。こればかりは仕方ありませんが、少し悔やまれます。

この日の講演で特に印象的だったのは:
• Elizabeth Sattely教授(スタンフォード大学)
タキソールの生合成に関する研究。プレゼンも研究も安定感抜群。
• Yang Yang教授(UCサンタバーバラ)
最近注目の新星。とにかく基質一般性が高いバイオ合成酵素を用いた研究で、会場全体が驚いていました。実験系の精密さと戦略性に感服。

というわけでほぼ自分のための備志録のようになってしまっていますが、午後からの全合成セッションからはPart IIIにて。

*日本の助教と区別するため、米国でのassistant professorはPIであるため、助教授と記載しています。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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